第6話 大自然に囲まれた中古物件
『洞窟は、見つけたけど…』
存在しない記憶を頼りにやって来た俺だが、洞窟が思っていたものと違い困惑していた。
『これ洞窟じゃなくて絶対動物の巣穴だよな』
見つけた穴は丘の斜面に開いたもので、玄関口はしゃがめば入れるかなといった大きさ。勿論ワンルームで、広さは玄関口の大きさのまま掘り進めていった感じでそこまで広くない。
『何かゴソゴソしてたから恐る恐る覗いたけど何も居なかったし、少なくとも今は留守っぽいよな?』
住人がいるのかとコッソリ覗いたが空っぽで、骨や鳥の羽がいくつかあった。あと獣臭い。
『ここ以外に休める場所を探すのも面倒だしなぁ…。暫く近くに隠れて様子見しよう』
この時の俺は疲労で若干自暴自棄になっていたことと、この森で動物が俺の目の前に全く姿を見せないことからこの巣穴を使うことをほぼ決めていた。獣臭いのが難点だが、そこは今後住みやすくしていけば良い。そして俺は巣穴から少し離れた茂みに身を潜めた。
暫くして…
『もう暗くて何も見えないし、居ないってことでいいよな!』
過剰なまでに楽観的な考えだと俺でも思うが許してほしい。もう限界なんだよ!オデノカラダハボドボドダ!
『よし!なら早速寝る準備をだ!』
用意したのはこちらのでかい葉っぱ数十枚でございます。地べたで寝るのは体に悪いってのは経験済みだからな。
『枕もでかい葉っぱを折り畳んで体重を乗せて形を整えて、後は頭を乗せて寝る!』
もっとやることがあるだろって?俺にはこの程度が限界なのさ…。それと気付いたのだがどうやら俺の体は五感をシャットアウト出来るらしい。一体なんの役に立つのかと思ったがこの手があった。
『獣臭も嗅覚さえ封じれば問題ないのさ!』
人外万歳とこの体に感謝しながら俺は泥のように眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます