第12話 学園
「おはようございます。ハンス様!」
「おはよう、朝食はお祖父様達も一緒?」
「はい、ご一緒です!」
「そうか、なら、着替えたら早く行こう!」
昨日、王都邸に着いて、そこまで経ってないが、早速学園の試験がある。王都のアドバン学園はアルマー王国1の学園であり、5年生の学校で、学科などには分けられておらず、そして、実力主義の学園でも知られている。平民でも実力があれば入れるし、逆に貴族でも実力がなければ入ることはできない。そのせいか、公学園という、公爵領にある学園に通う生徒もいるらしい。だが、本当に優秀であればアドバン学園に通うので、アドバン学園を卒業するのは、全国民にとって一種のステータスになっている。
「おはようございます!お祖父様、お祖母様」
「おはよう、ハンス」
「ハンスちゃん、おはよう」
「よく眠れたか?」
「はい!よく眠れました!」
「そうか!それはよかった。」
「ハンスちゃんなら絶対合格できるわね!」
「はい、頑張って合格します!」
「うむ、それでじゃ、ハンスよ、昨日言っていた錬金術師じゃが、まだ王都にいるらしいぞ」
「本当ですか?!ぜひ会いたいです!」
「まあ待て、今日午後にここに来ると言っておったから、試験が終わったら会えるじゃろう」
「わかりました!早めに試験は終わらせます!」
「いや、試験は試験で頑張るんじゃぞ」
「あ、はい、少し気持ちがはやりました。」
「うふふ、ハンスちゃんもまだまだ子供らしい所あるわね」
「それじゃあ、頑張ってくるんじゃぞ!」
「はい!それでは行ってまいります!」
(道中でどんな物が欲しいか考えてたんだよなぁ、作れるといいんだけど!楽しみだなぁ!)
「ハンス様、学園へ着きましたよ!」
「ああ、すまん、今降りる!おぉ!これがアドバン学園か!」
「大きいですね!あ、あそこが受付みたいです。」
「うん、それじゃ行こうか。」
(うん?なんか、みんなに見られてるような気がする。)
「ねぇ、シェリア、僕なんか変なもの付いてる?」
「いえ、ハンス様がカッコよくて見ているんですよ、みなさん。」
「え?そうじゃないと思うんだけどなぁ。」
(いえ、みなさんハンス様の顔を見て頬を赤らめてらっしゃるので間違いないかと。ハンス様はあまり容姿には興味が無いようなので無自覚なのかもしれませんね。)
「ブルーダー辺境伯家のハンスです。よろしくお願いします。」
「は、はい!ハンス様ですね、この受付番号を持って、筆記試験会場に向かってください!」
「分かりました。ありがとうございます。」
「い、いえ。」
「それじゃあ、行ってくるよ。」
「はい!頑張ってください!お待ちしております!」
(さて、筆記試験だけど、180分で、歴史、数学、国語、魔術学だよな、うーん。歴史は覚えるの少なかったし、数学も中学生レベルだったし、国語も簡単、魔術学もほぼ完璧だからな、終わったら寝てもいいのかな?あ、えっと、誰だっけ、うーん、レイ嬢だ!とりあえず手を振っとくか!)
(うーん。やっぱり、歴史も、日本の歴史に比べて短いからな難しくないし、とりあえず、見返して大丈夫なら寝とこう。)
(おいおい、あいつ寝てるぞ)
(なんだ?諦めたのか?)
(そんなんで受かるのか?)
(けっ、貴族だからって偉そうに!)
「うーん、よく寝れた。次は実技試験だな。」
(ふむ、実技試験は試験管を相手にするのか。これは長くなりそうだな。)
「18番!」
「はい!」
「それじゃあ、試験管と2分間の模擬戦を開始する。」
(うん、この人強いな。少なくとも魂格は俺以上、剣術も負けてるだろう。それじゃあ、総合力で勝負しなきゃな)
「「お願いします!」」
(まずは、身体強化だけで行くか。)
(むっ、戦い慣れておるな。)
(ちっ、それじゃあ、纏で!)
(なっ、この歳でこの精度で纏まで使いこなすか。面白いな。)
(やっぱり無理か、それなら、ウィンドバレット!よし、腕が上がった!一気に懐に入って、正拳突き!)
