第11話 社交会に行きました。

迎賓館の中に入った。

エントランスは赤い絨毯がまっすぐ敷いてあり、天井にはシャンデリア、壁には壁画が置かれている。


「ネスト伯爵閣下、リック様お待ちしておりました。ご案内いたします。」


「うむ、頼む。」


案内役が社交会が行われる大広間へ案内してくれた。

大広間に入ると既に多くの貴族が広間に集まっており、交流をしていた。


「ネスト伯爵家の席はこちらでございます。」


どうやら席が指定されているようだ。

案内されリックとサットは席に着く。


「本日、予定が変わり急遽国王陛下がお越しになられることになりました。」


「ん!国王陛下が!」


サットは驚く。


「とりあえず、わかった。下がってよい」


サットがそういうと案内役は離れていった。


「リック、聞いた通りだ。国王陛下がお越しになる。挨拶もせねばならない。」


「承知しました。」


「陛下がいらっしゃるというのに落ち着いているな。」


サットはリックがすんなり受け入れたことに驚く。

リックとしては目上の人と会うことに抵抗はさほどない。前世では市長として目上の人と対峙してきたからだ。


「まぁいい。リック、とりあえず挨拶回りに行こう。今日はダグリット公爵家、リッツ侯爵家、ハーバトン伯爵家が来ている。」


「ダグリット公爵がいらしてるのですね。土木省にはお世話になっているので是非とも挨拶をしておきたいです。」


「おぉ、その通りだな。あと、リッツ侯爵とハーバトン伯爵についても事前に教えておこう。リッツ侯爵は外務大臣、ハーバトン伯爵は農務大臣だ。」


「そのお二人も大臣なのですね!」


「あぁ、基本上位貴族は役職を国から与えられている。伯爵以上はそうなのだと思っておくといい。」


サットの説明でこの国の大臣と爵位の関係性が分かってきた。ちなみにこのハイド王国には上位貴族が13家ある。公爵家が2家、侯爵家が3家、伯爵家が4家、辺境伯家が4家である。それに対して、下級貴族は103家も存在する。子爵家が20家、男爵35家、騎士爵48家である。

上位貴族の公爵、侯爵、伯爵は宰相、大臣を辺境伯は国防軍の司令官を務める。そして、下級貴族の子爵は各省の事務方トップの事務次官、男爵は国防軍の大隊長、騎士爵は国防軍小隊長を務める。

しかしこの役職には忙しさに差がある。大臣や司令官を務める上位貴族と事務次官の子爵は王都に常駐することが多く、領地のことをあまり見ることができない。それに対して男爵以下は年に数回会議や訓練があるが、実際有事の際に召集される時しか仕事がないといっても過言ではないため、領地の運営をすることができる。

それだけ忙しさに差がある。


「リックまずはダグリット公爵に挨拶に行くとしよう。準備はいいかい?」


「はい、父様。」


リックとサットはまず最上位貴族ダグリット公爵に挨拶に行くのであった。

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