第5話 昼食を一緒に食べます(きらら視点)

「琢磨君、弁当を一緒に食べよう」


 琢磨君は眠いのか、顎を大きく開けました。寝不足だとするならば、人肌で温めてあげるといいですね。安心感アップで熟睡させてあげましょう。


「ああ、わかった」

 

「二人で食べたいので、屋上に行きましょう」

 

 弁当を作っていると知った男たちは、次々と嫉妬の声をあげます。


「一緒に登校するだけでなく、弁当まで作ってもらうとは。うらやま、けしからん男だ」


「俺たちにもちょっとくらい、幸せをおすそわけしやがれ」


「そうだ、そうだ。琢磨ばっかり不公平だ」


「俺も幼馴染だったらよかった」


 男の欲望の声を聞き、女たちの視線は冷たくなっていました。女の子はデリカシーのない男を徹底的に嫌います。


「きららちゃん、あんまりやりすぎると居場所が・・・・・・・」


 笑顔を作ったあと、冷たい言葉を発する。


「琢磨君に嫌がらせした男は、自主退学に追いこんであげる。何も心配することはないよ」


 男たちを威嚇するには、十分すぎるレベルだったのでしょうか。先ほどまでの声はぴたりとやみました。琢磨君の脅威を取り払えたことに、とっても満足していました。


 琢磨君はなかなか席を立ちあがりません。まどろっこしさを感じてしまったのか、掌をつかみます。体に温かさが突き抜けたことで、たっぷりの幸せを感じることができました。 


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