「なっ!ぐはぁぁ!」
(うっそぉ、あれで、ダウンしないの?うーん強いな。)
(むぅ、纏まで使わされてしまったか。ここまでだな。)
「ここまでだ。おめでとう。」
「え?あ、はい、ありがとうございます!」
「どこの家かな?」
「ブルーダー辺境伯家です!」
「あっ、君が!そうか、君がハンス君か。」
「えっ?」
「いや、なんでもないよ、お疲れ様!」
「はい、お疲れ様です!」
(まじかよ、相手は騎士だぞ?)
(ふん、手加減されたんだろう。)
(えぇ、あんなに強い人がいるなんて。)
(へぇ、戦いたいな。)
(うん?なんだろう、みんなに見られてる。 とにかく、シェリアも待ってるし帰るか!)
「ハンス様!試験はどうでしたか?」
「うん、筆記試験も難しくなかったよ、実技試験は教官に途中で止められたからよくわかんないけど、相手は強かったよ!」
「そっ、そうですか、お疲れ様でした。既に屋敷の方には、錬金術師の方がいらしてるみたいですよ。」
「ほんと?!早く帰らなきゃ!」
(ハンス様、学園の試験は最高難易度のはずなんですが。ハンス様にしてみたらどうってことないレベルでしたね。)
「お祖父様!ただいま戻りました!」
「おお!お帰りなさい、試験はどうじゃった?」
「そうですね、特に難しくは無かったです。」
「そうかそうか、まあ、ハンスにしてみたらそんなもんじゃろう。おっ、それで此奴が錬金術師のポグバじゃ。」
「初めまして、錬金術師のポグバです。」
「うわぁ!初めまして、ブルーダー辺境伯家のハンスです!解体袋には驚きました!」
「ははは、それはよかったです!それは、ハンス様のアイディアのお陰です!」
「ううん!僕にはまだ出来なかったからね!ポグバさんは凄いよ!」
「ありがとうございます。」
「それでね、相談なんだけど、銀獅子の素材があるんだ。これで作って欲しいのがあるんだけど、お願いしてもいい?」
「なんと、銀獅子ですか、それは是非お受けさせてください。」
「やったー!よかったあ、それで作る物なんだけど、馬車を作って欲しいんだ。」
「ふむ、馬車ですか?」
「あぁ、ただの馬車じゃないよ、イメージとしては馬車だけで動くようにして欲しいんだ。」
「ん?!馬車だけで動く?!それは一体どういうことですか?」
「うんっとね、まず、馬車の車輪を普通の馬車より太く大きくして、この車輪を魔格で動かすイメージだね。車輪が動けば進むでしょう?そして、その魔格はSランクの魔格だから、自然のマナを吸ってくれるよね?だから馬が引かなくても動かせるんじゃないかなと思って。それで、その馬車にはできるだけ広く空間拡張して欲しいんだ。」
「え、えっと、それはなぜですか?」
「中に出来るだけ兵力を隠す為だね。もし、馬車が襲われてもすぐに大量の騎士が出てきたら怖くない?そして、馬車の外観には銀獅子の素材を使ってね、もちろん車輪にも、その方が魔格との相性もいいだろうし!」
「あははは!素晴らしいです!これほどのアイディア!もし、本当にこれができてしまったら革命ですよ!」
「いや、多分ね、銀獅子を丸ごと使わないとできないでしょ?だから、2台目とかは難しいと思うんだ。」
「ふむ。確かにそうですな。」
「後は馬車の方にも色々仕掛けをつけたいと思ってるから、色々話し合お!」
そうして、ハンスは馬車に対して魔法反射をつけたり、馬車の中から魔法を放てる仕組みをつけたり、車輪のスリングの話をしたりした。前世で会社で扱った事もあったので、結構詳細に覚えていたので、しっかりと説明できた。
そうして、ポグバと魔道馬車の作成に取り掛かる事にした。ついでに錬金術を教えてもらう事になり大満足であった。
「いやはや、こんなものが本当にできてしまったら、ワシは陛下になんて説明をすればいいのじゃ。」
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