第5話 外注しましょう。

リックは自室に戻り、早速温泉街の計画を作る。予算は白金貨3枚=3000万円だ。

前世と比べて物価はかなり安い。同じ3000万円でもできることはかなり多い。

そう考えるととても動きやすいし、やりやすさも感じる。


リックが想定する温泉街は比較的コンパクトなものにする計画だ。旅館やホテルを4棟作り、それぞれに温泉を引っ張ってくる。

そして旅館、ホテルもそれぞれにコンセプトを設ける。

例えば露天風呂付きの個室のみの貴族や富裕層向けの旅館、大浴場があり客室を多く持つ一般客向けのホテルなどだ。

この他にも飲食街を作り、周遊できるようにもする。

まるでリゾート地である。


リックは計画の詳細をまとめセバスに渡し、サットに渡すようにお願いした。

その後も少しの間、建物の規模や飲食店など計画を練った。


そして時は既に夕食の時間となっていた。

リックは食堂へと向かう。

食堂へと向かう途中、既にとても美味しそうな匂いがしてきた。


「これはきっとご馳走だな!」


リックは急いで食堂へと向かった。

食堂にはサットと母であるナリアが既に席に着いていた。

リックも急いで席に座る。


「リック、サットから聞いたわ。次期領主として色々としてるみたいね!」


「はい、母様。このネスト伯爵家、領地のために頑張ります。」


「頑張ってね。応援してるわ。でも無理はしちゃダメだからね。」


ナリアは優しくほほ笑みかける。

初めての仕事に取り組む息子のことがとても心配なのだろう。


「そういえば、リック。先程セバスから詳細計画を見せてもらった。早速建設を始めたいと思っている。」


「えっ、もうですか!そんなに早く動けるものなのですか!?」


サットの言葉にリックは驚く。

前世では新規事業をしようとすると様々な手順を踏まなければならない。

今回の計画は言ってしまえば公共事業だ。業者の選定など前世ではとにかく時間がかかった。

しかし、この世界では全てトップダウン。話が早く進む。


「街の土木省ネスト支部には話を通しておいた。人手が足りないのであれば人を他にも雇ってよい。」


「父様、ありがとうございます。そうとなれば僕も急いで計画を作り上げます!」


リックはそういうと急いで夕食を取り、自室へと戻った。


「明日には土木省に計画書を渡せるようにしないとな…」


この日、リックは徹夜で計画を書き続けた。


______________________________

気がつけば外から陽の光が差し込む。

転生してから2日目。

初日から大忙しだった。

リックは計画書を無事書き終え、セバスと共に土木省ネスト支部へと向かうのであった。

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