Dr.V

いちごはニガテ

第1話

「ここは…?」

「…そうか、の部屋だったな」

目を覚ましたビバームスは、辺りを見回してそう認識した。


起こした生身の身体は重く感じ、普段の特殊流動化金属体ハイドロイド身体ボディでは不要と、OFFしてある感覚センサーがもたらす多数の情報に戸惑いを覚えていた。


  意識の同調は仕方ないとしても

  感覚の不合は困りものだ

  これでは有事に備えられん


副人格である彼女が永久的に目を覚まさないような処置でも施さない限り、今回のようなことは起こり続けるであろうと思ったが、本来のポジティブな性格はそれを記憶することだけにとどめ、行動を開始する。


「まずは主人格ステラの休眠期間の間に、私としての事を始めるとするか…」


彼女の行動を察知確認したのか、ステラの浮遊端末ライトビットが出現しふよふよと傍に浮かび始めた。


「ビット、クラウド内の私の着替えを表示してくれ」

彼女がその中の一つを視認すると、先程までの一糸まとわぬ姿から、無難な部屋着姿へと変わってゆく。


「睡眠自体が不必要なボディでは気にもならなかったが、ステラの裸で寝る癖も考えものだな。…まあ、彼と一緒ならば問題はなかろうし部屋でも一人なわけで、訪れるのが私かトロイくらいなら問題も少ないであろうが…」




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