第18話 アドバン武術大会 ②
シズの協力で闘気スキルを習得したハンスは本線が行われるまでの3日間で新しい技の習得の為に訓練に明け暮れていた。
一方、エリー達は3人で型の訓練をしていた。シズは武術の心得があったので、型と意識するポイントを教えるとどんどん習得していき、自分のものにし始めていた。エリーとレイは歩法から型の練習に移行し目に見えて動きが良くなったのを喜んでいた。
「やっぱり闘気だと身体に透しやすくなってるから発勁みたいな事ができるね。それに身体の内部から攻撃していくから防御力とか多分関係ないよね。名前はどうしようかな?」
「あんた、ヤバい技作ったね。」
「これって当たったらほぼ負けってこと?」
「ハンス様さすがです!」
「うーん、ある程度の敵に対しては有効だけど、対策が無いわけでも無いと思うよ?」
(それに、この技はこれで終わりじゃないと思うんだよね。魔力と融合させてみたいし。)
「私たちも使えるの?」
「エリー!これはハンス様が作り上げた物ですよ?!」
「っ!!わかってるけど!」
「うん、使えるよ?ただ、まだまだ技術と理解力が足りないかな?最低でも僕と同じくらいの武術と闘気が扱えて、身体の構造を熟知してないと無理だと思う。」
「わかってたけど、無理だわ。」
「そうだね、少なくとも私でも全く理解できないよ。」
(うーん、シズなら身体の構造を理解できればできると思うけどな?それよりも名前を付けないとな)
「そうだ。身体に力を浸透させる拳で、浸透拳だ!おっ?!」
(なんだ?スキル欄に新しいスキルが出てきた。)
名前:ハンス・フォン・ブルーダー
種族:人族
性別:男
魂格:オレンジ
マナ:960/960
力:200
魔力:320
スキル:魔眼、身体強化、剣術、二刀流、投擲術
属性魔法(火、水、風、土、雷、氷、無)
魔装、付与魔法、
特性:
浸透拳。身体に闘気を流す事で体内を攻撃する。
(やっぱり、雷神の時も思ったけどこの世界で初のスキルについては名前をつけた時点で反映されるんだ。それに、特性ってなんだろう?)
ハンスの魔眼(鑑定眼)のスキル?が上がったお陰でより詳しく見ることができていた。
「1回戦の相手誰だった?」
「僕は2学年生が相手だったはず。エリーは?」
「私はシルビアとだったわよ!」
「そっか!シルビアも強くなってるみたいだから気をつけろよ?」
「ふん!わかってるわよ!それよりもあなたこそ2学年生なのよ?わかってる?」
「ああ、わかってるよ、油断せずに頑張るよ、でも、4人とも別のトーナメントなら決勝トーナメント出れるかもな!」
「うん、相手に悪いことしちゃったかしら?
そうね、トーナメントで2位以内に入れるように頑張りましょう。」
「ん?そうだな、頑張ろうね!レイとシズも頑張ってるかな?ここからだと反対側だから見えないね。」
「少なくとも1回戦は突破できるわよ!」
「そうだね、あ!呼ばれたから言ってくるよ」
「ハンス、頑張って!」
「ありがとう!エリーも頑張ってね!」
「これより、アドバン武術大会本戦第1試合を開始する!」
審判の宣言により各闘技場で第1試合が始まった。
「あなたが今年の首席ぃ〜?」
「え、はい。」
「ふぅ〜ん。よろしくねぇ。私はロゼリエ、ロゼって呼んでねぇ?」
「あ、はい。ロゼ先輩。僕はハンスです。よろしくお願いします。」
「ハンスくんねぇ〜?それじゃあ、死なないでねぇ〜」
(え?死なないで?どうゆうこと?)
「始め!」
(うん?動かない?とりあえず、アロー系で様子見るか。)
「あれれぇ〜?来ないのぉ?」
「ファイアアロー!」
「あはは!それじゃ当たんないよぉ!ほら! もっともっと!」
(なんだこの人、直前で避けた?いや、俺の魔法の方が避けたみたいだったぞ。)
「それじゃあ、今度はこっちから行くねぇ」
(うっ!!速い!けど対処はできる!
