第1幕【ダラトナ編】
第1話『転生』
神様【イフ】との出会いを果たし、異世界への期待に胸を躍らせる傑。
イフから出される要求、それを果たすために奮闘する傑。
死ぬ気で奮闘する陰キャの第1歩をご照覧あれ。
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拝啓 皆様お元気でしょうか。さっきまで神を名乗る少女と話していたのですが……
私は今……森の中にいます。
傑「なぜこうなったァァアア!!??」
彼の名前は【
なぜ彼はこんな森の中にいるのだろうか?
時を遡ること3時間ほど前のこと。
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《3時間前》
傑「……よ、よろしくおねがいしましゅっ!うわぁああ!噛んだぁぁぁ!!!」
イフ「そんなに緊張しなくてもいいんだよ?明らかに女の子慣れしてなさそうな顔してるけどさ。」
違う!俺は久しぶりに喋ったから誤って噛んでしまっただけで、女の子と話すのに緊張したわけじゃないんだぁあ!!
傑「……ぁ、あのぉ?か、神様……なんですよね?」
もしかしたら神を名乗る厨二病の誘拐犯もしくは変質者の可能性も少なからずあるので一応疑いの目を向ける。
イフ「もちろんだよ〜。ほらっ、空とか飛べるし?」
そういうとイフと名乗る少女はなんの前触れもなくフワっと宙に浮き始めた。まるで某青いネコ型ロボットかのように。
傑「ぉお……おおっ!!すげぇ!」
在り来りな感想しか出なかったが、目の前の超常現象に俺はおもちゃを目にした子供が如く目を輝かせた。
イフ「まぁ神かどうかはさておいて、私が普通じゃない存在なのは分かってくれたかな?」
目の前の超常現象に魅せられた俺は首がもげそうになるくらい首を超高速で縦に振った。
イフ「よろしい♪……とりあえず話をしようにもこの状況を説明しないと話にならないからね。私が解説してあげよう♪」
傑「あざーす!」
イフ大先生のありがたい状況説明が始まった。
イフ「まず1つ目。なぜ君がここにいるのか。これに関しては本来君は地球という星で死んでそのまま天国に行くはずだったんだけど……私の世界がピンチだったから君の魂を拝借しちゃった♪(・ω<) テヘペロ」
傑「……魂云々はよく分かんないんでそこは気にしないことにしますけど。あなたの世界がピンチっていうのはなぜ?」
イフは先程までのゆる〜い口調から真剣な口調へと変わった。
イフ「ここで2つ目。なぜピンチなのか。実は……私の世界は今『魔物』という生物の暴走によって世界のバランスが崩れ始めてるんだよ。一応昔から魔物は居たんだけど最近大量発生してね。対処が出来ない状況にあるんだ。」
あらやだ!異世界転生モノによくありそうな話が出たわね!まぁ実際に体験するとは思ってなかったがな。
イフ「それによって生じた環境の劣悪化、魔物絡みによる種族間の対立、魔物による被害者多数。それらの積み重ねによって私の世界はピンチになったというわけさ。」
傑「だいたいは理解したんすけど、で?そんなハードモードみたいな世界で俺に何をしろと?」
俺がそういうとイフの目がキランッと輝いたように見えた。
イフ「いや〜私は君に何かして欲しいとは一言も言ってないんだけどね〜。君が進んで提案してくれるのなら、ぜひ頼みたいことがあってね♪」
は、ハメられた!?……いやでも俺の目的としては異世界に転生することだから特にハメられた訳じゃないか。
傑「それに関しては喜んで受けさせてもらうんですけど……具体的には?」
イフ「ということで3つ目。どのような依頼をするか。3つの大まかな目標を達成してもらいたいんだよね。箇条書きするからこの空間に注目してね。」
イフがそういうとどこからともなく現れた指さし棒でイフの横の空間を指さした。
ブォンッ
謎の風切り音とともに何も無い空間に突如ディスプレイのようなものが表示された。
傑「うおっ!ゲームみてぇ!」
俺は興奮して再び目を輝かせながらそのディスプレイを注意深く観察すると、箇条書きで3つの文章が書かれていた。
・魔物の大量の原因を突き止めて、解決する。
・種族間同士の関係の回復
・環境の修復
イフ「だいたい大まかに書くとこんなところだ。以上の3つの目標を君には達成してもらう。是非頑張ってくれ!これで大体の説明を終わるよ〜」
…………無理くね?第1俺まだ高校生だぞ?政治とか環境の問題とか分かるわけねぇし。
傑「まぁ……言った手前取り消すのも恥ずかしいんでやれる限りのことはやりますけど……せめてなんか特殊な能力とかください!」
するとイフは困ったような顔をした。
イフ「う〜ん。実は私は最近生まれた神様だから能力を与えるといってもなんでも与えられるわけじゃないんだよね。」
は?おい詐欺だろ!この詐欺師!インチキ神様!
