第6話 弟妹たち


 叔父上達が来て3ヶ月が経とうとしていた。

叔父上には武術の型を教えてもらいながら、目を鍛えていた。叔父上が言うには魔眼を持っていることで、鑑定の能力の他にも視力、動体視力や観察力なども上がってるとの事、それに叔父上が言うには、攻撃に当たらなければ負ける事は無いらしいので、身体ができるまでは目を鍛えるとの事だった。そして、叔母上には魔力操作や魔力を属性に変化させる練習を行なった。叔母上は水属性と風属性が得意属性らしく、水と風を中心に教わった。そして、他の属性は得意では無いし、室内では練習しづらいらしく、後からとなった。ちなみに、叔父上達には師匠と呼ぶように言われたため、師匠と呼ぶ事にした。あと、ウルスはゴクウと一緒にこの前から狩に出かけている。まだ早いと思ったが、ウルスは楽しそうにしていたので、そのまま行かせる事にした。

そして、遂に母上の陣痛が始まった。






「兄上、そんなにソワソワしなくても大丈夫だって!」

「そうは言うがな、今回は双子なんだぞ?心配してもしょうがないだろ。」

「ハンスが冷静なのに、兄上が慌てたらハンスまで心配になるだろ!」

「そっ、そうだな。」

「大丈夫ですよ、父上!母上は強いです!」

「ふはは、そうだな、アリアは強いからな!」








「おぎゃぁあ、おぎゃぁ」

「ぎゃぁあ!」

「旦那様!お産まれになりました!」

 その言葉を聞いて、父上は部屋に向けて走り出した。僕は師匠に抱っこしてもらって部屋に向かった。


「おお、アリアありがとう、お疲れ様。」

 そう言って母上を抱きしめた父上

「カリー、この子達も抱いてあげて?」

「おお、可愛いぞ。」

「ほら、ハンスも見てあげて?」

 母上に促されて恐る恐る弟達の顔を見て、手を触ってみると。

「きゃっきゃっ!」「うばぁうばぁ!」

 嬉しそうに、手を握り返す2人を見て、ハンスはとても愛おしくなり、絶対に守ろうと改めて決意した。


「うふふ、お兄ちゃんの手を握りしめて嬉しそうにしてるわね。ハンス?どう?可愛い?」

「うん、とっても可愛い。絶対に守りたくなったよ。」

「お兄ちゃんとして頑張ってね!」

 

 そこからは、家族みんなでお祝いしようとしてたら、なんとユキ叔母上も陣痛が始まり、今度は師匠があたふたしたが、ユキ叔母上も安産だった為すぐ産まれてくれてみんな安心した。

そして、名前は弟はハリー、妹はアンに決まった。従姉妹はクロエに決まった。





 そこからは特に大きな事は無く半年ほど経っていた。ハンスも修行の空き時間でハリー達3人に構い、ウルスと寝る生活を繰り返していた。そしてある日、師匠2人と騎士団、冒険者の合同で魔の森の魔物狩りに出ることを知った。

その時に領土の南には魔の森と呼ばれる魔物が大量にいる事を知った。しかも、最近はここで魔物が大量発生していることも知った。この遠征の為に師匠達は残ってたみたいで、総勢300名余りで挑む事を聞きなんだか、ワクワクした。





「師匠、危険じゃないんですか?」

「うん、危険だな。だが、ここで食い止めなければここまで魔物が来てしまうかもしれない。それを止められるのは戦う術を持っている俺たちの仕事だ。だから、危険だからって逃げちゃいけない。」

「そうですね、」

「ああ、だからってこっちは準備してる訳じゃ無い。仙人級も2人参加するしな。」

 仙人級?初めて聞く単語だな。

「せんにん?どんな人?」

「そっか、仙人は知らないか!うーん、仙人って言うのは魂格がシルバーを超えた人がなる事ができるって言われてるが、仙人に関しては余り分かってないんだ。そして今回は本物の仙人じゃなくて、仙人級だ。仙人級とはシルバーに達してから10年経つと呼ばれる人たちで、仙人を除くと最強の位にいる人のことを呼ぶんだ。とにかく、今回はこの人たちがいるから、安心してていいぞ!」


 うーん。よくわからないけど、とっても強いって事だから、安心してていいのかな?


