第2話

「活動のための栄養源の摂取が必要か…、実にとゆう物も不便な代物であったな」

 久しぶりの自身の躰による様ような反応に戸惑いながらも、一先ず彼女はその欲求を満たす事にした。

 もう一人の自身であるステラの部屋の間取りを思い浮かべキッチンに向かおうとしたが、そこでステラが料理などはしなかった事を思い出す。そして思うだけで先回りして答えてくれるはずの自身の端末フルビット普段の躰ハイドロイドと共にメンテナンス中である事にも気付きため息をついた。

「…簡易端末ライトビット、一応聞くが…冷蔵庫とかに食材はあるか??」

 傍らで浮遊したままのフルビットよりもひと回り小さなライトビットに問いかける。

『…ピッ… ご主人様は料理全般ができません 故にそのような不要物は庫内はもちろんこの部屋全てにおいて存在致しません』

 当然のようにあっさりと応えが返ってきた。

「…そうだったな」

 ステラと違い家事もこなすビバームスは、主人格ステラの不甲斐なさに改めて呆れてしまう。

「食材を注文して調理する事は容易いが道具も調味料も無いだろうし、三日ほどの事でもあるわけだから今回は外で済ますとするか…」

 眠ってるはずの主人格ステラから何やら抗議の感情が向けられたが、軽く無視をしてビバームスは外出を決めたのであった。

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