第4章 青く美しい高級な宝石

 修学旅行が明けた放課後のSHRショートホームルームで、イオナル先生は宝石が見つかったという情報を27組のメンバーに伝えた。


 私たちは終礼が終ってないのに、勝手に教室を飛び出した。


 荷物はもちろん、教室に置きっぱなし。



 グランドに散らばって宝石を探した。が、すぐに委員長が見つけて私たちに伝えると

「委員長やるーっ!」

 と自分らのクラスメイトはあちらこちらからジャンプをした。



 宝石をキレイに磨くために南館の地学研究室に入った。

 そこはとても広く、電子顕微鏡があり、天体望遠鏡まであるので、私たちはビックリしてしまった。


 まず、宝石の質量を知るために上皿天秤で測った。

 上皿の左側に泥で汚れた宝石を薬包紙の上にそっと置き、右側に薬包紙を敷いて、分銅を使った。


 結果は5000カラットだった。


「めっちゃ高級品やん!」

 光り物が好きなブルーンが青い目を光らせる。


「うん、人生初高級品な宝石を見た」

 私は真剣な目つきをした。


 次は何の宝石か調べた。

 委員長が純水で宝石を優しく洗った。

 だんだん青い姿が見えてきた。


 この時点で私たちは興奮しつつある。


「ちょっと静かに!どんな状況かを察知せよ」

 委員長が私たちに注意すると、みんなはすんなり静かになった。



 宝石を洗い終ったあと、机の上に雑巾を置いて、何の宝石かを確かめることにした。


 この時の時刻は15時45分。

 要するに、何の宝石なのかで迷いすぎているわけだ。


「……よし、続きは明日にしよう」

 委員長が私たちの目線を合わせた。


「おいおい委員長、明日は土曜日だぞ。しっかりしろよ」副委員長が目を細めると「そうやったっけ」と委員長は笑いながら頭をかいた。


「うーわ、恥ずかし」

 私は笑いながら軽くダメ出しをした。


 それから私たちは手をパンパンたたきながら大爆笑した。



 ところが、ここで、ガチャガチャとカギを開ける音がした。

 おかしい、この地学研究室はすべてのカギを締め切ったはずだ。


 ドアが開いた。私たちは急に沈黙状態に。


「おい!お前らぁ!終礼が終ってないのに教室を出て行くのはどういうことだ!?」

 姿を現した者は、イオナル先生だった。


「いや、もうすでに終礼は終っていますよ」

 委員長は平気で嘘をつく。


「お前らはアホか!明日はみんなに物理基礎の小テストを受けてもらうぞ!」

 イオナル先生はブチギレた。


 実は、あの先生おっさんは物理の先生なのである。多くの人は物理が嫌いだ。しかも、宿題の解説中に別の解き方を教えたりするから、余計にわからなくなるのだ。


「たったあんだけで、小テストとかふざけ過ぎかぁ!」

 ケンカの強いネオン・レーザーがタメロで腕を組み、前に出て来た。

 ネオンは柔道部で、女にとってはかなり力がある。


 でも、私はいくら何だって先生に暴力を振るうことはあんまりだと思い、彼女の体をしっかりと捕まえ、やめとけと言った。


 彼女は先生をギリッとにらんだ。

 その行為に、私たちは手も足も出なかった。


 そこで、とある地学の先生がここに来て「君たち、終礼は終ったんかね?」と尋ねた。


「もちろん終わりました」

 私たちは口を揃えて明らかな嘘を言った。


「ほれ、先生、生徒の言うことが間違っているとでも言うのですか?」

「当たり前ですよ」

「んじゃあ証拠があるとでも?」

 副委員長は勇気を出して発言する。


「それは……」

 イオナル先生はうつむいた。


「先生、証拠がないのに、勝手に私たちに怒鳴りつけるのは極めて良くないと思います」

 私はいつもより低い声が出た。


「す……すみませんでした……」

 私の発言にイオナル先生は無意識的にクラスメイトに土下座をした。


「……ヤッター!初めて先生に勝ったぁ!」

 委員長みたいなムードメーカーは大喜び。


「あのね、何の勝負なの?誰も勝負なんて一言も言ってないよ」

 キャリンは机の上をたたいた。


 一瞬静かになった後、互いに笑った。


 そして、イオナル先生は諦めてその場を去った。


 これで終礼事件の決着がついた。


 嘘を言った自分たちが勝つとは誰も思っていなかったのだろうか、いや、勝つと思っていたはずだ。


 何だって、生徒の方が知恵がはたらいているからね。




 ケイトは腕時計を見た。時計の針は16時15分を指していた。

 委員長は地学の先生にこれは何の宝石かを尋ねた。


 答えはサファイアだった。


 これを聞いて、始めからそう言い切ったら話は早かったのにと思った。


 ということは、さっきまでの時間はサファイアだと思っていたけど、もしそれが嘘だったら、周りから責められることを恐れていたので、考えているふりをしていたのかもしれない。


