第2話『スライム』
前回異世界の女神であるイフによって異世界に転生し、魔物がうろつく森の中に飛ばされた傑。
イフの助言もあり、念願の魔法を使えるようにはなったが魔法は破壊にも想像にも使える代物。傑は今後魔法をどのように使っていくのだろうか。
傑の活躍をぜひご照覧あれ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
傑「ぜぇ……はぁっ……まるで体力テストの持久走を1km完走した時みたいな体力の減りを実感するぜぇ。」
馬鹿みたいに魔力を使ったせいで魔力切れになったから、体の力が抜けてマジで体が動かねぇ。
イフ『引きこもりで運動もろくにしてなかったからこんなことになるんだよ?魔力と体力は密接に関係してるからね。』
傑「誰が引きこもりだ!肌の白さで判断するんじゃねぇ!俺は学校にはちゃんと行ってたわ!」
まぁ、まともな運動をした記憶がないのは触れないことにしよう。運動は疲れるし嫌いなんだ。特に持久走とシャトルランはゴミだ。
傑「魔力ないと動けないね〜。イフ様〜、媚びへつらうんで魔力くださーい。なんでもしませんから〜。」
イフ『ん?今なんでもするって』
傑「言ってねぇよ。……あっ、でもそろそろ動けそう。」
イフ『なんやかんやで1時間はその場に倒れてたね。魔力切れは危険だから節度を持って使うようにね。お金を使う時と一緒だよ。』
傑「はーい。ちなみに魔法は俺の魔力量的に一発撃ったら即魔力切れって感じなの??」
イフ『今のところは2発撃ったら確実に魔力切れでまた倒れるね。1発までならまだ大丈夫じゃないかな。使う魔法にもよるけどね。さっきのは傑が馬鹿みたいに魔力使ったからすぐに無くなっただけで使い方を覚えれば消費魔力は減るから安心しなよ。』
なるほど。魔法を一回使っただけで魔力切れになったの少しショックだったけど、さっきの魔力の使い方が悪いだけで魔力量的にはまだ余裕があるのね。
イフ『ってか動けるようになったんならこんな雑談せすに早く安全な場所に隠れるかこの森から一刻も早く逃げた方がいいよ。』
傑「りょうかーい。」
こんな森にいたらいつ魔物に襲われてもおかしくないしな。じゃあそろそろ動きますかねー。ホントは動きたくないけど。
俺は身体を起き上がらせると、周囲を見渡した。辺り一帯が草、木、土の大自然。人の手が加わってないように見える。つまりここら辺はあまり人が来ないということだろう。
傑「そういえばここどこなんよ?つーか。この世界の名前すらまだ聞いてなかったような?説明不足なんじゃないかい?」
イフ『私のせいにするんじゃない。君が聞かなかったんだ。君はもう少し他人に積極的に質問する姿勢を学校で身につけるべきだったんじゃないのかい?』
傑「正論パンチは俺みたいな陰キャにはボディブローのようにじわじわ効いてくるからやめぇや」
イフ『善処するかもね。……まぁここは見た感じ【ミールの森】と呼ばれる特殊な森だね。ちなみにこの世界の名前は【オーレンズ】だよ。テストに絶対出るから覚えとくように。』
お前は学校の先生かよ。……ってかこの世界そんな名前だったのね。なんか結構前に理科の授業で習った凹レンズと似てますなぁ。
傑「……変なこと考えてても仕方ないな。……この森ってどんぐらい歩いたら出れんの?2時間とか?」
イフ『確か順当に2日間歩けば森からは出られるよ。……まぁ順当に歩けたらだけどね?』
傑「くそ長ぇし、そんなフラグみたいなこと言うなよ。まさか茂みから魔物が出てくるなんてそんな不運なこと起きるわけなかろうて」
ガサガサッ……
イフと駄弁っていると、目の前の茂みから動いてるかのような音がした。
傑「奥さん……フラグすぐ回収しそうなんすけど、どう責任とってくれるんですか」
イフ『ん〜……どんまい♪』
こんのクソ女神がよぉ!絶対これあれじゃん。茂みに近寄ったら魔物がバッ!って出て戦闘開始のやつじゃあん……
俺が一般モブAとして八つ裂きにされるやつじゃあん……
傑「あー、でも……異世界の生き物興味あるよな。見なくて退散も良いけど男なら!未知に飛び込むべし!
