小林探偵と、いくらの事件帳

第1話 いくらの雨

午後3時、平穏な町は突如として奇妙な現象に見舞われた。空からいくらが降り注ぎ、通りはあっという間に赤い海のようになった。住人たちは驚き、興奮、そして不安の入り混じった反応を示した。

小林修は、この珍事を聞きつけて現場に急行した。彼はそこで、子供たちが歓声を上げ、大人たちが困惑する様子を見つめながら、深く考え込んでいた。この事件は単なるいたずらか、それとも何かの前触れなのか。その時、彼の隣で老婦人がつぶやいた。

「こんなことは、昔もあったわ。でも、その後に起きたことがね…」

その言葉が小林の心に引っかかった。彼は老婦人に詳しい話を聞こうとするが、彼女は急に口を閉ざし、去ってしまう。不審に思った小林は、彼女の後を追うが、人混みの中で見失ってしまう。

その夜、小林は自宅でこの事件について考えを巡らせた。いくら散乱現象の背後に隠された意味は何か、そして老婦人が言及した「その後に起きたこと」とは何か。彼は、これらの謎を解き明かすためには、町の歴史を探る必要があると感じた。

翌日、小林は地元の図書館を訪れ、町の過去に起きた出来事について調査を開始する。時間を忘れるほど熱中して調べていると、ある古い記事に目が留まった。数十年前、同じように町にいくらが降り注いだ後、町は大きな事件に見舞われていた。

この発見により、小林は事件の調査に新たな糸口を見つける。彼は、この過去の事件といくら散乱現象が何らかの形で関連していると確信し、真相に迫るための手がかりを求めてさらなる調査を進めることに決める。

一方で、町ではすでに新たな騒動が持ち上がり始めていた。いくら散乱現象の直後に発生した小さな爆発事件。これは一体何を意味しているのか。小林は感じていた。この平和な町に、大きな嵐が迫っていることを。

こうして、小林修といくらの事件帳の物語は、動き出したのであった。