傑「おい!ならどうやって俺はその世界で生き抜けばいいんだ!」
チート能力で無双だ!ヒャッハーって思ってた俺の気持ちを返せ!と言わんばかりに俺は激高した。
イフ「ご、ごめんって。許してよ〜。それにしてもどうしたもんかな〜?……あっ、そうだ。じゃあどんな能力が欲しいのか提示してよ。それを私のできる限り似た能力にするからさ。……まぁ、できて2つまでなんだけどね。」
俺はその提案をとりあえず受け入れることにした。にしても俺の欲しい力かー。2つって少なすぎるんだよな……能力は目標を達成するのにも必須になってくるだろうし……
……よし決めた!この2つだな。
傑「決めたよ。1つ目……魔法を使う力。」
イフ「魔法?そんなの能力として渡さなくても使え…………あ〜、確かに私の世界の住民は魔法使える人多いけど、君は別の世界の子だから魔法を使えないのか。まぁそれならお安い御用さ。君でも魔法を使える体にしといてあげるよ。で?2つ目は?」
傑「2つ目は……言葉を理解する力。」
イフ「……?……具体的にはどういうことだい?」
俺の提案がよく分からなかったのか、きょとんとした表情で質問してきた。
傑「ざっくり言うと、イフの世界の全ての言葉を書いたり、読んだり、話したりが出来るようにして欲しい」
イフ「そういうことね。これも簡単な能力だから余裕で付与できるね。」
傑「ありがと。じゃあそろそろ転生させてくれない?」
イフ「事前知識とかなくて大丈夫なのかい? 」
傑「そこら辺は転生してから考えるさ。無計画の方が楽しそうだしな!チュートリアルは飛ばす派なのさ!」
イフ「ちょっと何言ってるか分からないけど……こちらこそありがとうね。じゃあ無事に達成出来ることを祈ってるよ!そこの魔法陣の中に飛び込んだら私の世界に飛ぶから。」
イフが向いた方向を見ると青色に光った厨二病大歓喜の魔法陣が床に刻み込まれていた。
傑「うっひょ〜!たまりませんなぁ!じゃあ……行ってきます!」
そういうと俺は魔法陣に向かって全力でダッシュした。
そして魔法陣の中に飛び込み、足が魔法陣と接触した瞬間、魔法陣から急激に光が放たれ、俺は光の影響なのか分からないが、意識を失った。
イフ「ふふっ。1度目の生よりも2度目の生が幸福になることを祈ってるよ。この世界【オーレンズ】は君を歓迎するだろうね……」
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……んぅ?……今日は休みでしょ……まだ寝かせてよ……むにゃむにゃ……
ドゴォォオオン!!!
