第3話 二人で登校(きらら編)

 琢磨君と二人で学校に登校します。小学生以来ということもあって、とても懐かしい気分になっています。。

 

「きらら、懐かしい感じがするな」


「そうだね。すっごく懐かしいよ」


 小学校時代は二人で登校していました。 いつも一緒だったので、クラスメイトに茶化されることもありましたけど、どうでもいいことのように感じていました。好きな人の隣にいられるのは、これ以上ない快楽なのですから。


 手をつなぎたいアピールをするも、気づく気配はまるで感じません。女心に対する疎さは、ますます磨きがかかってしまっているのではないでしょうか。


 こちらからは好きとは、できることなら伝えたくありません。本命の男子から「好きです」と告白されて、おつきあいをスタートさせたいです。 


 道を歩いていると、カエルの鳴き声が聞こえます。カエルを昔から苦手としていた私は、無意識のうちに琢磨君に抱きついてしまいます。


「きらら・・・・・・」


「ご、ごめんなさい・・・・・・」


 琢磨君に謝ったあと、二つの体を離します。抱擁していた部分には、大好きな人の体温が残っていました。幸せのあまり、わけのわからない声を発しそうなのを感じました。変な人に思われたくないので、必死に我慢しておきましょう。


「昔と比べて、柔らかくなったな・・・・・・」


 天然度200パーセント発言に、顔は真っ赤に染まりました。


「胸が大きくなったことをいいたいの?」


 琢磨君はたじろいた顔を見せます。困っているところをもうちょっとだけ見たくて、意地悪をしてみようと思いました。


「手で触れたほうが、柔らかさを堪能できるよ」


「恐れ多すぎて、そんなことはできないよ」


 胸を触っていい=大好きというアピールなのです。それに気づかないあたり、鈍感さは最強クラスに達しているといえるでしょう。


 最初から刺激を与えすぎると、脳がパンクしてしまいます。少しずつ、少しずつ距

離を詰めたほうがよいですね。

 

 学校が目の前に近づいてきました。二人きりの時間が強制終了することに、たっぷりの寂しさを感じています。


 体温が残っているのかを確認するため、胸に手を当ててみます。ほとんどは消えているけど、かすかに残っているのを感じます。彼の温もりを感じたことで、普段よりも頑張れそうですね。

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