第17話 開発?いや参考にしました。

土木省ネスト支部を後にしたリックは商店街へと向かう。商店街と言っても前世のようなものではなく、露店が並ぶような場所である。

この日は多くの買い物客が道を行き交っていた。


「うーん、何にしよう。10店舗のうち3つは居酒屋で、残りは専門店にしたいよな…」


リックはそれぞれの店を周り、ヒントを探していく。

見て回ったところ、売られている野菜、肉、魚など前世の食材と特に変わりがない点に気づいた。

しかし、前世と今の世界とでは明確な違いがあった。それは料理のレパートリーである。あまりにも種類が少ないのだ。例えば、肉であれば焼くだけ、スープも野菜と塩などの簡単な調味料を入れるだけのシンプルなものであった。


「これは前世の知識を活かせば、飲食店問題は解決するな。」


そう思ったリックは各店で手当たり次第食材を買い集めて屋敷へと戻った。


―――――――――――――――――――――――

リックは屋敷の厨房にいる。

普段厨房に入ることはできない。安全面のためだ。今日は料理長に無理を言って入れてもらった。


そして、リックの中では作る料理が決まっていた。

ハンバーグ、ラーメン、焼肉、お寿司、揚げ物、鍋、パスタである。この7品で各専門店を作る。

なぜこの7品かというと前世で好きな食べ物だったからだ。

その中で今回はハンバーグを作ることにした。

玉ねぎを細かめのみじん切りにし、牛肉と豚肉をミンチ状にした合挽き肉と合わせる。そしてそこに塩と胡椒を入れ捏ねる。挽肉に粘りが出たら、パン粉、卵を加えさらに捏ねる。捏ね終わったら、小判形に成形し、真ん中をくぼませ、油を熱した鉄板で焼く。

焼けたらさらに盛り付け、ハンバーグにトマトから直接作ったソースをかけて完成だ。


「うん!できた!」


リックは早速作り上げることができた。


「食べてみよう……うん!美味しい!」


味は上出来であった。


「よし、このハンバーグを含めてご当地グルメを提供する専門店を作るぞ!」


その後、9日間リックは厨房に篭り、ひたすら料理を作り続けた。


――――――――――――――――――――――

「できた!これで7品揃ったぞ!」


ハンバーグをつくってから9日後。無事7品作ることができた。


「よし、試作品と一緒にロッド殿に報告行こう。」


リックは急いで土木省ネスト支部へと向かった。

いつも通り、受付をして支部長室に案内される。


「リック殿、どうやら完成したみたいですね。」


「はい!ぜひ食べてみてください!」


リックは持ってきた7品を机に並べた。


「どれも初めて見る料理ですね。とてもわくわくします。さっそくいただきます。」


ロッドは食べ始めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る