第8話 ん?社交会?
やってきた応援部隊はなんと5000人規模にもなる大所帯であった。
リックはロッドと共に第3鉱山へと向かう。
土木省ネスト支部では収まりきらなかったため第3鉱山へと向かわせたのだ。
なぜこの規模になったのか応援部隊に同行していた土木省職員によるとロッドの父である土木大臣からの要請が出たためだという。
大臣から直々に命令が出ることはなかなかなく、重大な仕事であると土木省では判断したみたいだ。
何にせよ人が集まったのはリックとしてはかなりありがたかった。
「ロッド殿、ほんとにご対応頂きありがとうございます。」
リックは深々と頭を下げる。
「リック殿、頭をあげてください!私もまさかここまで集まるとは…父の力には驚かされました…」
ロッドも驚きを隠せない。
そしてリックは早速計画書を応援部隊に同行していた土木省職員たちにも共有をした。
すると職員たちはすぐに内容を理解し、応援部隊に指示を出していった。
さすがは建築のプロ、土木を扱う行政機関なだけはある。
ロッドによるとネスト伯爵家としては土木省に一任さえしてもらえれば土木省が責任を持って建築を進めるという。
「では、ロッド殿。後のことは土木省にお任せします。よろしくお願いしますね。」
「はい、リック殿。楽しみにお待ちください。」
ロッドは笑顔でこたえてくれた。
そしてこれから約半年ほどでこの温泉街は完成することとなる。
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リックは屋敷に戻り、サットに温泉街の建設が始まったことを報告した。
「父様、無事土木省の応援部隊も到着し、建設が始まりました。」
「そうか、このことはリックに任せている。引き続きよろしく頼むぞ。」
「はい、父様!」
リックはとても期待されていると感じた。
そんなことを思っているとサットは別の話題を口にした。
「リック、私はしばらく商務大臣の公務で王都に出かける。」
「そうなのですね。」
「うむ、そこでリックに王都についてきてもらいたいのだ。」
「僕もですか!?ついに僕にも行政官としての仕事が…」
リックはそんなことを思った。しかし、
「それはリックにはまだ早い。早くても20歳にならなければな。実は王都でリックと同じ15歳の子供も集めた社交会が開かれる。」
「社交会ですか…」
「うむ、だがこの社交会ただの社交会ではない。将来有望な婿、嫁を見つける場なのだ。」
「えっ!そのような会に…」
リックは少し驚いた。
前世の感覚では婿や嫁を探すなどこの歳では考えられない。
子供達はこの世界、ハイド王国では14歳まで各領地にある学校で学ぶ。その間、他の領の貴族の子供と出会うことはない。
そのため貴族の子供達は15歳の年に社交会で初めて他の領の貴族と出会い将来の夫、妻を見つけ出すそうだ。
「リック、しっかりと準備をするのだぞ。」
サットは最後にそう言い、リックは自室へと戻っていった。
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