第4話 仲間
「俺は
「ビィークリぃにんげぇん。良い言いまわーしだねぇ」
俺の加入が決まってすぐ皆の【神力】の紹介、並びに自己紹介をすることになった。
「それじゃあ私達の【神力】とその概要、私達自身についても軽く教える。」
「はい!」
「まずは
そして颯真の【神力】は直に体験したから分かりやすいだろうが、ホルスの【神力】で翼を生やし高速で飛行することが出来る。炎を放出する事も可能だ。颯真から何か補足は?」
「完全な鳥の姿になることも出来る。が、メリットがないのであまりしない」
「だそうだ。次に私、
私の【神力】はハデス。他と比べ高い身体能力と炎の放出、骸骨兵の召喚が可能だ」
「骸骨兵?」
「その名の通り骨の武器を持った骸骨の兵士だ。私の力が尽きるまで無限に呼び出せる。ただ、骸骨の戦闘能力は一般人レベル且つ通常兵器も効く」
「なるほど……」
「そして
(……割と寄せてるだろ)
俺は本音を心の中に閉じ込め、説明に集中し直す。
「夏雄はポセイドンの神力者で海水を自由自在に操れる。海辺では敵無しだが、海から離れすぎると海水を操れなくなる為、ある程度の海水は水筒に入れて持ち歩いている」
「へぇ~なるほど。ここにいる皆さんの【神力】は分かりました。それで他のメンバーの方は?」
俺がこう言った瞬間、先程までバッチリと合っていた春人さんの目線が右上へとスライドした。夏雄さんと颯真とも全然目が合わない。
「あの~春人さん? 他のメンバーって……」
「……いない」
「え?」
「……だから…………ここにいる4人だけだ、HOPEsは」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!? 4人? 俺が4人目のメンバーなんですか? 4人だけでどうやって日本を救うんですか!?」
「仕方無いだろう!? まだ発足から1週間しか経って居ないんだから!! これから増やすんだ!!!」
「えぇ……」
いやまぁ、人数が少ないからと言って自分の何かが変わるって訳では無いけども。
「4人かぁ……」
想像とは色々違ったが、こうして俺のヒーローへの道がスタートした。
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ちなみに、俺の母は俺が「やりたい!」と言ったら2つ返事で了承してくれたし、学校を辞める事も特に止めなかった。春人さんには止められたけど熱意を伝えたら俺に任せてくれた。
なんというか……周りの人間が俺の事を大人として扱ってくれているのが少し嬉しかった。
HOPEs加入から一週間が経った現在、俺は春人さん達の実家(現HOPEsアジト)に住み込みで働いている。仕事内容は主にパトロール。
至って順調なスタートを切った俺は、なんやかんやあって今ーー
「はじめまして。今回面接官を務めさせていただくアレスと」
「ホルスと」
「ハデスです」
面接官になっていた。
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‐五日前‐
「てことで、まずは人員の確保が最優先。正しい思想を持った、正義感のある神力者が欲しいんだ。そこで今から面接活動、
「いや、来ますかね? 普通来なく無いですか神力者なら。政府の罠だと僕なら思います。もう少し作戦練った方がいいんじゃないですか春人さん?」
「くっ相変わらず颯真はチクチク刺すな……あぁ、そういえば私も忘れてたから強くは言えないけど、この前決めた『神の名で呼び合う』ってルール忘れないようにね。今の内から癖つけとこう」
「……それは、そうですけど。面接活動の問題について何も解決してないですよね。どうするんですか。結局」
「……あの〜なt、ヴヴン!……ポセイドンさん。ホルスってあんなにツンツンキャラでしたっけ」
「あー彼はねぇ~、初対面の子にはぁ、優しいーんだけどぉ顔なじみにはあーなんだぁ。多分、あっちが素なんだろぉーね。まぁ〜悪い子ではなぁいからねぇ~」
それは多分本当なんだろう。なんだかんだ言って優しい。それはここ数日で分かった。
「やっぱり僕がスカウトしてくるのが一番です。現にアレスはそれで連れてきたんだ」
「お前はあれがスカウトだと思っているのか」
だが若干天然……というかバカタレなんだろう。イかれてる。
「神力者に安心してもらえる様な何かがあれば良いのだがな」
「んん~やぁーぱりぃ、実績だろ〜うねぇ〜」
「うーん実績か……あっ! お前泥のおっさん倒してたじゃんホルス!……てか俺もロンゲ野郎倒してるわ! これって実績じゃね!?」
「現状、それを拡散する手段がない。そもそも信憑性がない。だから出来ないんだ」
「捨て身だが、メディアへの露出が必要かもしれんな」
そんな割と真面目な会議をしていた時、俺達はテレビから気になる情報を入手した。
『ここで速報が入りました。
「……俺、行ってきます!」
「待て! 政府に捕まればどうなるかわからんぞ!」
「湾区なら注目度も高いしニュースになる! 俺らの価値を政府に認めさせれば色々楽でしょ? 実績上げて帰ってくるんで待ってて下さいよ!」
「僕も行きます」
「颯真まで!……はぁ……」
「まぁいつまでも隠れちゃぁいられないからねぇ~」
「……まぁ、そうだな……ホルスがいれば安心だろうが、そもそも相手に勝てるとは限らない。……追いかけよう」
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「あれじゃねぇか?」
「あぁ、その様だな。一気に行くぞ」
「おうゔぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
(クソっ! マジでこれだけは慣れねぇ!)