「そっか、じゃあ、頑張ってきてね!」

「ああ!俺らがいなくても修練は欠かすなよ!」





 そうして、師匠達は2週間ほど魔の森に向かって行った。その間は特に座学や弟達との時間に費やしていた。










 2週間が経ち無事、師匠達が帰ってきた。



「お帰りなさい!」

「「ただいまー」」

「大丈夫?」

「大丈夫だよー、みんな無事に帰って来れた!」

「そうなんだ、よかった。ハリー達も待ってるよ!」




 


「兄上、報告なんだが、ジンさんが言うには魔の森の奥に高位ドラゴンが棲みついた可能性があるらしい。」

「っ?!、と言う事は序列がそのままズレたってことか?」

「ああ、そういうことだろう。だが、スタンピートとかの兆候では無いらしい。冒険者ギルドにも対応をお願いしてある。ドラゴンには刺激せずに、これからは定期的に間引きしていけば問題は起きないだろう。」

「そうだな。低位ドラゴンなら討伐すれば済む話だが、高位ドラゴンならば話は別だしな、災害には触らなければ問題なしか。よし、ご苦労だった。ゆっくり過ごしてくれ!」

「ああ、この後は頼んだ、兄上!」













 魔の森の大討伐が終わってからは特に問題もなく過ごしていき、約3年の月日が流れた。



「にぃに!魔法見せて!」

「にぃに見せて!」

「ぼくもみたい!」

「わかったよ、3人とも見ててね!」


 最近はこうやって、3人から魔法をせがまれるようになり、安全な風魔法で風を起こしてかけあげたりしてる。


「「「キャハハ!」」」

「にぃにすごーい!」

「みんなもこれから教えてあげるからね!

だから、みんなで魔力操作の練習しようね!」


 そう、今日はこの子達の魔力を循環させるために身体に魔力を通す日で、母上とユキ義叔母上と師匠が行う日である。


「うん!がんばる!」

「じゃあ、にぃにはウルスと訓練してくるね!」









 そして、ウルスはあれから、ゴクウとの訓練を行い、順調に魂格を成長させ、先日オレンジに突破して、体長も1.5Mを超え、これからはハンスとの訓練の段階に入っていた。




「ウル!今日からよろしくね!」

「ワォン!」

「今日からはワシとも訓練するんじゃが、まずはお主らは契約をしただけで本当の意味で魂格は繋がって無い。」

「うん?どういうこと?」

「ワゥ?」

「そうじゃな、魂格が繋がるとお互いの格があがるな。だが、魂格に差があるとそもそも繋がることができないから、今のうちに繋げようって話じゃ。」


 うん、なんと無くわかったけど、魂格の差がよくわかってないんだよね。


「魂格って何から何まであるの?」

「うん?なんじゃ?知らないのか?」

「はい、よくわかんないです!」

「それじゃあ、教えるか。まず、魂格って言うのは魔力を持つ者が持っている魂の格のことじゃ、その格は色によって区分されておって、1番下でブラックから始まる。そして、レッド、オレンジ、イエロー、シルバー、そして、神獣に至るとホワイトになる。人の身ではホワイトになる事はほぼできない。まあ、ハンスは今レッドでウルはオレンジになったから、魂格を繋げる事でオレンジになれる訳なんじゃが、大丈夫か?」

「聖獣と繋がるだけでそんな簡単に上がるの?」

「いや、まず、聖獣の契約者自体が珍しいからのう、それだけ恵まれていたと言う事じゃ。」


 そうか、聖獣と出会う事自体珍しいんだな。



「そっか、ウルと出会えたのは奇跡だったもんな。ウルありがとうな!」

「ウォーン」

 甘えた声で頭を擦り付けてきたので体を撫で回した。



「よし、それじゃあ、魂格を繋げるぞ」

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