第7話 社交界デビュー①


 魂格を繋げるのはそんなに難しく無いらしい。お互いに魔力操作を行い魂格に魔力を通せばいいらしい。




「それじゃあ、ウル、魔力流すよ?」

「ワフ!」



 そうして、ウルに魔力を流していく、これまで魔力操作の修練をしてきたからか、そんなに難しくなかった。そして、ウルも魔力を流した時、魔力が湧いてくる感じがした。



「なんだこれ?魔力が増えた?それに、ウルがもっと近くに感じるようになった?」

「うむ、そうじゃ、お互いの魔力を魂格が覚え、繋がったのじゃ、そして、格が引き上げられた為、魔力が増えたように感じたのじゃ。 これからも2人助け合って生きるんじゃ」


 ウルとの間に固い一本の線が通った感じがして、なんか嬉しくなった。


「ウル!これからは一緒に訓練しような!」

「ワウォーン!」




 そして、ウルとの繋がりが強化された事で、ウルがハルトの魂格に入り込む事ができるようになっていた。しかも、どうやら、魂格の中は過ごしやすいらしく、ウルは気持ちよさそうにしていた。それに、ウルが魂格の中に入っていると、ハルトの魔力も強化されていた。



「ウルがここにいると、なんだか、僕も安心するね。」

「そうじゃろう。聖獣は基本魂格の中で過ごす方が心地いいのじゃ、外よりもマナが溢れておるからな。そして、契約者も聖獣が魂格にいる事で聖獣が1番近くにおるから安心するのじゃ、基本的に神獣以外は聖獣と契約者は離れてはならぬ。離れるとお互い心配になり、暴走する恐れがある。そうじゃな、離れれば離れるほど今日できた線が細くなると考えたらいい。」

「そっか、線が細くなるのか、わかった!」


 ハルトもこの線が細くなる事になぜか嫌悪感を抱いたので、これが細くなると暴走するって言うのはなんと無くわかった。



「そうじゃ、カリーがこれが終わったら呼んでくれと言ってたので行こう。」

「父上が?わかった行こう!」



 そう言って、ゴクウはハルトを抱っこして歩き出した。ゴクウは歩く時、ハルト達4人を抱っこしたがる。まあ、恥ずかしいけど、ゴクウの毛並みはウル並みだから気持ちよくてみんな大好きなんだけど。