着地の衝撃が走る。俺はホルスの背中から飛び降り正面を見ると、分かりやすく強そうな紫色のマッチョがビルにしがみついていた。
「……ありゃ強そうだな」
「理性的でもなさそうだ。隊員には出来ないな」
「んじゃ、いくぞ!」
俺の掛け声とほぼ同時にホルスが紫マッチョまで飛んでいき引きずり落とす。近くで見て初めて気付いたが3mはある。
「グワァァアァァァアアァァァア!」
理性を感じない叫び声と同時にこちらに飛びついてくる。
俺は飛んで躱わしたが、背後にあった車はぺちゃんこになっていた。幸いなのは誰も乗車していなかった事だろう。
「アレス! 畳み掛けるぞ!」
こちらを向いた紫マッチョの顔面に、ホルスが良い蹴りを喰らわせた。俺も咄嗟に顔を抑えるマッチョの体を乱打する。
が、マッチョは怯む様子を見せずにすぐにまた暴れ始めた。
「おいホルス! まるで効いてねぇぞ!」
「いや、そうとも限らない。アレス。このまま奴の隙を縫って攻撃を入れ続けろ」
「あ?……分かった」
効いてる気がしないが、俺は奴に攻撃を入れ続けた。
すると奴は僅かだが動きが悪くなってくる。
「どうなってんだ?全然痛そうにしねぇのに……」
「なんとなく言動でわかるだろうが、こいつは暴走している。そういう【神力】かどうかはわからないがな。だが痛みを感じなくともダメージは通る可能性が高い」
「なるほど……つまりこのまま殴り続けりゃ!」
「あぁ。いつかは勝てる。行くぞ!」
紫マッチョが右腕を振り下ろす。地面が抉れる程の威力だが予備動作が大きくて読みやすい。
俺はマッチョの肘と肩に2発ずつ入れ、その
同じ要領でダメージを入れようと俺達の意識が相手の左腕に向いた時、
「……うぅ………………」
右の瓦礫から微かに女性の声が聞こえた。
それはホルスにも届いていたらしくホルスがふと右を向いた瞬間、紫マッチョの雑に振り回した右腕がホルスに激突してしまった。
ホルスは女性が下敷きとなっている瓦礫の正面まで吹き飛ぶ。
「ホルス!」
俺はホルスと女性の方へと駆け寄る。
「大丈夫か!?」
「ア……レス…………う……しろ…………」
後ろを振り向くと、紫マッチョが腕を振り上げてこちらに飛びついて来ていた。
(っ早く躱さないと……!)
だが、ここで躱せばホルスと女性にマッチョの攻撃がクリーンヒット。ホルスを抱えて避ける事くらいは出来るだろうが、下敷きになっている女性まで抱えるのは無理だ。
(かと言って俺にこの攻撃を跳ね返すほどの力は無い。あのビリビリが纏えればやれるかもしれないが、まだ感覚も掴めてない。
避けずにビリビリを使えなければ3人死ぬ。すぐに避ければこの人だけが死ぬ。なら……)
俺は即座に全神経を体の中心に集める。
(モーター……風車……洗濯機…………とにかく発電するイメージと回すイメージ。イメージイメージイメージっ!)
次の瞬間、俺の体にあの時の黄色い電流が流れる。
「おぉうらァッ!!!」
俺の拳と紫マッチョの拳は正面からぶつかり、両者十メートル程吹き飛んだ。
(いってぇ……今のでこれか…………そういやまだ全力でパンチした事無かったな)
俺が右の拳をさすりながら立ち上がると、奴はまた両腕を無邪気に掲げて俺に飛びついてきた。
俺はそのタイミングで紫マッチョのシックスパック目掛け、全力右ストレートをぶち込む。
「吹き飛べクソゴリラァァァッ!!!」
マッチョは正面のビルへと吹き飛び、ビルの柱ごと豪快に地面にぶっ倒れて六階分の瓦礫の下敷きとなった。
そして俺が上を見上げると、ヘリコプターに乗ったカメラを持った男とバッチリと目があった。
おまけ HOPEs隊員プロフィール&アジト紹介
【神力】ハデス 骸骨兵の召喚と炎の射出
身長186cm
81歳
好きな食べ物 みかん ポテチ
夏雄の兄 HOPEsの隊長 白髭白髪で髪も髭もどちらとも長い。茶色の甚平を愛用しており、冬場は上からコートを羽織る事が多い。
【神力】ポセイドン 海水を操る
身長187cm
81歳
好きな食べ物 ドラゴンフルーツ
春人の弟 黒髭白髪で髭は長いが髪は短い。 口調はマイペースが影響した。青い甚平を愛用している。
【神力】ホルス 背中に翼を生やし高速で飛行できる。炎を射出する事も可能
身長174cm
16歳
好きな食べ物 ポテトサラダ
ジーパンと白いジャケットを愛用している。中に着るものはその日の気分次第。
【神力】アレス 体に電流を流し身体能力を向上させる
身長171cm
16歳
好きな食べ物 チャーハン
那由汰に惚れている
上下黒の
アジト
都内の山中にポツリと建つ堀一家の持ち家であり、かなりの豪邸。現在は春人が所有者。
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