第12話 琢磨君に体を拭いてもらいました(きらら編)

 琢磨君は一人で入浴をすませてしまいました。本日については、二人のお風呂タイムはお預けです。


 湯船に体をつけると、琢磨君の匂いがかすかにします。たったそれだけのことなのに、舞い上がってしまうなんて単純ですね。


 琢磨君の匂いのついたお湯を、腕、胸などにかけます。体だけでなく、心もぽかぽかになるのを感じました。


 お風呂はダメだったとしても、一緒に睡眠を取ることはできます。一つの布団で肌を温めあえればいいですね。


 琢磨君は早く寝ることもあると、おかあさんから情報を得ました。睡眠を取ったあとに、こっそりと同じ布団で眠ろうと思っています。ちょっと強引かもしれませんが、鈍感度10000点にはこれくらいはしなければなりません。


 湯船につかっているとき、誰かがお風呂室に入ってこようとします。条件反射的に、言葉を発していました。


「お風呂に入っているので、開けないでください」


「きららちゃん、ごめん・・・・・・」 


 お風呂室の向こう側から聞こえたのは、琢磨君の声でした。絶好のチャンスを逃し、大きな溜息をつきます。


「琢磨君、どうしてやってきたの?」


「かあさんから、お風呂場の様子を見に行くようにいわれたんだ・・・・・・」


 お嫁修行をサポートするため、いろいろとアシストをしてくれています。おかあさんには感謝しても感謝しきれませんね。


 今すぐお風呂から上がれば、裸を見せることができます。びしょびしょの状態ではあるものの、すぐにお風呂を終えることにしました。


 狙いはぴったりとあたり、琢磨君に裸を見せることができました。戸惑いながらも、顔を赤くしているのはかわいいです。


「きららちゃん・・・・・・」


「小学校時代みたいに、体を拭いてもらいたいんだけど・・・・・・」


 小学校時代の習慣は完全に抜けていないのでしょう。琢磨君はタオルを取ると、背中を拭き始めます。好きな人の体温を直に感じられて、幸せいっぱいでした。


 タオルがあるところに触れた直後、琢磨君の手はぴたりと止まりました。


「きららちゃん、あの、その・・・・・・」


 口元に手を当てたあと、クスリと笑いました。


「琢磨君は面白いですね・・・・・・」


 琢磨君は逃げ出し、一人ぼっちとなります。すぐに追いかけたいところですけど、琢磨君以外に裸を見られるわけにはいきません。体の水分をきっちりと拭いてから、服を着ることにしました。 

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