第3話

時は、4月1日の夜7時頃であった。


ところ変わって、智大ともひろの実家の大広間にて…


テーブルの上に、汐夏しおかが作った晩ごはんが並んでいた。


テーブルの前に沙希子さきこ浩介こうすけ浩暉こうき智大ともひろ汐夏しおかの5人がいた。


あらた佐永さえは、まだ帰宅していなかった。


みんなで『いただきます…』と言うたあと晩ごはんを食べようとした。


(ジリリリリリリン!!)


この時、うぐいす色のプッシュホンのベルが鳴った。


汐夏しおかは『ちょっと待ってください~』と言うたあと受話器をあげて話をした。


「はい、尾儀原おぎわらでございます…えーと…あっ、(お弁当工場)のご主人さまでございますね…えーと…智大ともひろさんの声が聞きたいって…あの…どうかなさいましたか?…えっ?…お弁当を食べてないって…そんなはずはありません…智大ともひろさんはいつも『おいしい…』と言うて食べてますよ…きょうは大好きな串カツが入っていたからおいしかったよと言うてましたよ…どうしても声が聞きたいって…すみません…本人に変わりますので…お待ち下さい…」


ものすごく困った表情を浮かべている汐夏しおかは、智大ともひろに言うた。


智大ともひろさん、お電話です。」


智大ともひろは、怒った声で言うた。


「出たくねえよ!!」


汐夏しおかは、つらい声で智大ともひろに言うた。


智大ともひろさん、ご主人さまが困っているのよ…」

「出たくねえと言ったら出たくねえんだよ!!」

「ご主人さまが困っているのよ…なんでお弁当を残したのかなって…」

「食いたくねえから残した!!」

「どうしてお弁当を残したのよ〜…ご主人さまは、智大ともひろさんのことを心配して電話をかけてきたのよ…」

「なんでそんないらないことをするのだよ!!」

智大ともひろさんに何があったのかを知りたいと言うてるのよ!!」


この時であった。


佐永さえがものすごく怒った表情で帰宅した。


(ガシャーン!!)


ものすごく怒った表情を浮かべている佐永さえは、右足で電話機をけとばしたあとより強い怒りを込めながら汐夏しおかに言うた。


「はぐいたらしいわねよそもん!!」

佐永さえさん、どうして電話機をけとばすのですか!?」

「やかましい!!あんたがいらないことをしたからけとばしたのよ!!」

「(お弁当工場)のご主人さまが智大ともひろさんのことを心配してかけてくださったのよ!!」

「やかましいよそもん!!あんたはいつからえらそうな態度を取るようになったのよ!!」

「えらそうにしていません!!」

「ふざけるな!!」


(ガーン!!)


思い切りブチ切れた佐永さえは、電話機で汐夏しおかを殴りつけた。


殴られた汐夏しおかは、泣きそうな声で言うた。


「アタシは、みんなの役に立つために家事全般いえのことをしているのよ!!」

「ますますはぐいたらしいわね!!あんたが温大はるとばかりをえこひいきしているから殴られたのでしょ!!」

「えこひいきしてません!!」

「ふざけるな!!温大はるとばかりに手作り弁当を作って、智大ともひろやうちの子にはひやめし同然のげきマズイ弁当でガマンさせたからものすごく怒ってるのよ!!」

「なんでごちそうだと思わないのですか!?」

「ふざけるなよそもん!!」


(パチーン!!パチーン!!パチーン!!パチーン!!)


思い切りブチ切れた佐永さえは、汐夏しおかの顔を平手打ちで20回叩いた。


(ガーン!!)


この時であった。


思い切りブチ切れた浩暉こうきが席を立ったあと右足でみそ汁が入っていた鍋をけとばしたあと怒った声で言うた。


「ふざけるな!!こんなイラついた気持ちで、食べれるか!?ふざけるな!!」


ものすごく怒った表情を浮かべている浩暉こうきは、ドスドスと足音を立てながら大広間から出て行った。


その後、部屋に閉じこもった。


(ガーン!!)


つづいて、智大ともひろも席を立ったあと右足でテーブルをけとばした。


「外へのみにいく…家にいたらむしゃくしゃするのだよ!!」


ものすごく怒った表情を浮かべている智大ともひろは、外へのみに行った。


浩介こうすけも『ご飯いらない…』と言うたあと外へ出て行った。


佐永さえは、ものすごく怒った表情で台所へ行ったあと、冷蔵庫に入っていた缶ビールを取り出して一気のみした。


佐永さえのせいで食卓が壊れたので、家族たちは晩ごはんを食べることができなかった。


またところ変わって、今治市中心部のドンドビ交差点の南西よりにある一方通行路(港行き)に面した雑居ビルにあるオフィスにて…


オフィスは、貸金業者マチキンやであった。


大きめのデスクにやきそばヘアで黒いサングラスをかけていて、ももけたハラマキ姿の竹宮豊国たけみやとよくに(以後、竹宮と表記)が座っていた。


竹宮は、口笛をふきながら素足にタムシチンキ(水虫薬)を塗っていた。


そこへ、あらたがつかれた表情で帰って来た。


竹宮は、ノンキな声であらたに言うた。


「おう、けえったか。」

「(新、つかれた表情で言う)はぁ~…」

「きょう一日おつかれさん…ほれ…」


竹宮たけみやは、あらたに対して右手を出した。


あらたは『はぁ~?』と言うたので、竹宮たけみやは『カネは?』と言うた。


あらたが『取れなかった〜』と言うたので、竹宮たけみやは怒った声で言うた。


「なにィ!!」

「すみませんでした〜」

「オドレ、今の今までどこにいた!?またサテンにいりびたっていたのか!?」

「違いますよ…取りに行きましたよ…」

「ほんならなんで取らなかった!?」

「ですから、先方さまが待ってくれと言うたので…」

「なんやオドレ!!」

「先方さまがあと10日待ってくださいと言うたのですよ〜」


竹宮たけみやは『チッ』と舌打ちしたあと怒りを込めながら『あの債務者クソガキャ!!』と言うた。


竹宮たけみやは、あらたに対して『ほんなら待ったらァ~』と言うた。


あらたは、大きくため息をついたあとカクンと落ち込んだ。


6か月前に(JA)おちいまに休職届を出したあらたは、知人から『おちいまよりもうんと給料が高いョ。』と言われたので貸金業者マチキンやに入った。


その結果、あらたは取り返しがつかないトラブルを起こした。


あらたがよりゴーインな取り立てをしたことが原因で債務者が命を絶った事件が多発した。


このままでは危ない…


逃げなきゃ…


だが…


竹宮たけみやによって押さえつけられているので…


さからうことができない…


どうすればいいのだ…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る