第2話 ブルーダー辺境伯家



 ん?なんだ?何も見えない。


「アリア様、男の子です!」

「あぁ、産まれてきてくれてありがとう。」

「アリア様、きっと旦那様も無事に帰ってきます!」

「そうね、私たちはこの子を守りましょう。

可愛らしいわね、カリーに似て綺麗な銀髪。」

「はい!でも、お顔はアリア様にそっくりですね!」

「ふふふ、そうね、本当に可愛らしいわ」




 どうやら、産まれたてで目が見えないみたいだな。しかし、もしかして貴族かなんかなのか?言葉使いといい、お手伝いさんがいる感じからして、上級国民なのかもしれんな。それにしても、ねむけがつよい。。。






 どうやら、眠ってたみたいだ。お腹が空いた。誰か呼ばないと、、、、、まさか、泣くしか無いのか?!



「まあまあ、お腹が空いたのかしら?」

「ふふふ、中々泣かないので大丈夫かと思ったけど、元気そうね。」

「はい!きっとすぐに大きくなられますよ!」

「えぇ、まだもう少しはこのまま可愛らしいままの方がいいわぁ」

「そうですね、今はすこし、このままでもいいのかもしれませんね。」

「そういえば、そろそろ、旦那様が帰って来れるそうですよ!」

「無事戦争も終戦してくれたから、少しは安心できそうね。」



 なんだ?戦争に行っていたのか?





「帰ったぞ!アリア!」

「あなた!お帰りなさい!」

「おお!ただいま、ありがとう。男の子か?」

「ふふふ、どういたしまして。そうよ、元気な男の子よ!」

「早速、会いに行こう!」


 どうやら、父が帰ってきたようだ。戦争は無事だったのか?それより、顔を見たい。目は開けれないのか?



「おお!俺と同じ銀髪か、それに、顔はアリアに似て可愛らしいな!」

「そうね、本当に可愛いわ!それより、名前の方を着けてください。」

「ああ、そうだな、お前の名は、ハンス!ハンス•フォン•ブルーダーだ!」


 おお!やっと目を開けれた!ん?この人が俺の父上?それじゃあ、この人が母上か。てか、若く無いか?18才くらいにしか見えないぞ?


「お!名前を呼んだら、目開けたぞ?」

「まあ!本当ですね!かわいいわ!私たちのことわかるかしら?」

「おーい!ハンスー!俺がお前のお父さんだぞー!元気に育ってくれよー!」

「ふふふ、ハンスちゃん!私がお母さんですよ!」 


 うん、なんか、嬉しい。愛してくれてるのがわかる。決めたぞ、お父さんにお母さんも俺が強くなって俺が守る。でも、今はとりあえずねむたい


「お?眠たいのか?」

「そうね、眠たそうだわ、おやすみなさい、ハンス。」








 それから、3ヶ月間は、お世話されては、泣き、お世話されては、泣いていた。少し悲しかったが、喋ろうとすると、なぜか泣く事しか出来なかった。だが、色々と話を聞いたため、情報は集まった。

 どうやら、ここは、ブルーダー辺境伯領という、アルマー王国の西に位置する場所らしい。隣接する国にビルマー帝国があり、この国とは長年紛争を起こしているらしい。僕が産まれた時にもこの帝国が境界線を侵攻してきたのを父上が応戦していたらしい。とにかく、僕はこのビルマー帝国からアルマー王国を守るために強くならないといけないらしい。










 そこからさらに半年が経ち、ある程度動き回れるようになった。それから少し変わったことがあった。魔法を見ることができた。最初は偶然、僕の専属メイドのシェリアが使っているのを見たとき、とてもワクワクして喜んでいたら、たまに見せてくれた。すると、自分の中に魔力?かはわからないが、前世では感じたことない力を右の肺の横らへんに感じることができた。そこからはひたすらこの魔力を動かす練習をしていた。



「あら?この子ったら、魔力操作してない?」

「え?!本当ですか?」


 ん?なんだ?魔力操作したら不味かったのかな?


「シェリアは何も教えてないの?」

「はい、魔法は何回か見せた事はあるんですが、魔力操作などは見せてません!」

「それじゃあ、魔法を使って見たかったのかもね!」

「あばぁ!あばぁ!」伝われ!

「まあまあ、どうやらそう見たいね、産まれて10ヶ月で魔力操作はさすがに早いと思うけど、私とカリーの子だもんね!ハンス!あなたは天才だったのね!」

「そうですね!では、ハンス様の家庭教師なども早めに用意しなければならないかもしれませんね!」

「そうね、そうだ!まずは私が魔力操作を手伝ってあげましょうか!」


 お?うん?なんだ?すごい!手を繋いだ瞬間母上の魔力が全身を巡っていった!

 ん?いっったぁあ!!!


「アリア様!まだ早いです!まだハンス様は産まれて10ヶ月しか経ってませんよ?!」

「でも、この子が勝手に魔力操作で全身巡らせたら、魔脈が切れるかも知らないわよ?それよりは、早くても、私が丁寧に流した方がいいわ!」

「そ、それは、そうですけど、確かに、ハンス様なら自分で勝手にやりそうですね。」


 なんだ?めちゃくちゃ痛かったけど、自分の魔力流したら痛みが無くなったぞ?あれ?力が抜ける。。。



「ほら、見なさい?普通は痛みでそれどころじゃないはずなのに、できた魔脈にすぐ魔力通し始めたわよ?」

「うっ、早速魔力枯渇してる。どうしましょう。私、心配して離れたくありません。」

「ふふふ、子供の内はすぐに回復するから、ずっと目を離さなければ、大丈夫よ」






 これは、魔力枯渇っていうのか、シェリアには心配かけたな、でも、母上の言う通りすぐ回復し始めたぞ?


「あら、もしかして、魔眼に目覚めたかしら?」

「あ、本当ですね!瞳の色が変わってます!

なんの魔眼なんでしょう?」

「多分、瞳が緋色になったから、鑑定系の魔眼だと思うんだけど。」


 魔眼?瞳の色変わったのか?うーん、鑑定眼の事か?それにしても魔眼か少し恥ずかしいかもな。


「それにしても、まさか、魔眼まで目覚めてしまうなんて、さすがハンス様ですね!」

「そうね、ごめんだけど、これから、シェリアはなるべくハンスの事見といてあげてね?」

「もちろんです!ハンス様の事は私が見守ってます!」

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