最終話:天使の日常。

「天使の中には神様や人間にかならずしも好意的じゃなく密かに不満を

持ってる天使たちがいて、いつか神様に成り代わろうと企んでいた一人の

天使が不満を持っていた天使たちと加担して神様に逆らって、結局三分の一の

天使が神様に反乱を起こしたの・・・」


「反乱は結局失敗に終わって、逆らった天使たちは神様によって地獄へと

追い落とされ、そのほとんどが堕天使になったのね」

「だけど、その中の何人かの天使は地獄に落とされる前にこの人間界に

逃げちゃったの」

「だから、私は神様の使命を帯びて逃げた天使を追ってここにやって来たんです」


「悪いことをした人はお仕置きが必要ですからね」


ちなみにお仕置きって言うのは逃げた天使を取っ捕まえて、神様のところに

送るってのがアンシェルちゃんのお仕事。

送られた天使は神様の判断で罪に問われるんだって。


「なるほどね・・・それで、逃げた天使って何人いるの?」


「たぶん百人はいると思いますけど・・・」


「ひゃ、百人?」

「アンシェルちゃん、ひとりで百人もお仕置きしなきゃならないの?」


「そうですね・・・他の天使さんたちみなさんお忙しそうですから」


「どのくらいかかるの?そのお仕置きが終わるまで?」


「さ〜分かりません、中には手強い相手もいますから・・・苦戦するかもです」


「大変だね・・・で、その間どうするの?住むところもないし、お金も

ないじゃ困るだろ?」


「そうなんです・・・どうしましょ?」


「そうだな・・・提案だけど、アンシェルちゃんさえよかったら僕んちへ

来るってのはどう?」

「とりあえず僕のうちへ来て、それから逃げた天使を探すってのは?」


「いいんですか?」

「それなら私、すごく助かります」


「うん、まあ両親説得しなきゃいけないけど・・・事情話したら納得して

くれると思うけど・・・」

「ね、そうしなよ・・・そうじゃないと体力保たないよ」


「じゃ〜お言葉に甘えてそうさせていただきます」

「ヒューイさんちにお世話になります、よろしくお願いします」


「うん、うん・・・それがいいよ」


僕はアンシェルちゃんとの繋がりが途絶えなくなってめちゃ嬉しかった。


そんな訳で僕は彼女を僕の家に連れて帰ることになった。

って言うよりアンシェルちゃんの瞬間移動とかで一気に家に帰って

来たんだけどね。


案の定、両親は彼女が天使だと聞いて驚いた訳で、最初は信じてもらえ

なくて説得するのに苦労した。

けど、結局アンシェルちゃんは無事に我が家に迎えらることになった。

彼女がいろいろできちゃうから僕も両親も重宝した。


アンシェルちゃんが逃げた天使を探しに行かない時は母親を連れて買い物に

でかけたりした。

もちろん瞬間移動なので時間ロスにならないからめっちゃ効率がいい。


で、平日僕が学校から帰る時間になるとアンシェルちゃんは僕を迎えに

来てくれた。


普段はそういうローテーションで、アンシェルちゃんが逃げた天使を探しに

行く日は主に休日に集中した。

時には早く帰って来る時もあったり、クタクタになって帰って来る時もあった。

弱い天使ばかりじゃないみたいだ、中には強い天使もいて手こずるんだろう。


どんなふうに戦ってるのか見てみたい気もしたけど、たぶん僕が行くと邪魔に

なるし足手まといになるから、一緒に行くことはなかった。

だから状況が把握できないぶん心配だった。

でもアンシェルちゃんが帰ってこないってことは一度もなかった。


結局、アンシェルちゃんのお仕置きは五年の歳月を費やした。

僕は22歳になってすでに大学に通っていて僕とアンシェルちゃんの関係も

いいふうに変わっていた。

やうやく最後の天使にお仕置きを済ませたアンシェルちゃんは役目が終えて

事後報告のために一時的に天国へ帰って行った。


で、アンシェルちゃんは報告をすませるとまた地上に戻ってきた。

今度はずっと地上で暮らすって決心を胸に抱いて・・・。

僕と言う愛しい彼しの元へ・・・。


おしまい。










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お仕置きです。*アンシェルちゃんのお仕事* 猫野 尻尾 @amanotenshi

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