第6話 下校ももちろんいっしょです(きらら編)

 おいしいお弁当をふるまって、心と胃袋をつかむことに成功しました。さらにアプローチをかけて、ハートもつかんであげますね。


「琢磨君、一緒に帰りましょう」


 琢磨君と下校するのは、小学生を最後にありません。好きな人といられなかったこともあり、いつもさみしさを感じていました。


「ずっと一緒にいたら、しんどくならないか」


 琢磨君の心無い言葉を聞き、レディーのハートは大きく傷つけられます。


「そんなことはありません。むしろ、一緒にいたいくらいです」


「それならいいけど・・・・・・」


 顔を赤らめながら、ある提案をします。


「琢磨君、手をつなぎましょう」


 琢磨君は手をつなぐと聞いて、顔をそむけてしまいました。


「きらら、すっごく恥ずかしいんだけど・・・・・・」


「登校するときも手をつないだでしょう。いまさら、恥ずかしいはおかしいよ」


 二人の距離感をクラスメイトの前で見せつけてやります。幼馴染のころから大好きだった男は、絶対に渡してなるものかです。


 琢磨君はどういうわけか、頭に手を当ててきました。思わぬプレゼントに、体内は温まっていくのを感じました。


「きらら、今日はどうしたんだ。熱でもあるのか?」


 ここまでアピールしても、まったく気づくそぶりはありません。女心に世界一疎い男といっても過言ではないと思います。クラスのあちこちから、諦めに近いため息が漏れています。

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