第4話『ウルフ』
前回、スライムに道案内をしてもらいながら森を歩いてきた傑。
休憩しようとした矢先、狼と酷似した生物に襲われようとしていた。
果たして傑たちは無事に生き残ることができるのでしょうか!
傑達の活躍をぜひご照覧あれ
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傑「いやぁああああああ!!!!!」
助けてくれ!いや、助けてください!!俺は現在虫嫌いがゴキブリを見つけたが如く悲鳴を上げながら森を逃げ回っている。原因は後ろからストーカーみたいに追いかけてくるあの狼モドキだ。
傑「あ〜もう!さっきから撒いたと思ったのに、すぐ追いつかれるのはどうなってんだ!」
イフ『君の世界の狼と同じで嗅覚が優れてるから追跡はお手のもんだろうね。』
あ〜、そりゃそうですよねぇー。だって見るからに狼だもん、鼻がいいに決まってるもんなークソがっ!
スライム「このまま逃げてもスタミナ切れで追いつかれて仲良く貪られちゃうよ!キミを囮にして何とか僕だけでも逃げる方法考えよう!?」
傑「おいこのクソスライム!おめぇのことアイツに投げてもいいんだぞ!」
スライムくんと喧嘩しているうちに俺と狼モドキの距離が徐々に縮まっていく。
傑「ちっ!狼モドキって言いづれぇ!あいつの正式名称なんだよ!?」
スライム「今気にすることそこじゃないでしょ!一応言っとくけどあいつの名称は【ウルフ】だよ!他の魔物よりも身体能力が高いのが特徴だよ!」
傑「一応説明はしてくれるんだな!?ありがとう!」
狼系のやつはどこ行ってもウルフと呼ばれる性質でもあんのかね?万国共通……世界が違っても通ずるものがあるというわけだな!
……いや、むしろ俺に伝わりやすいように能力が翻訳してくれてるって解釈の方が妥当だな。
傑「やっぱり翻訳は便利だなぁ!イフ解説よろしく!」
イフ『しょうがないなぁ。このイフ先生が馬鹿な君でもわかりやすいように説明してあげるよ。』
【ウルフの解説】
・種族名:
・滑らかな毛並みと鋭い牙を四足歩行の魔物
・ウルフは体内に保有する魔力を自らの身体能力を強化するために使っているので、俊敏で一撃が重いのが特徴。
・魔力を含んだ物を優先的に襲う性質がある。
・ウルフが進化すると二足歩行の【獣人】という生物になるという報告もされている。
イフ『ちなみに他の獣っぽい魔物が進化した際も似たような二足歩行の姿になるから二足歩行してる獣は全部一纏めで獣人族って呼称されてるよ。獣人だけの国とかもあるけどそんなことを話してる余裕は無さそうだね?』
傑「分かってんなら何か対処法考えてくれ!もうすぐ後ろまで迫ってきてんだよ!」
イフ『そりゃあ君が「イフ様助けてください」って言えば多少は助けてあげるよ。』
このクソ女神!こんな時に悦に浸ろうとしてんじゃねぇよ!こうなったら意地でも言ってやんねぇからな!
スライム「まずいよっ!もう追いつかれる!君の魔法で何とかできないの!?」
傑「ありゃ見るから近接戦闘に強いタイプだ!ここまで近寄られたら俺が魔法を使う前に噛みつかれて死亡がオチだろ!もっと距離を離すしかない!」
何とか時間を稼げたら倒せるかもだが……あっ!
