第9話 本格修行
王都でのパーティを終えて帰ってきた。
今日から、対人の訓練が始まる。
「よーし、ハンス、素振りして、シャドーが終わったら、模擬戦やるぞー!」
「はい!師匠!」
5歳を迎えて今日から模擬戦を行い訓練が始まった。
「よろしくお願いします!」
「よし、来い!」
師匠との初模擬戦、使う武器は木剣、そして、脚と腕と眼に魔力を流して強化し、急速接近をして、一撃を叩き込む。
「おっ?!やっぱり、ハンスやるな!」
「いえ、師匠には簡単に止められました。」
「はっ!それは師匠だからな!てか、5歳で部分強化できる時点で十分だわ!」
そう言って、師匠からも攻撃が来た。
これまで、師匠から攻撃は避けろとずっと言われ眼を鍛えてきたので、ハンスの眼は魔力を通すことで、相手の魔力の流れだったり、動きを見極める力が強くなっていた。なので、師匠の攻撃にも十分対応できていた。そして、ハンスが前世で学んでいた、剣道と空手のお陰で足捌きから受け流し、払い、突きは既に様になっていた。
「うぉ!」
「あ、ごめんなさい!」
師匠の攻撃を払い、思わず突きを放ってしまったが、当たったはずなのにそこまで感触がなかった。
「大丈夫だ、纏ったからな」
「纏った?あ、魔力で守ったってことですか?」
「お?そうだ!魔力を体の外側に纏う様に放出するのを纏という、使いこなせれば、防御だけじゃ無く攻撃にも使えるからな!よし!模擬戦での実力はわかった、これからは纏の練習をして出来れば魔物狩りに行くか!」
「え?!本当に?やったー!」
纏か、最後師匠のを見たけど、多分めっちゃ薄かったはずなんだよな。それにしても魔物狩りかー、師匠たちから話しを聞いて行ってみたかったんだよな。それに、前世ではこういうこと無かったから戦ってみたいし!
「それじゃあ、纏の練習だが、これを見てくれ。」
そう言われて師匠が持っている武器を見た。ん?武器に魔力がある?いや、師匠が武器に魔力を流してるんだ!なるほど、そういうことか
「わかりました師匠!武器に魔力を流して被せるイメージですね?」
「おう!そこまでわかったんならいいぞ!そして、纏ってのは一定の出力で放出しないと強弱が出て脆くなるからな。ある程度の薄さで一定の出力を維持しないといけないから、めちゃくちゃ難しいぞ!」
「わかりました!これからは纏の練習も始めます!」
「おう!とりあえず、今度は魔力なしでの模擬戦だな!」
そこから、剣と拳での両方の模擬戦を繰り返し、疲れ果てた所で今日の修練は終わった。
「うーん。纏かやっぱり難しいな。うーん。とりあえず、放出を一定にする訓練から始めようかな?」
ハンスは模擬戦が終わると、部屋での纏の訓練方法を考えていた。考え出した訓練は魔力の放出を一定にする訓練で、風魔法で風を起こし枕を空中に浮かせたまま、上がったら下がったりしない様にする訓練だった。
それからは、模擬戦、魔法の修練、ウルとの連携、そして纏の練習をして3ヶ月を過ごした。
「師匠!できました!」
「ん?なにいって、」
「纏です!」
「な、どうやって?!」
「え?まずは、一定の放出するのが難しいな、と思ったので、風魔法で物を一定の高さに浮かせるみたいな放出の訓練をしてから、纏の練習をしました!」
(確かに、纏の習得で1番難しいのは一定の放出だが、まさか、別の魔法で修練するとは、いや、それにしても早すぎるぞ!2年はかかると思って、魔物狩りの条件を出したのに。兄上になんで言えばいいんだ!)