 そこで、先生が

「でも、こんな宝石は見たことがないね」

 とデカイサファイアを眺める。


「グランドです。オレが見つけました」

 委員長は後ろに手を組む。


 先生は感心した。まさか、グランドでサファイアがあったとは思ってもいなかったのだろう。



 少し時間が経ってから、ブルーンは

「この宝石は誰のものになるん?」

 と聞いた。


「当然、オレのものだ」

 委員長は仁王立ちをする。


 ちょっと、自分らにも分けて欲しいよぉ。と言うように、お互い言い合いになる。


「諸君、また今度にしないか?もう下校時間だぞ」

 先生は掛け時計に指を指した。


「そうですね」

 私たちは挨拶をしてから研究室を出た。



 17時、私は家のカギでドアを開けた。


 目の前に現れたのは、やっぱりミスティだった。


「お姉ちゃん、何か機嫌が悪いよ。どうしたん?」

「サファイアを取り合っているんだ」

 ミスティに聞かれ、私は放課後の出来事を話した。


 妹はビックリして

「校庭にサファイアが見つかったんやってぇ!?ちょっと調べてみる」

 と言って、早速2階へ行ってしまった。



 10分後、ミスティはドタドタと階段を降りる。


 プリントアウトされた紙をじっくり見ると、次のことが書かれてあった。


 ――当時、フェイス高校の初代校長先生が他の高校に転勤する時に、もっとにぎやかになって欲しいという気持ちを込めて、グランドの隅に、彼のお気に入りの高級品のサファイアを埋めた。

 それから、当時の新1年生が、にぎやかな人が揃って、他学年も急ににぎやかになり、全体の学校の雰囲気が良くなった。

 あれから30年経った今でも、誰にも見つかっていない。

 もし、見つかったら、見つけたクラスの絆が深まると言い伝えられている。――


「ふーん、知らなかったなあ。これ、どこで見つけたん?」

 私は畳の上にあぐらをかいた。


「学校の裏のホームページよ」

「裏のホームページ?そんなぁ、どこにあったん?」

「ほんの端の端に『学校の伝説』と書かれていたから、気になってね」

「よくそこまで見ているなあ。私、感心したよ」


 私はもう一度その紙を読んだ。

 見つけたクラスは絆が深まるというところに感動した。


 私たちのクラスがもっと仲良くなれるのがとても嬉しかったのだ。


 ミスティにお札を言おうと思ったが、いつも通り、友達と電話しているから、心の中でありがとうとお礼を言った。



 24時、エナメルから一斉送信されたメールを読んだ。


 ……明日は10時に地学研究室に集合かぁ。土曜日に学校に行くなんて……


 どう考えても良い時間だ。


 でも、眠れないので、ミスティが調べてくれた学校の伝説をクラスに一斉送信した。


 みんなからすぐに返事が来て『ヤッター!絆が深まるなんてサイコー!』っていう内容や、それに似たメールが届いた。

 伝説の話をしてから、クラスメイトたちは興奮している。

 私はその伝説を教えてあげて良かったと思った。



 翌日の10時、27組のメンバーは地学研究室に集まった。


 本題に入る前に、私が一斉送信した学校の伝説の話をした。


 伝説の話をしている真っ最中に

「この宝石は自分のものだ!」

 と突然取り合いが始まってしまった。


 昨日、中断したところから一歩も進んでいない。


 ネオンは委員長に良い方法がないかを尋ねた。

 でも、宝石はたった1つしかないので、委員長は返事が出来なかった。


「じゃあ、この宝石を40人に等分したら良いんだよ」

 ナノは手を合わせる。


「お前、そんなんな、上手に変形出来ると思うか?」

 ジム・ポラスが説得させるような言い方をし、ナノは黙ってしまった。


 確かに。宝石を分け合うのはとても良いことだ。しかも、宝石加工する機械が数多くある。

 でも、宝石をカットするのに相当な技術が必要だから、素人には当然出来るわけがない。


 もし、宝石のカットが出来る人がいれば、話はすぐに終わるのだが、今の状況を見ると

「ジャンケンしようぜ!勝った人がこの宝石がゲット!」

 という話になっているので、割り込むわけにはいかない。


 たとえ、40人でジャンケンしても、負けた人がかわいそうだし、すぐに勝ち負けが決まるなんてことはめったにない。


 では、どうしたら良いのだろうか。


 そんな時、私はケイトに肩を軽く突っつかれて、彼女の話を聞いた。


 私は思いっきり大きな声で

「みんな、ちょっとジャンケンするの止めて」

 と言った。


 みんなは体の動きが止まった。


 私は胸から修学旅行で使ったあのステッキを取り出し、宝石に魔法をかけた。


 宝石は発光ダイオードのように、青く美しく光り、40個に分かれながら変形していく。


 ついに出来上がったのは星型のストラップと、クロス型のストラップで、各20個ずつ現れた。

 もちろん、宝石の質量はちょうど125カラットずつになっている。

 もう1回ステッキを振って、女には星型のストラップ、クロス型は男子の手元へ行き渡った。


「バーリン、お前スゲェなぁ!」

 委員長から褒められ、他の生徒からにも褒めちぎられて、私は恥ずかしかったけど本当に嬉しかった。


 サファイアのストラップは、自分のスクールバッグにつけた。


 私たちは騒ぎながら40人とベラベラ喋りながら下校した。


 これで、27組の絆が今よりも深まったので、30年に渡る伝説は本当にその通りになった。


 この伝説は素晴らしいものだね。

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