傑「これならいけるか?……スライムくん!お前の体の一部寄越せ!」
スライム「え?何?こんな時に水分補給したくなったの!?」
傑「そんなわけねぇだろ!勝つために必要なんだよ!早くしろ!!」
俺の言葉に促されるままスライムくんは体の一部を俺に渡した。
イフ『それで何する気だい?』
傑「ふっふっふっ……まぁ、見てろって!」
俺は渡されたスライムくんの一部に自身の魔力を注ぎ込み始めた。さっきの説明通りならばヤツは魔力を持ってるいるものに積極的に襲いかかる。
なら俺の魔力を大量に含んだこれはヤツにとって魅力たっぷりのご馳走に見えることだろう。
傑「しかも俺は今ので魔力を沢山失ったからコレを優先的に狙う……と信じたい!まぁ考えが外れてたら死あるのみ。覚悟決めるしかない」
俺はヤツの近くにスライムくんの一部こと囮をぶん投げた。……すると、ヤツは囮が投げられた方向へと向き直り、囮を追いかけていく。
傑「よし!作戦成功じゃ!俺たちを追い詰められる策はあるようだが所詮獣……人間様には遠く及ばないんだよ!」
スライム「うわぁ、感覚は切り離してあるけど自分が襲われてるみたいで嫌だなぁ。」
イフ『早くここから逃げたら?まだアレにむちゅうになってるし、今がチャンスなんじゃない?』
傑「逃げるだ〜?何を言うか!アイツにはさっきまで俺を追いかけて来た報いを受けさせてやるぜ!……ただ俺の魔力も残り少ないからスライムくんも力貸してくれ!」
スライム「……へ?」
俺は念の為その場から少し離れると残された魔力を再びもらったスライムくんの一部に注ぎ込んだ。
傑「俺は思ったんだ……物体を一から思い浮かべて生成するより、近くにある水を利用する方が魔力の消費も少ないし、楽なのではないか。……ということで今回使用するのは水の魔法だ!」
水と聞いて侮るなかれ高圧で高密度の水を超高速で噴射すると人体なんて簡単にスパスパ出来る。大質量の水は建物群を一瞬で粉微塵にするほどの威力を出せる。水は偉大なのである。
そんなことを考えていたらどうやら囮と格闘し終わったウルフが再び俺たちに狙いを定めたようでとてつもない速さで向かってくる。
地面を蹴り、飛び跳ね、その鋭く尖った牙が俺の首をえぐる寸前。……魔法の準備が完了した。
傑「……もう既に俺が勝つイメージは出来てんだよノロマ!」
手に収められた水を圧縮し一気に解き放つ。
傑「
圧縮した水を剣に見立て横に薙ぐと目の前まで迫ったヤツを周りの木ごと一刀両断した。
ヤツの身体が綺麗に半分こにされ、血が大量に溢れ出し、断面から臓物が飛び出していた。
傑「やはり水は最強!しゃおらぁ!俺TUEEEE!!!ってグロっ……うぇえっ」
グロイのは苦手なんだよなぁ……現代日本人はこういうものに慣れてないから耐性がついてないんだよなぁ……
イフ『よく頑張ったね。まぁ、とはいえコイツは魔物の中では弱い個体だけどね。』
現実を見せてくんな!あと今回は不意を突かれただけだから!普通に戦うか策を講じればある程度こっちが有利だと思います!
傑「……にしても逃げ回ったせいでよく分かんないとこ来ちゃったな。」
辺りを見渡すとさっきほどまで見えていた黒い木とは違う日本とかでもよく見ていた茶色の木が生えていた。
イフ『魔力を大量に取り込んだ木は黒くなるからここら辺は魔力が薄いんだろうね。』
傑「ほへ〜。じゃあ外に近いってことなんかな?スライムくんここがどこら辺かってのは分かる?」
スライム「ここら辺はよく歩き回ってるからだいたい分かるよ。この辺なら明日までには森から出られるかな。」
傑「それなら安心だな。……まぁ、とりあえず今はまた襲われないことを祈るぜ。もう魔力ねぇからな。」
イフ『魔力がないってことは〜?』
傑「え?……ん〜?……あっ」
バタンッ!
イフに指摘された途端、俺は体から力が抜けてそのまま地面に叩きつけられた。少し前に味わった魔力切れを引き起こし、倒れたまま動けなくなった。
スライム「……大丈夫?」
イフ『魔力切れのこと完全に忘れてたでしょ。しばらくは休憩しないとね。』
く、クソッタレぇ!!なんで最終的にこうなるんだァ!
傑「だ、誰か助けてぇええ!!!!!」
傑はろくに動かない身体をジタバタさせながらこの死が付きまとう森の中で助けを求めるのだった。無事に危機を逃れた傑は森から生きて出られるのだろうか。傑たちの珍道中をお楽しみください
次回へ続く
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