第13話 きららに全力で土下座しなければ

 女子高生の入浴しているところに足を踏み入れようとし、裸を見たうえ、タオルで体を拭いてしまった。絶対に許されない失態を、三つも同時に犯してしまった。きららは注意しなかったけど、はらわたが煮えくり返るほど怒っているに違いない。


 きららはパジャマ姿で、部屋に入室してきた。それを確認すると、地面に頭がつくくらいの土下座をする。


「きららちゃん、さっきはごめん・・・・・・」 


 全力謝罪をする男に、きららは優しい声をかけてきた。


「琢磨君、頭をあげよう・・・・・・」 


 ゆっくりと顔をあげると、いつも以上に輝いていた。小学校時代からの長い付き合いで、最高の笑顔だった。


「琢磨君に裸を見られたこと、体を拭いてもらったことはとっても嬉しかったよ」


「場を和ませるために、嘘をついているの?」


 まずいことをいったのか、きららは渋い顔に変わった。


「いつかわかるときが来るよ・・・・・・」


「いつか・・・・・・」


 きららのいっている意味が分からず、首を大きくかしげた。


「琢磨君、体は凝ってる?」


「ちょっとだけ・・・・・・」


「マッサージをしてあげようか・・・・・・」


 小学校時代はよくやっていたマッサージ。少しだけでいいので、受けたいと思ってしまった。


「うん。お願い・・・・・・」


 きららちゃんは瞳を輝かせていた。


「どこを重点的にやってほしいの・・・・・・」


「肩がいい・・・・・・」


「マッサージをするから、体勢を作ってほしいんだけど・・・・・・」


 マッサージの体勢を作ると、きららは腰のあたりにのっかかってきた。


「きららちゃん・・・・・・」


「マッサージをするときは、こうしたほうがいいと思うんだけど・・・・・・」


 細身ではあるものの、さすがは女子高生。体重はそれなりだった。


「きららちゃん、のっかかるのはやめてほしいんだけど・・・・・・」


「わかったよ・・・・・・」


 きららは素直にいうことを聞いたため、ヘルニアの危機を回避できた。若いころに無茶をすると、年を取ってから苦労すると父は口癖のようにいっている。


「マッサージを始めるね」


 肩に力が加わった直後、背中には柔らかい感触が加わる。後ろを振り向こうとするも、首はそこまで回らなかった。


「きららちゃん・・・・・・」


「肩は手でマッサージ、背中は胸でマッサージしようと思って」


 小学校時代の大胆さは、高校生になっても健在。昔と変わっていないことに、ちょっとした安心感をおぼえていた。

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