第5話

その日の夜7時過ぎであった。


ところ変わって、家の大広間にて…


家の大広間に紗希子さきこ浩介こうすけ浩暉こうき智大ともひろ汐夏しおかの5人がいた。


佐永さえあらたは食卓にいなかった。


みんなで『いただきます〜』と言うたあとごはんを食べようとした時であった。


(ジリリリリリリン…)


うぐいす色のプッシュホンのベルが鳴った。


汐夏しおかは電話に出ようとした。


浩暉こうきは、うんざりした声で『なんだよ…また電話かよ〜』と言うた。


汐夏しおかは、やさしい声で『ごめんなさい…』と言うた。


浩暉こうきは、怒った声で『出るなよ!!』と言うた。


汐夏しおかは、やさしい声で言うた。


「電話をかけてきた人が待っているのよ…すぐに終わるから待ってね…」

「ごはん食べたいのだよ!!」

「すぐに終わるから…3分だけ待ってね…」


汐夏しおかは、受話器をあげたあと話をした。


「はい尾儀原おぎわらでございます…えっ?…汐夏しおかよ…おかーさん…」


電話は、双海ふたみ(伊予市)にある汐夏しおかの実家からかかってきた。


電話をかけたのは、汐夏しおかの母・きよかであった。


きよかは、ものすごくあつかましい声で汐夏しおかに言うた。


汐夏しおか!!おかーさんはものすごく怒っているのよ!!おとーさんとおかーさんとヤクソクしたことを思い出しなさい!!…汐夏しおかは獣医さんになりたいから岡山理大りだいへ行きたいと言うたからおとーさんとおかーさんは条件とヤクソクを出したのよ…在籍中は宮下町の叔父おじの家から通いなさい…卒業したあとは、双海じもと事業所かいしゃに就職しなさい…獣医さんの免許を取ったら、知り合いの獣医に就職します…と言うておぼえがきを作ったのよ!!…双海じもとで暮らしている男性ひとと結婚する…双海じもとで赤ちゃんをうみ育てる…と決まっているのよ!!…汐夏しおか!!おかーさんの話を聞きなさい!!おかーさんは汐夏しおかがしあわせになれるようにと言うてるのよ!!」


汐夏しおかは、気が狂いそうな声で言うた。


「おかーさん!!なんでガーガーガーガー言うのよ!!…(テキトーに言う)アタシは、獣医さんの試験に落ちたあとだからコンランしているのよ!!…双海ふたみに帰りたいけど帰れないのよ!!…おかーさんとおとーさんが望んでいるしあわせはその程度しかないのね!!もういいわよ…アタシ…双海ふたみに帰らないわよ…遠方よそで暮らしているおにいに頼んでよ!!」


(ガチャーン!!)


思い切りブチ切れた汐夏しおかは、電話をガチャーンと切ったあと両手で髪の毛を激しくかきむしった。


またところ変わって、今治市中心部しないちゅうしんぶにあるテナントビルにて…


テナントビルの中にある貸金業マチキンやで事件が発生した。


あらたが刃渡りのするどいナイフで竹宮たけみやを刺した。


「ああああ!!オドレクソがキ!!」


ナイフを持っているあらたは、よりし烈な怒りに震えながら言うた。


「ふざけるなクソチンピラ!!」


この時であった。


チンピラの男たち10人が事務所にやって来た。


「アニキ!!」

「オドレクソガキ!!」

「ワーッ!!」


あらたは、10人の男たちをナイフでりつけて殺した。


その後、あらた竹宮たけみやが出入りしている事務所くみへ行った。


(ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!)


あらたは、組長たちをけん銃で次々と撃ち殺した。


その後、上納金くみのカネ3億円を盗んで逃げた。


ところ変わって、大西町宮脇にある智大ともひろの実家の大広間にて…


大パニックを起こした汐夏しおかは、電話の前に座り込んだ。


紗希子さきこは、大パニックを起こした汐夏しおかに声をかけた。


汐夏しおかさん…汐夏しおかさん大丈夫?」


(ジリリリリリリン…)


またプッシュホンのベルが鳴った。


汐夏しおかは『出ないでください!!』と言うた。


紗希子さきこは、困った声で汐夏しおかに言うた。


「どうしたの?」

「電話に出ないでください!!またおかーさんがかけてきたのよ!!」

「おかーさまからだったら、うちが説明するから…」


紗希子さきこは、汐夏しおかにおだやかに言うたあと受話器をあげて話した。


「はい尾儀原おぎわらでございます…ああ、(JA)おちいまの…あらたはまだ帰っていませんけど…」


このあと、紗希子さきこはおどろいた声で言うた。


「ええ!!…あらたが人殺しをしたって!?…もしもし、相手は…ヤクザ…新がヤクザを殺したって本当ですか!?…もしもし!!」


(ガーン!!)


思い切りブチ切れた浩暉こうきは、右足で電話機をけとばした。


浩暉こうきは、怒った声で言うた。


「ほっとけよ!!」

浩暉こうき!!」

クソアホンダラはケームショへ行けばいいんだよ!!」

浩暉こうき!!」

「オレも私立高校メートクやめたらぁ!!なにがガッコーへ行けだ!!なにがガッコーを楽しんでこいだ!!ふざけるな!!」


(ガツーン!!ガツーン!!ガツーン!!)


思い切りブチ切れた浩暉こうきは、硬いもので浩介こうすけを殴りつけた。


浩介キサマも出て行け!!ケームショへ帰れ!!」


浩介こうすけは、反撃する気力がないので浩暉こうきからボコボコに殴られてばかりいた。


その後、浩暉こうきは、家から出て行った。


紗希子さきこは、ぐすんぐすんと泣きながらつぶやいた。


どうしたらいいのよ…


あらたが殺人事件を起こした…


あらたが…


貸金業者マチキンやで働いていたことが分かった…


浩暉こうきが…


ガッコーやめると言い出した…


どうすればいいのよ…


(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン…ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー…)


ところ変わって、今治市中心部しないちゅうしんぶにあるテナントビルの前にて…


現場付近の道路に愛媛県警けんけいのパトカー5台がけたたましいサイレンを鳴らしながら停まっていた。


つづいて、今治市の中央消防署の救急車が現場に到着した。


到着した救急車から降りた救急隊員たち8人が現場に急行した。


現場の前に愛媛県と関西と首都圏の報道機関の事件記者たちがたくさん集まっていた。


また、キンリンにある店にいたホステスたちと客たちも現場に集まっていた。


それから20分後であった。


竹宮たけみやがタンカにのせられた状態で救急隊員たちと一緒に出てきた。


(カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ…)


事件記者たちは、竹宮たけみやに向けて一斉にシャッターを押した。


「オドレ尾儀原クソガキ!!地獄へとしてやる〜…おぼえていろ!!』


(バタン!!ブロロロ…ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー…)


竹宮たけみやがのせられた救急車が現場から出発した。


この時、首都圏の報道機関の事件記者の男性がもうひとりの男性記者に声をかけた。


「クソガキ、地獄へとしてやると言うたね。」

「ああ、そう言うてた。」

「犯人は、貸金業マチキンやの関係者かな?」

「知らねーよ…」


周りにいるホステスたちも『クソガキって…誰かしらね?』と口々に言うた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る