第15話 ネストへ帰りました。
社交会が終わり、リックは屋敷に戻った。
「まさか、婚約者ができるとは…」
今日の社交会で一番の出来事はなんと言ってもダグリット公爵の娘サラ嬢との婚約である。
ネストで行っている温泉街計画。これを評価され、政略的に婚約した。
サラ嬢はとても美しい美少女である。なんの不満もない。聞くところによるとサラ嬢は才女だという。ダグリット公爵領の運営にも携わっているという。きっとリックにとって力になってくれる存在になるだろう。
リックはそんなことを思いつつ休むことにした。
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王都での社交会を終え、数日後リックは1人ネスト領に戻った。
サットは商務省の仕事のためしばらく王都に滞在するそうだ。
リックはこの日久しぶりに母ナリアと朝食をともにした。
「リックが戻ってきてとても嬉しいわ。とても寂しかったのだから…」
「母様、僕も会えて嬉しいです。」
リックは笑顔で微笑みかける。
そしてリックは社交会での出来事を話した。
「実は母様、この度の社交会で婚約者ができました。」
「えっ!婚約者!ど、どこの家の方かしら?」
婚約者ができたと聞きナリアは驚く。
「それがダグリット公爵家の次女、サラ嬢です。」
「ダ、ダグリット公爵家!」
相手が公爵家と聞きナリアはさらに驚いた。
「一度落ち着きましょう。ダグリット公爵家と繋がりができるということね。ネスト伯爵家としてとてもよい話です。」
ナリアは話を整理し、納得する。
「リックおめでとう。あなたにとってもとても嬉しい話よ。」
ナリアの表情は母親としての優しい顔だ。
食卓はとても賑やかになった。
そして話は温泉街計画の話になった。
「そういえば温泉街計画なのだけど、あなたが王都に行っている間にかなり進んだそうよ。土木省の支部長が一度話したいと言ってきたわ。」
「ロッド殿ですね。実はダグリット公爵の長男なんですよ。母様は知ってましたか?」
「えっ、支部長が公爵の嫡男?…えっーーー!」
ナリアは大声で叫んだ。
どうやら知らなかったようだ。
「そんな方が支部長を。」
「ダグリット公爵は財務大臣と土木大臣ですからね!」
「そうだったわね…もう今日は驚くことで多く疲れたわ。」
ナリアの顔には疲れが見えた。これは全てリックのせいだろう。
「では母様、僕はロッド殿のところに行ってきます。」
「くれぐれも失礼のないようにね!」
ナリアとそのような会話を交わしてリックは屋敷を出た。
そして土木省ネスト支部に向かうのであった。
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