第16話 ご当地グルメ!

土木省ネスト支部に到着する。

受付でロッドに取り次いでもらうようにいうとすぐに支部長室に案内された。

支部長室の来客用の席には既にロッドが座っており、リックも席についた。


「ロッド殿、お話があるとか。」


「はい、ですがその前に父から話を聞きました。妹のサラと婚約したと。」


「はい。婚約しました。」


「…兄としてリック殿に感謝します。」


そういうとロッドは頭を下げた。


「ロッド殿、頭を上げてください。一体どういうことですか?」


リックはロッドの対応に驚いた。


「実は公爵家ということもあり、多くの家から求婚を求められていまして…」


ロッドは少し気だるそうにいう。


「なるほど、家柄もそうですし、公爵家と関係を持つことで力をつけたい。そういった貴族がいるということですね。」


「さすがリック殿。その通りです。」


貴族同士の婚姻。当然自分の家格と同格またはそれ以上を相手には求める。

下級貴族も上位貴族と関係を持つために必死になる。

その中でダグリット公爵家は人気No. 1の家だろう。


「そんな困っていたところにリック殿が現れ、私としては本当に良かったと思います。」


「こちらこそサラ嬢という素敵な方と出会えて嬉しく思います。」


「正式に婚姻すれば縁戚になります。今後ともよろしくお願いします。」



「こちらこそよろしくお願いします。」


2人は笑顔で笑い合った。


「さて、本題に入りましょう。温泉街の方ですが、残りひと月ほどあれば完成する見込みです。」


「わっ、早いですね。これも土木省のご協力のおかげですね。」


「えぇ、父の応援部隊、後は第3鉱山に測量部隊が早く入ることができたのが要因です。」


第3鉱山はネスト家が所有していたため早くから土木省に開放していた。


「残りの工程としては宿泊施設、飲食街を整備するのみとなっています。」


「わかりました。引き続き土木省にお任せしますのでよろしくお願いします。」


「わかりました。ですが1つリック殿に相談したいのですが、飲食街にはどのような店を出されるのですか?」


土木省としては建物を建てたりする専門であるため、提供する食事については管轄外である。


「そうですね、少なくとも飲食店は10店舗は出したいと思っていますので一度持ち帰って検討します。」


「はい、ですがひと月ほどしか時間がありませんが間に合うでしょうか?」


ロッドは心配する。


「大丈夫です。このネスト領でしか食べられないご当地グルメを提供しますから!」


「ご当地グルメ?ですか…」


「まぁ、楽しみにしていてください。」


ロッドは楽しみにするように伝え、土木省ネスト支部を後にした。

そしてその足で領都バンの商店街へと向かうのであった。



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