そういうと俺は地面から飛び起き、準備体操を始めた。
イフ『……何してるんだい?』
傑「何って……見りゃ分かるだろ?準備体操だよ。異世界ってそういう文化ないの?ちゃんと運動前は体操しといた方がいいって広めてやろうかな。」
イフ『いや体操自体はあるけど、魔物が襲ってくるかもしれないこの状況でよくそんなことが出来るなーって、馬鹿なのかな〜?って思っただけだよ。』
こいつナチュラルに俺の事を罵ってきやがる。イフは人間の道徳というものを学んできた方がいいんじゃなかろうかね?
傑「フハハッ!!何を言うかと思えば……1つ教えてあげよう…………バカは風邪をひかないという利点があるのさ!だから俺はバカで良い!」
そういうと俺は魔力を込め始めた。先程魔法を使った時と同様に、火のイメージを魔力と共に手のひらに集める。
先程は魔力を使いすぎてぶっ倒れたので俺の限界に合わせて少しづつ魔力を出していく。
次に手のひらで燃え盛ってる火を投げやすいように、丸く整形していく。形と大きさのイメージはハンドボールを目安とする。
傑「ビュティホー!この魔法はシンプルに【
イフ『君は良いのか悪いのかよくわかんないこというね。』
傑「うっせぇやい。……いくぜ!相手の身体に向かって〜!シューート!超エキサイティン!」
俺は魔法で作った球を茂みに向かって全力投球した。球が勢い良く茂みにぶつかると茂みの葉っぱやら茎が一気に燃えだした。
バシュッ!!
いきなり燃えだしたことに驚いたのか、茂みにいた生き物がこちら側に飛びだした。
その生き物は流体状のような見た目をしており、かなりすばしっこい。海のように青い身体の中心には赤色の石のようなものが存在している。この魔物の正体はファンタジーという題材でほぼ登場するレジェンド。
傑「…………す、スライムだぁああ!!」
すげぇ!The魔物って感じ!異世界に来たってことを実感できるわぁ〜。
イフ『スライム一匹でオーバーリアクション過ぎないかい?』
傑「馬鹿野郎!スライムだぞ!あのドラ〇ンク〇ストとか色んな作品でマスコット的な扱いを受けてるあのスライムさんだぞ!?」
「熱っ!?焦げスライムにされる!なんで急に燃えたっ!?」
傑「………………は?」
スライムと俺しかいないこの場で俺は、妙に高めの声が聞こえた。
傑「…………なぁイフ。この世界のスライムって人間の言葉話せるんだな。」
イフ『そんな訳ない。君は魔法以外にも私が与えた能力があるだろう?君の足りない知能でよーく思い出してみて』
傑「え?そんなんあったっけ?」
なんだっけ?う〜ん。魔法のインパクトがデカすぎてもう1個ド忘れしてるわ〜。えーっと、俺が欲しがりそうで異世界において重要な能力。
傑「…………あ〜、思い出した。【言葉を理解する力】か。」
なるほど。自分と同じ言語に聞こえるようになるのか。はぇ〜すっごい便利。(小並感)
傑「これでとりあえず会話は成立するな。あっ、そういえばスライム君のこと忘れてた。お〜い、そこの君。」
スライム「……もしかして僕に話しかけてる?(え?なんで人間が僕たちと同じ言葉使ってるの?……ていうか、さっき燃やしてきたのに平然と話しかけてくる普通?……人間怖っ)」
傑「そうだよー。いや〜魔法の練習してたらたまたま君に当たっちゃって、悪気はなかったんだよー。ホントにごめんね〜。」
まぁ、いるの分かってて全力で投げたからたまたまでは無いんだけどね。なんか騙されやすそうだから嘘ついてみた。
スライム「そ、そうなんだ。今後気をつけてくれるなら大丈夫だよ。」
イフ『さすがにこの子チョロすぎないかい?警戒心というものが微塵もないね。』
傑「人間にもこんな感じで詐欺に騙されるやつとかいるからスライムがチョロくても不思議じゃないだろ。」
スライム「あの〜……それで話しかけてきたってことは僕になんか用あるの?」
傑「魔法をぶつけた分際で頼むも申し訳ないんだが、単刀直入に言わせてもらう。迷子なんで助けてください!」
俺はその言葉と共に飛び上がり、着地する前に体勢を整え、手のひらを地に付け、額が地に付くまで体を前に倒すことで発動する俺の必殺技を繰り出した。
要するに【ジャンピング土下座】である。
傑はこの瞬間スライムに土下座する歴史上でも稀に見るヤベェやつとなったのであった。この後、傑は無事に森から脱出できるのでしょうか!傑の動向に注目です!
次回へ続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます