「海に引きずり込まれた友達」
轟 朝陽
第1話
今日は待ちに待った、子ども会での潮干狩りだった。
普段は山奥に住んでいるので、海に行けることが嬉しくて仕方がなかった。
マイクロバスに乗り合わせ目的の海に出発。一時間足らずで目的の場所に到着した。
靴を長靴に履き替え、早速海岸に降り立った。
少し沖合いに歩いて行き、くまでで貝を掘り始めた。
掘るたびに貝が転がり出てきて、楽しくて仕方がなかった。
しばらく同じ所を掘っていたが、別の場所に移動しようということになり、みんなで更に沖合いに歩いて行った。
移動した場所でまた貝を掘り始めた時に、少し離れた場所にたたずむ友達が目に止まった。
近くには海水が溜まった窪地があり、どうもそちらを見ているようだった。
すると突然、その窪地を駆け降り始めたのだ。
タタタタタタッ・・・バシャッ・・・
その友達は見事に海水まみれになってしまった。
幸いにも浅かったので溺れることはなかったが、
当然、他の友達からは大笑いされていた。
それにしても、なんで急に駆け降りたんだろうか?
そう言えば、あの時の友達は無表情で意識がないように見えた。
数日後、潮干狩りの写真ができあがった。
そこには、あの時友達が駆け降りた窪地も写っていた。
海水が溜まった場所を見るとそこには・・・
「海に引きずり込まれた友達」 轟 朝陽 @oasi-ikawodak
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