第15話 学園 ③
(あいつは退学になったのかなー?)
「ハンス様、昨日の事考えてるんですか?」
「あ、そうだね、入学してすぐ退学って可哀想なのかな?と思って。」
「そうですね、でも、決闘でのルールを遵守しないのは貴族としての恥なので仕方ないかと。それにこれ以上文句を言うつもりなら消すつもりでしたし。」
「えぇ?!!」
(シェリアの声がガチだ。こわい。)
「大丈夫だよ、シェリア、もしこれ以上何かしてくるなら、ジャパンからのアドラー領の取引を辞めさせるつもりだから。」
「そうですね、あちらの方でも、相当な量の取引を行ってたはずなので、有効ですね。」
「おはよう」
「おはようございます、エリー様」
「昨日は色々あったみたいね。」
「えぇ、まあ、降りかかった火の粉を払っただけだけどな。」
「まあ、あの人はこの学園には余り相応しくなかったものね。」
「まあ、そうですね。」
(まあ、その通りでもあるんだけど。何かされたわけでも無いし、実験もできたから、よかったかな?)
「おー、誰も遅刻してないな。それじゃあ、始めるぞ。とりあえず、今から受ける授業を選んでもらうぞ・・・・」
(うーん。金曜日は選択なんだ。一年のうちは魔法理論と模擬戦と錬金術の授業だな。)
「あ、ハンスは上級戦闘訓練を受けれな。」
「え?!僕まだ一年生ですよ?それに、他の授業受けれなくなるじゃ無いですか!」
「なんだ?嫌なのか?うーん、俺には借りがあると思ったんだけどなぁ?」
「うっ!!はぁ、わかりました。」
「よし、それでいいぞ!」
「それじゃあ、他のみんなは来週中に報告に来てくれ。」
(ふぅ、まさか、あんな言い方されるとはな。頼む先生間違えたかもなぁ。)
「それじゃあ、この後は模擬戦場に集合な。 各自、自分の装備を持って集合!」
「おーし、お前らの中にもこのクラス内の順位付けに気に食わない奴がいるだろ?まあ、それを解消するために今からトーナメント戦を行うぞー!」
(うん、なるほどね。確かに、特にみんな僕の事を疑ってるしね。)
「それじゃあ、これからトーナメントを行うぞ、あ、そうだ優勝した者には150ポイントあげるぞ!」
「おお!っしゃあ!やるぞ!」
「「「やるぞー!!」」」
(うぉ、みんなやる気だな。)
「はい、それじゃあ、一回戦目は誰かわかったな?それじゃあ、2つに別れて行うぞ、」
そうして、半分に分かれて一回戦が開始した。
「あの、ハンスさん!よろしくお願いします!」
「うん!よろしくね!シルビアさん!」
(うーん。魂格はレッドか、武器は、お?双剣使いなのか!かっこいい!)
「では、始め!」
(お、なかなか早い!纏も出来てる。その前にスピードを緩めさせる!)
