第二章
第4話
「ん…おはよぉ…エル」
『おはようリノ』
あくびをしながらエルに挨拶する。
スライム達を眷属にしてから、5年経った。一番初めに厄災級になったスライム、エルメルを除いた4匹は、それぞれもう一回進化して、名前がついて喋れるようになった。
『リノ様』
「ん…ありがと、サフィ」
お水を出して私の前に持ってきてくれたこのスライムはサフィ。サンダークラウドスライムから『空喰い』に進化した子で、澄んだ空の色をしてる。
『リノさんおはよー!』
「おはようルビ」
手のひらサイズの、透き通った真紅のスライムが、ぴょんぴょん元気に跳ねてる。このスライムはアシッドスライムから『酸の皇』に進化した、ルビ。
『主、朝食です』
「ありがとうルード。美味しそうだねぇ」
キラキラとした白金色のスライムのルードが、この森の中の果物をたくさん使ったサラダの様な物を渡してくれた。セイクリッドスライムから『神代の聖物』に進化した。
『リノさま、おはよ』
「ウルディおはよう」
宙に穴が開いて、中から真っ黒なスライムが出てくる。このスライムは、アビススライムから『欠界』に進化したウルディだ。
サフィ、ルビ、ルード、ウルディの四匹が喋られるようになったスライムで、いつも一匹から全員が私の側にいる。
お昼ご飯を食べて、エルに乗ってピンク色のスライムをもちもちぷにぷにしながら周りを散歩してる。
「あれ?新しい道ができてるね」
『ゴブリンの小さな集落が移動したらしいわよ』
ほへぇ〜何かあったのかな?
『オークの集落が大きくなって、避難するためって聞いたわね』
「大変だね」
今、エル以外の四匹はそれぞれやりたいこととか、仕事をしてる。久々のエルとの二人きり(ピンク色のスライムいるけど)のデート中なんだ。
のんびり話しながら散歩してると、ウルディが出てきた。
『リノさま、お客がきてる、よ』
「お客?」
『ドラゴンと、まぞく?ってやつ』
『珍しい組み合わせね』
エルって、すごい物知りなんだよね。近くに魔族なんていないのに、なんで知ってるんだろう?
「とりあえず、会ってみよっかな」
『それがいいと思うわ』
待ってる所に行きながら、魔族についてエルから教えてもらった。
魔族は、高密度の魔力の塊に魂が宿って産まれる自然魔族と、自然魔族から産まれた純魔族の二種族いるらしい。で、野良の魔族は交戦的らしいんだけど、魔族の国にいる魔族はかなり友好的なんだって。というのも、魔族って産まれた時から娯楽が闘いしか知らなかったけど、魔族の国じゃ王様が頑張って戦い以外の娯楽を広めたらしい。
教えてもらって初めて知ったけど、私って自然魔族なんだって。
『客として尋ねてきたってことは、どっちも王の眷属の可能性が高いわね』
「王の眷属?」
『私たちもリノっていう王の眷属よ』
なるほど、つまり他の王様がなにか用事があるってことなのか。何の用だろう?
『ついた』
ウルディがそう言う。
少し広い、木が無い広間に魔族の男の人と3メートルくらいの小型ドラゴンさんがいた。
『ウルディさん!そちらの方が、あなた方の王ですか?』
ドラゴンさんが、ウルディを見つけたようで声をかける。可愛い女の人の声だ。
『そう。リノさま』
「お初にお目にかかる、スライムの王。私は魔族の国から派遣されたエデンだ。よろしく頼む」
『私はドラゴンの王グリードお爺様からお使いを頼まれた、リルルです!』
「えっと、私はリノです」
「早速で申し訳ないのだが、スライムの王にお願いがあるのだ」
『リノ様に魔王会議に参加してほしいのです!』
「魔王会議?」
首を傾げると、エルが説明してくれた。
『魔王会議っていうのは、王の称号を持ってる人達が集まって話し合いをする場ね。魔族の王、魔王が主催するから魔王会議なの』
「そちらのスライム殿は博識だな」
エデンさんが驚いた顔でそういう。
『No.2なんですね!』
「ふふん!エルは賢くてすごいんだよ」
「側に常に居続けられると言うことはそうなのだろう。素晴らしいお方だ」
『褒めすぎだわ』
照れたエルは、すごく可愛いなぁ。
「そういえば、魔王会議っていつあるの?」
『今日から一ヶ月後ですリノ様!』
「この魔道具が指す方向が会場だ。我々は用が済んだので帰らせてもらう。また、会える時を楽しみにしている」
『気楽な集まりだから緊張しなくていいよってお爺様が言っておりました!では、また会いましょうね!』
そう言って、二人は帰って行った。
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