第20話 打ち合わせ

リックの中での温泉街のオープンまでのスケジュールはこうだ。


施設の建設と従業員の研修は既に完了しており、残りは他領への告知のみである。


「他領への告知期間は7日間を想定しています。まずは隣接する領と王都です。」


「リック殿、最初はそれで十分かと。既に温泉街の噂は広まっていますし、自然と人も集まると思います。」


ロッドは納得してくれる。


「では、それでいきましょう。温泉街の祝賀祭事には親交の貴族の方々を招待します。もちろんダグリット公爵もです。」


「お心遣い感謝します。」


サラが感謝する。


「いえいえ。それよりもサラ嬢は宿泊担当者になります。後ほど詳しく引き継ぎをさせてください。」


「はい、承知致しました。」


サラは笑顔で微笑む。

その様子を見たロッドは気を遣い、


「では、私は支部に戻って仕事がありますのでここで失礼させていただきます。」


ロッドは応接室を出ていき、サラ嬢と応接室で二人きりとなった。サラ嬢と二人きりとなるのはこれが初めてである。婚約者ではあるものの、ほぼ初対面みたいなものである。


「まさかサラ嬢が来られるとは思ってもいませんでした。」


「私も兄からこの話をされた時、驚きましたがすぐに行こうと思いました。父も承諾してくれましたし、何よりリック様の近くにいられることが嬉しく思います。」


サラは笑顔でいう。



「そうですか、ネスト伯爵家としてはお迎えできてとても嬉しく思います。」


リックも近くにいられて嬉しいと言われて嬉しかった。


「では、宿泊担当者となるサラ嬢に温泉街の宿泊施設の説明をさせていただきます。」


「はい!よろしくお願いします。」


「まずこの温泉街には4棟の宿泊施設を今回建設しています。それぞれ独自の温泉を持ち、施設の特徴も違います。」


「施設の特徴…単に泊まるだけではないということですね。」


「その通りです。」


サラは理解がはやい。


「施設はホテルと旅館の2種類あります。」


「ホテル?旅館?初めて聞く名前ですね。」


「まぁ…僕が考えました。ホテルは比較的大規模な建物で多くの人を迎え入れることができる施設になります。そして旅館は宿泊・食事の提供をする施設になります。和室という部屋も特徴的です。」


「ホテルは普通の宿を大規模にした感じたど思いますが、旅館の和室というものはどういうものですか?」


和室に疑問を持つのは当然である。


「和室というのは床が畳で、襖や障子といったものが使用されている部屋になります。」


「はぁ、実際に後日見に行かれるとか良いと思います。」


「そうですね!実際に見るのがいいですよね!」


サラはにこやかに言う。その表情はとても可愛い。

領地の運営をしたこともあるサラ。領地を運営する時知らないことはできるだけ少ない方がいい。

サラはとても好奇心旺盛で自ら学ぶ姿勢がみえる。

安心して任せられるとリックは思った。


そしていよいよ温泉街オープンの日にちを迎えることとなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る