第12話 新たな出会い

ダグリット公爵家はネスト伯爵家少し離れた場所に設けられていた。多くの者があいさつに訪れており、長蛇の列となっている。


「リック、これはなかなか空きそうにないな。先にリッツ侯爵家に行こう。」


「はい、父様。」


先にリッツ侯爵家にあいさつに行くこととした。

リッツ侯爵家の席はダグリット公爵家のすぐ隣であった。

列もさほどできていない。

少し待つとすぐに順番がきた。


「リッツ侯爵閣下、ご挨拶させてください。」


サットが先に挨拶をする。


「これはネスト伯爵、お元気でしたか?」


リッツ侯爵が快く迎え入れてくれる。

ハンブル・フォン・リッツ侯爵。外務大臣を務めている。年齢はサットより少し年上といったところである。


「はい、今日は息子を紹介したく参りました。」


「ご丁寧にありがとう。ではうちの娘もご紹介しましょう。レイネ来なさい。」


リッツ侯爵にも娘がいたようだ。

リッツ侯爵の娘がやってくる。


「えっ、美しい。」


思わずリックは声に出してしまった。

金髪ロングの美少女、それに加えてスタイルもよい。とんでもない美少女だ。


「私の娘、レイネになります。」


「レイネです。よろしくお願いいたします。」


レイネは華麗に挨拶をする。


「息子のリックになります。」


「サット・フォン・ネストの嫡男、リックです。リッツ侯爵閣下、レイネ嬢よろしくお願いします。」


リックは丁寧に挨拶をした。


「丁寧な挨拶ありがとう。リック殿は素晴らしい御子息ですな。」


リッツ侯爵は褒める。


「いえいえまだまだ未熟者です。」


サットは謙遜する。

その後はサットとリッツ侯爵が中心に話しており、リックとレイネ嬢は蚊帳の外状態となってしまった。

しかしこの間、リックはレイネ嬢の視線をずっと感じていた。


(何か気に触ることしたかな…)


そんなことを思っていると2人の会話が終わったようだ。


「では、リッツ侯爵またよろしくお願いします。」


「こちらこそネスト伯爵。」


「リック、いくぞ。」


リックとサットはリッツ侯爵家の席を離れた。

そして次にハーバトン伯爵家に挨拶に行くことにした。まだダグリット公爵家の列は減っていなかったからだ。

ハーバトン伯爵家はネスト伯爵家の席から近い。

向かうと席にダンディーな男性、おそらくハーバトン伯爵ととても美しい美少女が座っていた。

この世界で出会った同年代の女性貴族はなぜかみんな美しい。リックはそのように思う。


「ハーバトン伯爵、お久しぶりです。」


「おー、ネスト伯爵!久しいな。げんきでしたかな?」


ダンディーなタクワ・フォン・ハーバトン伯爵。50歳くらいでまさにイケおじという言葉が似合う。そしてとてもフレンドリーである。


「そちらは息子殿かな?」


「はい、息子のリックになります。」


リックは返事をする。


「おー、とても凛々しい顔をしている。うちの娘も紹介する。イーナだ。」


「イーナです。以後お見知り置きを。」


イーナ嬢は笑顔であいさつをする。

イーナ嬢はダンディーなハーバトン伯爵の娘とは思えないほど清楚であった。髪色はオレンジ色でとても綺麗だ。性格も明るそうでそこを見るとハーバトン伯爵の娘だなと感じる。


その後はしばらく当主同士での話が盛り上がり、リックはイーナ嬢と少し話をすることができた。


「イーナ嬢の髪色とても素敵ですね。」


「ありがとうございます。そう言っていただけてありがたいです。リック様もとてもかっこよくて素敵だと思います!」


「えっ、ありがとう。」


リックはイーナ嬢の言葉に照れる。その後はお互い緊張も解け話も盛り上がった。

サットとハーバトン伯爵の話も終わり、次のダグリット公爵家の元に向かわなければならない。


「イーナ嬢、たくさん話せてよかったです。また会いましょう。」


「私もです。リック様!」


「お、仲が深まっているな。リック殿、今後もぜひよろしくな。」


二人の仲を見てハーバトン伯爵も嬉しそうであった。


そしてやっとダグリット公爵家にあいさつに行くのである。

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