第5話 ウルス


 卵が僕のとこに来てから半年が経った。

日中はいつも通り、本を読んでもらったり、魔力操作で体内を動かしたりして、寝る時は卵と一緒に寝ていた。そして、ある日朝起きようとすると、顔を舐められていることに気づいた。




「はっはっはっはっ」

「んー。だれー?えっ?!!!」

「ワフっ!」

「僕の聖獣さんですか?」

「ワォーン!」



 そこにいたのは白いもふもふした犬だった。



「うわー可愛いね!あははは!やめてよくすぐったいよ!そうだね、名前を決めないとね!うーん。ウルス!ウルスって名前はどうかな?」

「ワン!ワォーン!」

「うん!決まりだね!よろしくウルス!僕はハンスだよ!」

「ワフっ!」




「ハンス様ー?おはようございます?え。そちらはまさか、聖獣ですか?!」

「うん、そうだよ、朝起きたらいたんだ!」

「ワン!」

「旦那様とアリア様に報告しないと!あー、その前にハンス様!お着替えしますよ!」








「おお!遂に産まれたのか!」

「はい!名前はウルスって言います!」

「ワン!」

「ふふふ、可愛いわね!」

「ふむ。鑑定はしたかの?」

「あ、そうだ。ウルスー!」




名前:ウルス

種族:フェンリル

性別:男

魂格:レッド

スキル:共鳴、身体強化

悪意:-


 ん?悪意無しって意味なのかな?



「フェンリルだって!こんかく?はレッドみたい!」

「おお!フェンリルか!」

「うむ、レッドや、ハンスの為に強くなりたいか?」

「ワォーン!わふ!わふ!」

「おお!そうかそうか、いいこじゃな!よし、ワシがお主の師匠じゃ!聖獣としての戦い方を教えてやるぞ!」

「え?ゴクウは話せるの?」

「ああ、ワシは神獣だからな、聖獣なら誰とでも話せるぞ!」

「そうなんだ!ウルスとも早く話したいな!」

「ワォン。」

「大丈夫だよ!一緒に大きくなろうね!」

「ワン!!」


 それから、ウルスが産まれたことで、ゴクウが修行で、僕はシェリアと水魔法の練習をしていた。それで日中は離れて過ごす事になっていた。









「父上!叔父上達は今日くるの?」

「そうだよ、午後には着くんじゃないかな?」

「やったー!魔法の練習したい!」

「そうだね、武術はまだ早いからね、マリーに頼んで魔法の練習からしようか!」






「ただいま、兄上!」

「兄上帰ったよー!」

「義兄様お邪魔いたします。」

「うん、おかえりみんな!紹介するね、息子のハンスだ!」

「ハンスです、叔父上、叔母上、義叔母上こんばんは!」

「おお!本当に兄上と義姉上の子供か?」

「えぇ!可愛い!まだ一歳だよね?」

「ふふふ、こんばんは!」



 うわあ、美男美女だね、叔父上は父上より野生味があってワイルド?叔母上はお祖母様に似ているね!そして、義叔母上はすごい!獣人なのかな?狐耳?がある!いいなー。そして妊婦さんなのかな?


「ハンスよ、ユキのお腹の中には赤ちゃんがいるんだぞ!お前の従兄弟だ!」

「触ってもいいですよ?」

「うわー、動いてる!従兄弟にも早く会いたいな。」

「ふふふ、可愛がってあげてくださいね?」

「うん!弟と妹と一緒だね!」

「あ!そうだ、アリア義姉さんにも子供がいるんだっけ?」

「うん、そうだな、部屋で安静にしてるから会いに行くか?」

「早く、義姉上に会いたい!」



 あー、義叔母上が走って行ったよ。


「あいつは変わらんな。」

「そうだな、変わらんぜ、それじゃあ、ユキは先に部屋で休んでてくれ、俺らは話をしてから向かうから。」

「じゃあ、僕が案内するね!」

「あら、それじゃあ、お願いしようかな?」

「うん!任せて!」







 そこから、ユキ義叔母上を部屋に案内すると、母上と叔母上が部屋に来て、たくさんお話しをしてると気づいたら眠ってしまっていた。






「兄上、ハンスの師匠になってほしいって言ってたけど、まだ5歳にもなってないんだよな?」

「あぁ、まだ1歳と半年だ。」

「早くないか?」

「それでも、型とかを教えてあげてくれ、あいつは気づいたら勝手に何かやりそうだから、変な癖が付いたら困るからな。それに、お前らにはしばらくここにいて欲しいんだ。最近魔の森から魔物が溢れ出てくるみたいなんだ。これから、騎士団と冒険者合同で大規模討伐を行う予定なんだが、もしかすると、スタンピートの予兆かもしれんしな。」

「なに?!国には応援は要請したのか?」

「ああ、魔の森だけにかかりきってられんからな、騎士団の応援を要請している。俺が魔の森に向かう事はできんしな。」

「そうか、それで俺が行くのか。」

「そうだ。すまないが頼んでもいいか?」

「ふっ!何言ってんだ兄上!それくらい俺に任せてくれ!それに騎士団と冒険者の間に入れるのは俺くらいだしな!」

「そうだな。すまないが頼んだ。」

「おう!そのかわり、ユキと産まれてくる子は頼んだぞ!」

「それは任せておけ。アリアとユキは仲良しだしな。」













「義姉上、ハンスに魔法を教えるのはいいけど、私でいいんですか?」

「うーん、マリーは努力型の人でしょ?教えるにはマリーみたいに努力できる天才が教えた方がいいと思うの!」

「そんなに褒めないでくださいよ!それに、義姉上だって努力してきたでしょ?」

「うーん、私は正直武術の方が好きだったからね、楽しみながらやってはなかったかも。」

「うっ、そうですね、義姉上は武術の方が凄かったですね」

「そうですね、アリア先輩には何度もやられましたからね。」

「そういう訳で、ハンスちゃんにはマリーが教えてあげてね!」


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