「父上?来ました!」

「カリー終わったぞ」

「おお!ゴクウ大丈夫だったか?」

「うむ、問題ない。ハルトの格が上がった事で少し心配じゃったが、多分、ウルが魂格内でうまく調整してくれてるのじゃろう。」

「そうか、今度ウルには美味しい肉をプレゼントしないとな!」

「え?!ウルってそんなことしてくれてたの?!」

「そうじゃぞ、聖獣だからな、お主らよりも魔力操作は得意なんじゃ、だから、これからも格が上がったらウルを送還したらよい。」

「そうなんだ、ウル!ありがとね!」


「それでなハルト?今度の誕生日で5歳になるだろう?本当は行きたくなかったけど、今年5歳になる子はな王都でパーティがあるんだ。それに行かないといけない。」


 王都でパーティか、うーん、少しめんどくさそうだなー。でも王都は行ってみたいしなー。



「それって絶対行かないとダメなの?」

「うん、そうだな、いつもなら行かなくてもいいんだが、第二王女も今年5歳でそのパーティに出席するんだ。王族が出席するからな行かないと行けないんだ。」

「そっか、仕方ないよね。でも、王都には叔父上と叔母上がいるよね?会いに行ける?」

「ああ!もちろんだ!父上達もハルトに会いたがってたぞ!」

「本当?!やった!それで、誰が一緒に行くの?」

「今回は私は行けないから、代わりにゴクウとマリー、あとシェリアに行ってもらう事にした。」

「マリー師匠も一緒なんだ!でも、やっぱり、ハリー達はダメだよね?」

「そうだな、まだあの3人には道中に耐えれそうにないからな。」

「そうだね、仕方ないか!それでいつ行けばいいの?」

「1週間後に行くことになった。」

「わかりました。王都で楽しんできます!」

「うん!いっぱい楽しんでおいで!パーティの料理も美味しいから楽しめると思うよ!」









 王都への出発当日

「にぃに行ってらっしゃい!」

「「いってらっしゃい!」」

「うん!行ってくるよ!いっぱい、お土産買ってくるね!」

「あら、ハルト?私には無いの?」

「もちろん、母上にも買ってきますね!」

「あら、嬉しいわ!気をつけて行ってきてね!」

「ハルト、気をつけて行ってきてね?」

「はい、ユキ義叔母上、行ってきます!」

「それじゃあ、父上達にもよろしくな!」


 みんなとの挨拶を済ませて馬車に乗り込む。


「それじゃあ、行ってきまーす!」





 そして、これから馬車で5日の旅が始まった。


「師匠!あれがゴブリンですか?!」

「そうだよ、あれがゴブリンさ、ハルトも見かけたら絶対に殺すんだよ?あいつらは100害あってI利無しさ、女の敵だよ!」

「そうなんですね!絶対殺します!」





「うわぁ、すごい!これがテントなんですね!中はこんなに広くなってるんだ!」

「そうね、これは普通のテントじゃないからね、マジックテントって言うやつさ」

「マジックテント?」

「そう、テントの魔道具だよ、中を空間魔法で広げているのさ」

「へぇ、そんなすごいことできる人がいるんだ!」

「あぁ、でも、これはその中でも上等な方だよ、これなら最低でも白金貨100枚はいくね!」

「え?!白金貨100枚?!そんなの誰が買えるの?!」

「まあ、持ってるのは、冒険者として一流か貴族くらいだろうね、」


 へぇ、そんな大きい買い物できる人いるんだ。すごいなぁ!








 こうして、道中特に問題もなく、王都に着いた。






「うわぁ!門に人いっぱい並んでるよ!」

「そうだな、あっちは一般用の門さ、私たちは辺境伯家として来たから、貴族用の門に行くよ!」




 貴族は警備上の観点から一般用は使用しない方がいいらしく、貴族用の門を通った。









「王都はどうだい?色々大きいだろう?」

「うわぁ、すごい大きい!」


 ハルトも前世で東京のビル群などを見てきたが、それよりも迫力があって驚いた。






「それじゃあ、王都のブルーダー邸に行こう!」

「お祖父様とお祖母様いるかな?」





 そして、王都の貴族街にあるブルーダー邸に着いたハルト達は早速中へ入った。



「お祖父様、お祖母様、こんばんは、只今着きました。」

「ハルトちゃん!長旅ご苦労様!マリーもゴクウもありがとうね!」

「うむ!ハルトはまだ元気そうじゃが、長旅で疲れておるだろう、お風呂に入って少し休んできなさい。」

「わかりました。後でいっぱいお話ししましょう!」

「わかったわ、お疲れ様!」


 そうして、お祖父様に言われた通りお風呂に入ろうとしたハルトだったが、メイドのシェリアと王都邸のメイドが誰が入れさせるかで揉めていたので、3人で入れてもらうことにした。なんでも、王都に来るのが初めてだったので、メイドは是非お世話したいみたいだった。うーん、そろそろ恥ずかしいんだよなぁ。










「マリー、ゴクウ、お疲れ様じゃ、休む前に話を聞きたいんじゃが。」

「父上、先日、ハルトはウルスとのコネクトに成功して魂格をオレンジまで引き上げました。」

「うむ、なんの問題もなく成功しおったからびっくりしたぞ。」

「ふむ。そうか、5歳で魂格がオレンジまで上がってるなんて前代未聞じゃないか?」

「そうですね、普通の5歳児なら魔脈すら出来上がってないでしょう。」

「そうか、一体、ハルトは何者なんじゃ」

「あなた!!何言ってるの!ハルトは可愛い孫でしょ!それ以外に何があるって言うの!」

「う、うむ。そうじゃな、それ以外の何者でもないな。しかし、このことがしれたら、より一層大騒ぎになるぞ?聖獣との契約でタダでさえうるさかったのに、また婚約者になろうと動かれるぞ。」

「あら?それを止めるのがあなたの仕事でしょう?」

「まあまあ、仮にも辺境伯家の次期当主なんですから、変な輩は来ないでしょう。たぶん。」

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