第16話

天晴ケイゴ!ルリが妊娠した。いやぁ、若いって素晴らしい!

ライクは恨めしそうに見てるけど、しょうがないじゃん。ケイゴは6年は待ったんだから、あんたも待ちなさいよ。


「私もおばあちゃんになるのかぁ」


「最近、嫌な事が多かったけどルリ、安心しろよ。きちんと救護室には女性の医師もいるからな?ディスプだけじゃないぞ?必要なものは商会から用意するし…」


「お義父さん!」

「バード!」

なんか暴走するのよね?そういう時って。癖かしら?


「それにしても、これで家族でデビュタントって夢も叶いそうね!」


ライクは最近ずっと窓の外の東の方ばかり見ている(仕事もしてください)。椿第3王女はお気に召したのかな?

いや~ん、両想いでラブラブ?本当に実際に結婚するまで、東方の国に残っていただいて良かった。この調子じゃ同棲したら絶対手を出す。

椿第3王女もこっちの方見てるのかな?東方の国王がなんとも悲しい気持ちになりますよ?



ルリは超安産で男の子を産んだ。名前はスイという。ヒスイから取ったらしい。

ヒスイも東方の国ではメジャーな石で色。スイ自身の瞳の色かなぁ?

ケイゴは剣士にしたいらしい。当面のところは様子見かなぁ?刀鍛冶職人になりたいって言いだすかもしれないし。

ケイゴも「女の子も欲しい」発言をしたというのをルリから聞いた。


体が元に戻るまでまだちょっと待ってね♡と伝えたら?とルリには言っておいた。若いからなぁ。とりあえず、目標の親子でデビュタントを目指そう!

デビュタントはエスコートをする人、ルリの場合はケイゴか、がドレスやらを用意するみたいだけど、何を血迷ったのかバードが張り切って全部用意してしまった。本人の意向とか聞かないで。


流石にルリに怒られたなぁ。そしてバードは凹んだ…(笑)。

ラインハルト王国は獣人国の属国になったので、獣人国の王様に謁見することになる。

「『バード商会』の商会長の娘、ルリでございます。今はこのスイなる息子と夫であるケイゴの3人家族です」


「ほう、家族でデビュタントとはまた珍しいな。楽しんで行くがよい」

そう言われて、ルリはケイゴとダンスをしたり(ケイゴはこの日のために練習した)、授乳に、おむつ交換に忙しく過ごした。

他の令嬢は殿方を探していたのかな?

ケイゴに言い寄る令嬢もいたけれど、ケイゴが「俺には愛する妻と息子がいる。無理に近寄るならば、命はないと思え」と若干脅した。


貴族相手に平民がダメなんだけど、『バード商会』だってここ数年でさらに大きくなって、そこらの貴族じゃ相手にならないくらいの権力を手にした。


次期商会長の婚約者は東方の国の第3王女だし。東方の国の第3王女といえば国王が溺愛しているので有名だった。そんな第3王女が輿入れをする(予定の)商会に歯向かうような貴族はほぼいない。


「ありがとう、ケイゴ。夢がまた叶ったわ♡」


「俺はルリの希望を叶えただけだ」

ケイゴはツンデレ?このあとラブラブで第2子でもできるのでは?って感じでしたけど!二人の世界だったし。


二人でラブラブな時にスイは私とバードが預かっている。

バードは不貞腐れているけど、孫は可愛いし、何とも言えない表情で面白い。

私は純粋にスイが可愛い。うーん、ライクのちっちゃい頃とは違うんだよなぁ。

ケイゴが小さい時こんなだったのかしら?


明日にでもケイゴに聞いてみようか?

ライクは驚くほどバードに似ているのよね。でも、スイは?瞳の色はルリとケイゴの瞳の色混ぜた?顔立ちはケイゴかしら?男の子だからかなぁ?


母乳じゃないけどいいのなかな?そしてそろそろ離乳食始まるんじゃないかしら?

あら?スイ、前歯が一本生えてるじゃない!私が一番に見つけたのよ(ドヤァ)!

バードもスイの前歯を見つけてドヤ顔してるわ。ふふふっ。

私が先に見つけてるのよ!


翌日、ケイゴに色々質問してみた。

「俺の子供の頃?もっとやんちゃな顔してたと思いますよ?スイの顔はルリの顔も混ざってる感じですね。あ、スイの前歯ですか?それなんですよね。離乳食がいいかな?と思ったのは」

ちっ、私が一番じゃなかったのかぁ。残念。

「あっ、昨日はスイがお世話になりました」


「いいのよ?まだ二人でラブラブな時期だもんねぇ。仕方ないわよ~。スイは可愛いし、寝つきも良かったし、手がかからない、いい子だったわよ。またいつでも預かるから言ってね!」

私の言葉とはウラハラに廊下の陰からジト目でこっちをバードが見ていた。


「…あの人は気にしないで。子離れしないのよ。困った人よね~」

「いえ、俺も多分女の子生まれたら同じような事すると思います」

男のサガなのか…。ケイゴだったらなぁ、剣術があるからコワイわぁ。頑張れルリ!

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