第3話 異世界で温泉です。
リックは早速ネスト領のことを調べるために屋敷の書斎へと向かう。
この書斎には歴代のネスト伯爵が集めた書物が保管されている。
リックは本棚を物色し、1冊の本を見つけた。
題名はネスト伯爵領の歴史。
ネスト領のことを詳細に記しているに違いない。
「よし、これを今日中に読み切ろう。」
リックは書斎の椅子に腰かけ、早速読み始める。
読んでいくとどうやらこの本は先代のネスト伯爵、つまりリックの祖父が逝去した際に作られたモノのようだ。
読み進めていくと、炭鉱のことが多く記されている。サットが話していた通りだ。
リックはさらに読み進めていく。するとある記述が炭鉱の話の中に出てきた。
「第3鉱山を掘り進める中で水源を見つける。水はとても温かい…これって!」
温かい水、つまり温泉である。
「まって、このネスト領に温泉なんて聞いたことがない。…まって、この世界には温泉という概念がないのかな?」
リックはこれを活用しない手はないと思った。
「よし、早速現地調査だ!」
リックはすぐに屋敷を出るのであった。
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第3鉱山、ネスト領の領都バンから東に30分程の場所にある。
しかし、その鉱山も採掘量の減少に伴い、活気は失われていた。
作業員たちは必死に掘り続けるが出てこないものは出てこない。
リックはすぐにでも対策をしなければと再認識する。
第3鉱山にはセバスも着いてきた。と言うよりも読んだという方が正しい。
サットの秘書もしている彼ならばリックとしても心強いからだ。
「リック様、第3鉱山までどういったご用件で?」
セバスとしては採掘量の減った希望のない鉱山に連れてこられて不思議に思っている。
「セバス、ここにネスト領を復活、いや発展させる大きなカギがあるかもしれない。」
「リック様!ほんとですか!?…サット様は今日あの話をされたばかりだと言うのにもう解決策を見つけられたとは…」
セバスは驚きを隠せない。
当然だろう。15歳のまだ政務をしたこともない子どもが言うのだから。
「セバス、この鉱山内で閉鎖されてるところがあるって聞いたんだけど、そこへ案内してくれないかな?」
「閉鎖されたところですかな?…うーん、あっ!あります。ご案内致します!」
セバスは思い出したようで早速その場所へと案内をしてくれた。
そこは3分程坑内を進んだところにあった。
「リック様、こちらでございます。」
「セバスありがとう。」
セバスが案内をしてくれたそこは木の板で閉じられていた。
リックはその木の板の近くに行く。
すると空気の変化があった。
「温かい…」
「温かい?…リック様ここに一体……」
セバスがリックに尋ねる。
「このネスト領を救う救世主、温泉だよ!」
リックは笑顔で言うのであった。
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