第8話
「何だったんだ?あの貴族?結構な手腕で侯爵って爵位になったと思ってたけど、違ったのか?」
珍しい。バードがお怒り。
「そうだよねー。俺なんかこれから薬の副作用で3日間寝込むんだぜ?それなのに、あからさまに、毒でーすって水飲ませようとする?」
うーん、水に気を取られてると他で薬を摂取させられてるかも。
「とリラえず、ライクは注射キライでしょ?寝てる間に血液検査ね?おそらくなんらかの毒が検出されるんじゃないかな?」
「水飲まなかったのに?」
「そこがあからさま過ぎるのよ。変でしょう?例えば…ライクが座る椅子にチクっとする毒針を仕掛けるとか?」
ありそう。水に目が行って、椅子を見逃すのよ。多分今回はそんなパターンだと思う。
「なるほど。あり得るな。よし、あの店のあの部屋担当だったやつを尋問するとしよう」
ライクが薬の副作用で寝てしまった。
看病は24時間で侍女頭のエマに頼んだ。ルリも立候補したけど、年齢的に無理。と言い切った。
ライクの血液からは案の定毒物が検出された。
ディスプによると、一定時間侯爵令嬢のいいなりになるような侯爵に都合のいい薬だそうだ。
この結果を持って、法務局にかけあい、ディーペスト侯爵は法の下で尋問されることとなった。
当然、そのようなところと縁を持つようなことはしないので、ライクはエミリーと会っただけとなった。ディーペスト侯爵は拘束されようとも、金銭を渡して出てくるだろうケド。
ライクが起きた。
「すごい嫌な夢を見た。エミリー嬢に追っかけまわされるんだ」
あながち間違ってはいない。
実際エミリー嬢は見合いからというもの、ライクを追っかけまわすようになった。迷惑千万だ。
「ライク、本物の婚約者がいないからエミリーみたいなのが現れるんじゃない?」
多分そうだろうな。「自分にもチャンスはある!」みたいな…。
「そんなこと言ったって、今は商家の勉強が楽しいし…」
うーん。私がはっきり「迷惑」って言って聞くかなぁ?
「ちょっとエミリー嬢いいかしら?」
「なんですか?元・侯爵令嬢のオバサマ」
義母になり得る人間に喧嘩売る?あり得ないんだけど?そういう時代なのかしら?ああ、自分を愛してくれるライクが私を貴女から絶対的に守ると思ってるのか。…でも今の発言は多分バードも怒るけどいいのかな?
「えーと、ライクは貴女に興味がないって。今、興味があるのは商家の勉強でこうやってつきまとわれるのはハッキリ言って迷惑だって言ってたわよ?」
さて、どうでるのかしら?
「本人が言ってないだけで、オバサマの戯言かもしれないし。私はやりたいようにやりますよ」
へぇ。そういう感じかぁ。
「どんどんとライクに嫌われますけどね。頑張って嫌われてください。ライクの伝言は伝えたので失礼します。あ、後で怒り狂った夫が来るかもしれないんで覚悟してください」
はぁ、この手の女は疲れる。
「ええー?!オジサマ?もっといい服着てくればよかった」
何?バードのファン?
「オジサマって未来のライク様って感じで素敵なんですよねー。実際に会えるなんてカンゲキ!」
逆効果なの??
「というわけなのよ。どうする?バード?」
「リラにたてついたのはどうかと思うが…、あぁでも俺の言う事なら聞くかもしれないな」
本当にあの手の女は面倒だと思う。
「エミリー嬢…。話は妻から聞いた。妻に対する暴言はどうかと思う。妻はライクの伝言をしただけで、戯言ではない。実際に迷惑を被っている。それは私もだ。なんで、我が家の付近をうろつくのをやめてくれないか?」
私に対してと違って、なんで腰が引けてるかなぁ?もっと言い負かせばいいのに。
「迷惑?」
「ああ、迷惑だ。別に妻に言わされているわけでもなんでもなく、純粋に迷惑だ。商業的に何パーセント被害を被っているか計算しようか?侯爵家が被害額を弁償する勇気があるなら」
いったいいくらなの?被害額。なんか怖いわ。
「はい。わかりました。迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
そう言ってエミリー嬢は我が家の周りをうろつかなくなった。
が、エミリー嬢から毎日のように恋文が届くようになった。当然(?)ルリによって焼却処分されている。
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