第11話  人生のテーマ“愛”⑪

 最初の離婚の話ですが。決定的になった出来事があります。

 僕の母親が末期癌になったんです。半年もたないと医者から言われました。


 母に“何をしてほしいか?”聞きました。


“休日は親子の時間を過ごしたい”と言われました。

兄姉とは腹違いですので、母の子は僕だけだったんです。


 そこで、母のせめてもの希望を叶えようと嫁さんに言いました。


「そういうわけやから、これから休日は大阪に帰らせてくれ、見舞いに行く」


 すると!


「アカン」


と言われました。


「なんで?」

「私は日々孤独であなたしか話し相手がいない。休日は私と一緒に過ごして欲しい」

「お袋の命は、あと半年も無いんやで」

「わかってる。でも、私も限界やねん」

「ついてきたらええやん」

「本当の親じゃないから気を遣う。嫌」

「ほな、落ち着くまで実家にいろや」

「出戻りみたいで格好悪い」


 その時、プツンと何かが切れた。


「俺は見舞いに帰ったらアカンのやな?」

「うん」

「ほな、離婚や」

「なんで?」

「ピンチの時に支え合われへんのは夫婦とちゃうわ、出て行け!」


 これが決定打。


 以前から書いていましたが、これが僕の最初の離婚。


 愛はどこに?



 かといって、

 僕も品行方正というわけではなく


 僕は好きな人がいない時はいつもデタラメになっていました。

 二股どころか… 何股かけていたかわかりません。

 彼女たちは恋人ではなく友達でもない、友達以上恋愛未満。

 デートはただの遊び。

 お互いにそうでした。


 そういう付き合いが出来る人を選んでいました。


 最初に正直に言っていました。


“お互い、本当に好きな人が出来るまで付き合おうよ”

“どちらかに本当に好きな人が出来たらバイバイしよう”


 最初に言っておけばトラブルにはなりません。

 僕はそうやって、次に惚れられる女性が現れるまでの間をしのいでいました。


 40歳を過ぎてからは、もうそういうことはやめましたけど。


 24時間年中無休で毎年愛する人がいるわけではありません。


 愛する人を失って、次に愛する人が現れるまで、皆さんはどうお過ごしですか?


 愛の休暇中は心が癒やされません。

 誰と遊んでも心に隙間があります。



 ちなみに今、その状態です。正直、心の中は隙間風。

 今回の隙間風は長いです。



 ちなみに、2人目の場合はこうでした。

 

 まず、結婚して2週間で、嫁に借金があることが発覚。


 更に、


 固定電話機の横のメモ用紙に


“11時 駅前 しんちゃん はあと” と書かれていました。

“しんちゃんって誰?” “はあとって何?”


最悪でした。


 メモ書きを見せたら、嫁(2人目)は意外とすんなり浮気を認めました。


 借金を払わされて浮気されるの?

 理不尽だと思いました。

 ですが現実に起こったことです。


 嫁から愛を感じられませんでした。


 僕の方は以前に書いたかもしれませんが


 3日間寝ずの看病をしてもらったことで

 情が湧いたことでスタートした結婚でしたので

 嫁さんに対しては愛でもなく恋でもなく、情でのお付き合いでしたので困りました。看病で、“愛されてる!”と思ってしまったのです。愛されて付き合うのもいいかもしれないと思ってしまったのです)


 最初から愛は無かったのです。

 情があっただけです。


 愛があれば、もっとアッサリと無償の愛に気持ちを切り替えられたのでしょうか?


 でも、嫁の方にも愛が無かった。

 それだけの話でしょうか?


 ですがメモ書きが見つかるなんてひどいです。

 愛が無いだけではなく配慮も無い。


 ツライ思いでした。



 情で始まっても一緒に暮らしていれば愛が芽生えると思っていました。

 僕の勘違いでしたね。







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