第9話 いざ、王都へ!
あれから3日が経った。
サットと共に王都に向かう。2日目の道中である。
母ナリアはネストに残り、領主代行としてネスト伯爵家を守る。
王都までは領都バンから馬車で2日の距離だ。
王都までは石造りの街道が整備されている。これによりかなり王都との交通アクセスは良くなったみたいだ。以前は倍の4日かかったという。
石造りの道を馬車はかなりの速さで進んでいく。舗装されていなければスピードも出せない。
「父様、この街道ほんとに凄いですね。」
「あぁ、これも土木省の一大事業の賜物だよ。」
「土木省の力ってすごいんですね。」
リックは土木省の仕事ぶりに感心した。
「土木省が何故こんなにも力を持っていると思う?」
サットはリックに質問をする。
「それは…特に地方での公共事業が国民に1番支持されるからですね。」
「その通りだよ。」
リックは1度で当てて見せた。
このような事例は前世の世界でもあった。
特に地方では公共事業を餌に政治家が票を集める手法を取っていたのだ。公共事業は国民生活に直結する。影響力が大きいのだ。
「それに今はダグリット公爵が土木大臣、財務大臣を兼任している。お金の差配ができる財務大臣が土木大臣も務めていれば事業もどんどん進む。国王陛下もよく考えられた。」
サットはそのように言った。
その後リックはしばらく外を眺めていた。
そして2時間ほど時間が経っただろうか。
次第に街が見えてくる。
「父様、あれがもしかして王都ですか?」
リックはサットに尋ねる。
「あぁ、あれがハイド王国の王都マイレだ。」
王都マイレ。ハイド王国の中心に位置し、人口200万人ほどが住む大都市である。人口規模は前世でいう札幌市位の都市だ。
遠くからでも高い建物がいくつも見え、前世と比べたらかなり劣るが、ビル群を形成しているように見える。
街は5区画に分けられており、中央区には王城、教会、貴族院、宰相府などが位置。北区には貴族の屋敷、東区には各省庁などの行政機関、南区には商店などが建ち並び、西区には庶民が暮らす居住エリアが位置している。
東西南北各エリアには関所が設けられ、関所からしか街にはいることはできない。
リック達は南側の街道から向かっており、南区からマイレに入ることになる。
馬車は関所にたどり着き、セバスが貴族の印を門番に見せ、リックとサットは無事王都に辿りに着いた。
南区は商店が建ち並ぶ商業エリア。
南区に入ってすぐ、多くの店、露店が並んでいる。そして200万都市ということもあり、人通りもかなり多い。
「父様、すごい賑わいですね。」
「あぁ、だがこれがいつも通りの風景なのだ。ゆっくり見たいかもしれないが、先を急がねばならない。屋敷に向かうぞ。」
サットは屋敷に向かうように指示を出す。
向かうは北区の貴族エリア。
このハイド王国の貴族は北区に王都用の屋敷を持っている。
馬車はその屋敷に向かって進むのであった。
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