ハンスは、シルビアが突っ込んできたところに手裏剣を投げた。
「っつ!!」
「そりゃ!」
シルビアが無理に避けたところを予測し、正拳突きを繰り出した。
「おお!一撃だ!」
「すげぇ!速すぎて見えなかったぞ!」
「へぇ、あんな隠し玉まで持ってたのか。」
そこからも特に負けそうな相手もいないまま準決勝。相手はレイ嬢だった。
「ハンス様、ありがとうございます。」
「え?どうしたの?」
「いえ、ハンス様のお陰でロイから離れることができました。」
「ん?婚約者だったんじゃ無いの?」
「まさか!ずっと、言い寄られていたんです。家の方でもそろそろ断り続けられなそうだった所で、退学になったので、もう大丈夫だと思います。」
(ああ、なるほど、そう言うことね。)
「それは、よかったね!でも、僕に感謝する必要はないよ、知らなかったしね!」
「いえ、それでも、そのありがとうございます。これからは、その、お友だちになりませんか?」
「え?ああ、うん!よろしくね!」
「もう話はいいか?始めるぞ?」
「へぇ?!はい!お願いします!」
「はい、大丈夫です!」
「それでは、始め!」
(レイ嬢は魔法使いか!先制のウインドバレットも中々の速度だった。それに、バリアも相当硬そうだな。)
そこからは、壮絶な魔法の撃ち合いだった。レイ嬢が撃ち出した魔法に同じ威力で相殺するのを繰り返していき、先に折れたのはレイ嬢だった。
「参りました。魔力切れです。」
「お疲れ様です。何回か危ないところがありましたが、なんとか持ちましたよ。レイ嬢の武器は魔法の展開数ですね?」
「はい。数では負けないと思ってたんですが。」
「いや、あれは攻撃を読んでたんですよ!」
「攻撃を読む?」
「はい。数回撃ちあっていく内に攻撃がパターン化されていましたので、間に合いました。でも、そこを逆に読まれてたら大変でしたね。」
「そうでしたか、ありがとうございます! よかったら、今度一緒に訓練してくれませんか?」
「え?あ、はい!もちろんいいですよ!」
「よーし、それじゃあ、決勝戦だな。」
「ハンス?なにやら、レイ嬢と仲良さそうでしたけど?」
「ああ、5才のパーティ振りに話してね、今度一緒に訓練しようって話してたんだ!」
「うっ!?そうですか。よろしければ私もご一緒してもよろしいですか?」
「あ、はい、もちろんいいのですが。よろしいのですか?」
「なにか?」
「あ、いえ、是非ご一緒に訓練しましょう!」
(危ねぇ、怖かったあ、聞いてはいけなかったみたいだ。)
「それじゃあ、始めるぞ。」
「始め!」
(うっ!ウォーターバレットで弾幕にして、急接近か!戦い慣れてる!)
「ハンス?本気でやってくださる?」
「っ!わかりました。」
(久しぶりに二刀流で行くか。まずは身体強化と纏。)
「エリー様、行きますよ」
「うっ!私もまだ負けませんよ!」
そこからハンスは武術のみ、エリーは魔術も交えての戦闘を繰り返していた。
「エリー様、そろそろ本気で行きます。」
(雷神を使って、一気に終わらせるか。)
一瞬だった。雷を身体強化に流し込んだハンスはまさに雷神の如く急接近からの一閃でエリーのバリアを壊した。
「ふぅ、ありがとうございました。」
「はぁ、まだ勝てないわね。」
「はい、まだ負けませんね。」
パチパチパチ!みんなからの称賛を浴びた。
「おいおい、ハンス速すぎるだろ!」
「あはは、僕の必殺技だからね!」
「うぉー!かっこいいな!」
「俺にも欲しいぜ!」
「よーし、みんなお疲れ!これからも定期的に行うからな!実力つけてハンスに勝ってくれ!それと、ハンス!おめでとう!150ポイントだ」
「ありがとうございます!」
「あははは!ありゃ無理だな!ハンスにしか出来んわ!」
「むぅ?どうしたのじゃ?」
「ハンスの速さの秘密がわかったよ。」
「お主でも無理なのか?」
「ああ、多分ありゃ、ハンスと契約している聖獣の特性が雷なんだろう。そのお陰で雷魔法に対して耐性を持っているからできるんだろうな。身体魔法に雷魔法を通すなんてのはな!」
「なっ?!て言う事は体に雷魔法の特性を帯させ高速移動したと言うのか?!」
「そうだろうな。移動時に雷の線みたいなのが出ていたから、多分読むとしたらそこを読んで戦うか、切られる覚悟でカウンターの罠を使うしか無いんだろうな。」
「お主がそこまで言うとは、やはり、凄まじいな。」
「まあ、まだまだ、成長する可能性を考えると、仙人にも至れるだろう。」
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