えっ?!よけたはずなのに)
「あれれぇ?一撃だったはずなんだけどなぁ?」
(なんだ?俺が避けた先に攻撃してきた?読まれたのか?)
「あはは、考えてる考えてるねぇ、早く対処しないとまずいんじゃなぃ?」
(くっ!ダメだ。雷神を使うしかないのか)
「雷神」
「うぉ!早くなった!」
ハンスの対戦相手ロゼは昨年度の首席で1年生ながら決勝トーナメント出場者でもあった。ロゼをそこまで押し上げたのは、魔眼の能力の【未来視】を持っていたからである。
(うぅん。魔眼でも捉えるのがやっとだぁ、 まさか、こんな対策の仕方があるとはねぇ、ハンスくんやるぅ)
(やっぱり、速度は追いついてないのに、俺が行く先にすでにいる。まさか、未来視なのか?それなら、避ける先が無いくらい広範囲攻撃を撃ち込むしか無いのか?)
「ロゼ先輩、視えてたら、降参してくださいね。」
「えぇ?何言ってるのぉ?ハンスくん〜。」
(広範囲の攻撃なら、雷魔法がいいけど、俺もまだどこに行くかわかんないからな。ん?俺でもわからない広範囲魔法なら視えないんじゃないか?)
「もしかしてぇ、わかっちゃった?」
(雷は、空気中に溜まった静電気を逃す為に発生する。本来なら無造作に放電されるけど、雷を受け取ってくれる、+電子を相手の空気中に漂わせて、そこに向けて、貯めた−電子を放出する!)
「鳴神!」
「え?うそ、やば。」
ゴォォオオン!!!闘技場の半分が光と共に消え、気絶したロゼ先輩が出てきた。
(やばい、やりすぎたかも。)
闘技場は鎮まりかえっていた。凄まじい光と音に頭が付いていって無かったからだ。
(あっ!ロゼ先輩!大丈夫かな?)
「ロゼ先輩!大丈夫ですか?!」
「えぇ?うん、大丈夫だよぉ。衝撃が強くて
意識が飛んじゃってたぁ。」
「えぇ?!それって大丈夫なんですか?!」
「ふふふ、大丈夫よぉ?ハンスくんのお陰で楽しめたからぁ、それじゃあ、次も頑張ってねぇ?」
「は、はい!お疲れ様でした!」
「しょ、勝者!ハンス!!」
「「「「「うぉぉー!!!!!!!」」」」」
「やべぇぞ!あいつ!」
「え、あれって雷だったよな?」
「う、うん、雷だったけど魔法で出せるのか」
「マジかよ、雷帝だ!雷帝みてぇだ!」
「それより、ロゼって優勝候補の1人だったよな?」
「うっ!そうじゃねぇか!くそぉ!賭けに負けた!!」
(ふぅ、それにしても未来視かぁ、わかってても対処が難しいな。何か方法ないかな?
それよりも、今、雷帝って聞こえなかったか?まさか、俺の事じゃないよな?嫌だぞ?そんな二つ名みたいなの!!)
(ふふふ、まさか、第六感も扱えてない相手に負けるとはねぇ。けど、あんなのはハンスくんにしか出来ないことでもあるのかぁ。あぁ、面白いなぁ!リリスちゃんとはどうするのかなぁ?)
「ハンス!こっちこっち!」
「ハンス様!こっちです!」
「おぉ!お疲れ様ー。どうだった?」
「ふん!余裕だったわよ!」
「私も通過したー!」
「おめでとう!シルビアとの話も聞きたいけど、まずはシズのをみ終わってからだね!」
「シズは大丈夫でしょうか?」
「えっ?3年生相手でもシズがそう簡単に負けるとは思わないけど?」
「いえ、私もシズの強さはわかってます。しかし、相手は今年の3年首席のリリス様ですよ?」
「う、うん?でも首席ってことは強いってこと?」
「そうです。それはもちろんです。リリス様はあのシュタルク公爵家の才女で既に近衛騎士団に内定されているそうです!」
「へぇ〜。もう近衛騎士団に内定してるのは凄いね!それじゃあ、早く見に行かないとね!」
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