傑「ふぁ!?何事だァ!?……ってここどこだ?」
俺が目を覚ますと、俺は自身の10倍はデカいであろう木に四方を囲まれていた。
傑「……森?……なぜ?」
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そして現在に至るって訳。
傑「マジかよ。あの神。さすがに森に転送はないだろ。俺を殺す気かよ。あんの駄女神がよぉ!」
俺は自分を森に不法投棄した神に対して愚痴を吐いていた。
とはいえ愚痴吐くよりも自分のことを検査するのが先だな。もしかしたらハイスペックな体に生まれ変わってるかもだし
俺は自分の身体をベタベタ触ったり、少し走ったり、何か変化がないかと調べた。
傑「なるほど、俺の姿は日本にいた時のままで、なおかつ身体能力もそのままか……俺見た目がガリガリ高身長でまるでスケルトンだし、身体能力もゴミだし。……今日1日を乗り越えられるかも怪しいな。」
俺はこんなことになるなら、日本にいた時に運動やら自分磨きしとくべきだったと心の底から後悔していた。
そんな感じで項垂れていると
イフ『大丈夫かな〜?』
先程まで怒りを向けていた存在の声が超至近距離で聞こえてきた。
傑「うおっ!?へっ?この声どっから聞こえてんの?ま、まさかコイツ直接脳内に!?」
俺が地面に座り込んでいると、どういう手段を使ったのかは知らないが、イフが直接脳内に語りかけてきた。
イフ『神様の力は偉大なんだよ。さすがに1人は可哀想だと思ったから私が話し相手兼ナビになってあげようかなって』
傑「要らぬお世話だ!ってわけでもないな。心配してくれてありがと!」
でもなんかコイツにお礼言うの腹立つんだけどなんでなんだろうな?
イフ『どういたしまして♪……にしてもまさか転送先が森とはね。転送先はランダムだったんだけど運が悪かったね〜。』
傑「なんでランダムなんですかね〜?まぁ、いいや。それで聞きたいことあるんだけどさ、どうやって魔法使うんだ?」
先程から身体に力を込めたり、ファイアーボールとか言ったりしてるんだが、まるで効果がない。
イフ『あ〜。それはね。イメージ力が足りないんだよ。』
傑「イメージ力?」
イフ『魔法に最も大事なことは使いたい魔法のイメージがどれほど明瞭であるのか。例えば火を出したいとかなら熱さや形、色とか大きさも考えて出さないとだよ。そしてその魔法の名称を自分で付けて出すのが魔法の使い方だよ。』
なるほど。イメージ力か……じゃあド定番の炎で試すとするか。
俺の中の炎のイメージ。赤くてゆらゆらしている熱いもの。頭の中で炎の形を作り、整形していく。炎に燃料を注ぎ込むイメージで火力を上げる。今作りだした炎のイメージを脳から手のひらに向けて流し込む。そして魔法名を口に出す。
傑「【
ボォッ!
俺が魔法を唱えると俺の手のひらの上に炎が燃え盛っていた。
傑「ぉおっ!炎でた!かっけぇ!」
しかし熱さを感じないのは何故だろうか?手のひらの上で確かに燃えてるはずなのだが熱くない。
イフ『おめでとう!初めてでここまで出来たら上出来だけど、何やら納得してない様子だね?』
傑「いや、なんかこの炎熱くないんだよな。一応人の体温くらいの熱さはあるんだけど、なんか思ってたのと違うというか。」
イフ『それは自分の魔力によって生成されたものだから自分は熱くないように無意識に調節してるんだよ。相手にぶつける時は相手は熱く感じるし、燃えると思うよ。』
舜「ほへ〜。魔力ってなんぞや?」
イフ『魔力は魔法を使うエネルギーだね。身体中に魔力は巡っていて魔法を使う事に消費されていくよ。魔力によって再現された魔法は自分に悪影響がないように無意識のうちに調整されてるんだよ。だから別に今の魔法が失敗してるとかそういう訳では無いよ』
傑「それならまぁいいか。」
イフ『魔法を使う上で私に出来る限りのアドバイスならしてあげるから何度も挑戦しようね。とりあえず今送れるアドバイスは、そろそろ体がぶっ倒れると思うから気をつけた方が良いってことだね』
傑「は?それってどう……い……う?」
バタンッ!
イフ『肉体には魔力が流れていて、魔法を使うと体内の魔力が消費されて全部使いきると体の力が抜けて倒れてしまう。これから魔法を使う時は気をつけた方がいいね。』
そ、そういうのは……先に言え……
傑は地面とキスしながら怒りの感情が湧き上がるのを感じるのであった。今後傑は自由自在に魔法を扱えるようになるのだろうか!傑の成長をご期待ください!
次回へ続く
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