第4話 興味

 今日も眠いながらに学校に向かうと、いつもの場所で由美が待っていた。そして早速「ねえ、今日も見た?」そう、由美が訊いてきた。私はこの事件の話嫌いなのに、もう忘れたのかな?


「ねえ、そう言う言い方やめようよ。事件を楽しみにしてるような言い方は」

「じゃあ私が悲痛な顔をしてたら被害者の命が帰ってくるの?」

「……そう言うわけじゃないけど……」


 そう言われてしまっては、何も言えなくなってしまう。


 でも、今の私にはこの一連の事件がエンタメになってしまっているようにしか思えないのだ。悲劇は忘れたころにやってくるとはよくいう事だ。実際にSNSを見ても、結構エンタメ化されてきている。S


 SNSの中には、殺人鬼に殺してほしい人募集ー!!! だとか、この事件は政府の陰謀だだとか、そんな不謹慎な投稿が目立つようになってきている。


 逆に私の方が変人なのかもしれない……こういう状況がさっさとほしいと思う私の方が……と言うか本当おかしいのは由美達な気もするのだけれど。

 だって、事件が起きてるのってここから三〇キロも離れていないところだし、危険なのは自分たちも同じなのに。


「はあ、もうこうなったらどうしたらいいのかなあ」

「なんて?」

「もう怖いの。こういう状況が。いつ私たちに被害が来るかもわからないし……」

「考えすぎだって、そんなこないって。私たちのところには」


 だといいのだけれど。

 でも、やっぱり怖い。死ぬのもそうだし、誰か知ってる人が死ぬのも嫌だ。それに恐怖におびえるのも……。


「私は……」

「あ、由美と愛華」

「なんでいるの?」


 道は逆のはずなのに。


「だって、今日は早く家を出ちゃったからさ。来ちゃった」

「来ちゃったって……もう」


 この日常を幸せにを感じる。

 私もこの一連の事件で日常を愛すようになったのかな。


「はあ、幸せだあ」

「すぐそう言うよね、愛華って」

「うん。まあもう幸せじゃなくなるかもしれないけど」

「怖がりすぎだって。愛華はさあ」

「うん。そうかもね」


 そして話しながら歩く事一〇分、学校に着いた。


 そしてホームルーム


「皆さん知っていると思いますが、最近の連続殺人。これは他人事ではありません。皆さんはも事件解決まで、変なことはしないで、早く家に帰って早く寝ることを習慣付けましょう。くれぐれも夜中の外出は控えるように」


 ここ最近の流れだとやはり警告するか。まあ当然だよね。由美たちのような馬鹿を生み出さないためにもね。私的によく言ってくれたと言いたい。


「でも、先生! そうはいっても、殺人犯は今、死神って言われてますよ。流石に銃弾が聞かない相手にそんなことは関係ないんじゃないでしょうか」

「確かにな。だが、何事にも用心が大事だ。何事にもな」


 そうだ。由美たちのような事件を事件と取れない人のためにもっと言ってやらないとダメなんだ。


 そして、そのままホームルームが終わった。そして由美たちの方へ行こうとするが、


「これが今回の死体の写真ね」

「うわああ。今回もえぐいね」


 そう言った会話が聞こえてきたので、やめた。本当なんでそんな危ないことに首をつっこるんだ。私の友達は……


「本当に……」


 溜息をつく。


 さて、そんなことよりもだ。私としてはもう最近だるすぎてしんどい。


 眠いのは軽く収まったが、やはり最近のこの二人の感じが気に入らないのだろう。だが、私とて、全く興味ないわけではない。さっき男子生徒が言った銃でも死なないというそのワードが気になる。


 少し、グロ画像を避けながらSNSを見てみると、トレンドに銃弾と殺人鬼が入っている。それを見ると、動画があった。監視カメラにたまたま移っていた動画がニュースで流されたらしい。ニュース映像だからか、殺されるシーンまでは入っていなく、私の嫌いなグロシーンは入っていなかった。


 これについてだけは少しだけ話したい。そう思ってしまい、由美たちのところに行く。


「ねえ、銃で死なないって本当?」

「お! 愛華も興味出てきたか」

「そう言うわけじゃないから……ただ、少しだけね」

「朝は、その話嫌って言っていたのに」

「私だって、盛り上がるのが嫌なだけで、やっぱり、知ってることは大事だと思うから……別に楽しそうだからとかじゃないからね!!」


 念押ししておく。まあネタにしてるみたいになるのが嫌だし。私自身を納得させるためという意味もある。


「そのままの意味。動画は見た?」

「うん……一応」

「じゃあ話は早いね。銃で死ななかったということで、ネットで怨念説とか、死神説とか出てるの。前者は動機に一貫性が見えないということで、否定はされているけど、後者は寿命が来た人を殺してるという説で、結構有力。なんかこういう都市伝説って面白いよね」

「……私は面白いから聞いてるわけじゃないけど」

「えー。死神説が本当なら不謹慎ではないと思うよ」

「そうかな……でも私は違うと思う。なんかこう説明できないけど。これは上位存在かなんかが、面白がってやってるんだと思う。人間を雑に殺した時の人間の反応を……私の見た夢も説明できるし」

「愛華のほうが都市伝説説信用してるじゃん」

「私はそんなことはないよ。でも、今日の話を聴いて、上手く説明できないけど、そう思ったの。まあ、とはいえ、私はそんな話嫌いだからおしまい」

「ええ? 愛華から始めたじゃん。今の話」

「だけど、なんか、うん。私こういう話嫌ってたのに、こういう話なんかしちゃったら違うなって」


 実際、話しながら何を言っているんだろうっていう気持ちになっていた。こう、私じゃないみたいな。だから、今後はこの話は墓までもっていこう。おかしい話だけどそういう事だ。


「でもその説結構ありかも、過去にも、そう言う漫画あったし」

「だから掘り返さないでくれる?」


 全くこの友達どもは私をこの話に巻き込みたいという気持ちでいっぱいだな。まあ、つい私の仮説を言ってしまったのが悪いんだろうけど。


「じゃあ私たちでその仮説について話そうよ」

「ほんと、もうやめて……」


 私はこういう事件が苦手なのだ。さっきのはただの気まぐれにすぎない。事件のことをおもいだすだけで、あのグロ石体が目に映ってしまう。本当速く犯人逮捕されてほしい。


 そして私はそそくさと席に戻どった。スマホからどう思う? と言ったメールが届いたが、スルーした。安心をください。こんな良くわからない事件の詳細なんかじゃなくて……


 でももし私の説が本当なら、一生犯人は捕まらないかもしれないってことじゃん。そんなのは嫌だ。どうか安全な暮らしが戻ってきますように。

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