「師匠?とりあえず、纏を習得できたので、後は実戦で使えるまで訓練お願いします!」
「お?おう!そうだな!とりあえず、訓練を開始するか!」
「はい!よろしくお願いします!」
「兄上、どうしますか?」
「うん?なんのことだ?」
「ハンスが纏を習得しました。」
「は??なんでだ?早すぎるだろ。お前が教えたのか?」
「いえ、ほとんど教えてません。ていうか、初めて聞いた修練方法でした。」
「まさか、ハンスが自分で考えて自力で習得したと?」
「はい、その通りです。今は実戦で使える様になるまで訓練してますが、このままだと、1、2ヶ月で魔物狩りに行くことになります。」
「うーん。仕方ないだろう。幸い、お前たちもついていく事になるだろうし、ウルスもゴクウと一緒に魔物狩りにも行ってるから、少し早いが許可するしかないな。」
「はい。それが1番かと。」
「それで?お前から見てどれくらいの魔物なら大丈夫だと思う?」
「そうですね、D級下位の魔物ならまず攻撃すら当たらないでしょう。D級上位の魔物でいい勝負かと。」
「うっ?!そこまでか。わかった。許可を出す前に、私もハンスを見てみたい。」
「わかりました。纏が習得できたらまた報告します!」
「うん、ありがとうな。」
纏の実践訓練を開始して2ヶ月。魔物狩りの前に父さんとの試験があるらしく、模擬戦場にみんなが集まっていた。
「ハンス、魔物狩りに行く前に。父さんとの模擬戦を行う。魔物の森では至る所に魔物がいると考えて欲しい。そして、魔物はこちらの都合をわかってはくれない。なのでこちらも気を抜かずに遭遇したら相手の力を冷静に見極めて判断を下さないといけない。もちろんそれにはある程度の力が必要だ。今日はお前にその力があるかみんなで見極めに来た。なので全力でかかってこい。」
その瞬間、父さんからのプレッシャーで押しつぶされそうな感覚が襲った。
(うっ。、これはなんだ?殺気っていうやつか?息苦しい。はっ!来る!)
父さんからの一閃を後ろに回避したハンスは、すぐさま、部分強化と全身纏を行い、父さんに向かって行った。
そこからはハンスがいくら攻撃しても、父さんには届かなかった。
「ふぅ。参りました。」
「うん、ハンスいい攻撃だったよ、それじゃあ、試験は合格だ。」
「えっ?!いいんですか?」
「うん、いいよ?それとも私に勝つまで行かない?」
「あ、いえ、それだと一生行けそうにないので、ありがとうございます!」
「ふふふ、それじゃあ、無茶しないでね、約束だよ?」
「はい!約束します!」
父上との試験をクリアし、魔物狩りに行く許可を得た、ハンスは久しぶりに弟達と遊んでいた。
「兄上!かっこよかったです!」
「私は魔法やってみたい!」
「私はアクセサリー作りたい!」
「そうだなー、後もう少し魔力操作が上手になったら修練してもいいかもなー」
「えー。難しいよー。」
「教えて!」
「お兄様、私にも錬金術教えて?」
「よし、まずはみんなで魔力操作の訓練しようね!強くなるためにも、錬金術使うためにも、まずは魔力を使うからね、魔力操作が上手くないと上達しないよ!」
ハリー達は4歳になり好きな事が出来始めた。
ハリーは武術に、アンは魔法に、クロエは王都で買ってきたアクセサリーを見て、錬金術に興味を持ち始めた。もちろん、3人の為に全て学んでいる為、空いた時間で教えていた。将来的に3人がどの道に進むかはまだわからないが、何に興味を持っても教えられる様に勉強している。
その結果わかったのはとりあえず、魔力操作が上手く出来なければ基礎すらできないって事だった。その為、魔力操作の練習をするのだが、みんな飽きがすぐ来てしまう為、魔力操作の訓練の魔道具を作った。
「はい、じゃあ、これを待ってね、問題出すからわかったら、魔力操作でこの魔道具に魔力通してね、そしたら、光るから先に光った人が答えられるからね!」
「「「うん!わかった!」」」
前世で好きだったクイズ番組を思い出して作ってみた魔道具で、知識と魔力操作の技術が養われる為作ってみたが、これが意外にも好評だった。こうして、3人とはいっぱい遊べて、同時に修練もできる為一石二鳥であった。
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