第11話 現実逃避する次期当主候補筆頭



「なぜだ!? なぜ毒を盛り、呪術師による能力低下を施していると言うのに第一騎士団で有数の実力のあるヤラレール家のものを相手にして勝てる?」


 ディアブロ専用に整えられた控室の中。

 毒は耐性にによって弾かれ、呪術師のデバフはアークがかけたデバフをにより無力化されたことを知らずにディアブロは一人ごちる。

 知っていればこれ以上、無駄な工作をせずに済んだと言うのに。


「落ち着け! 効いているはずだ! 戦闘の疲労も考慮すればあと一押しのはず! もう一手いる! 奴の心を折るもう一手が!」


 不安を払拭するためにディアブロは根拠のない希望的観測を行うと次の工作に頭を巡らす。


「肉体は限界まで追い込んだ! ならば次は精神だ! 両者がいかれれば必ず三回戦目であいつは敗北する!」


 精神的に落ち詰めるための工作を講じることを決めるとディアブロはアークと昔から縁があり、絆が一番深いと認識しているレヴィリアのことを頭に浮かべ、下卑た笑みを浮かべた。


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