第9話 瞬殺騎士スーグ・ヤラレール


 毒無効を獲得した。

 持っていたもので毒の最上級である『ヒドラの毒』をクラフトしたが、俺の毒耐性を貫けなかったため大量に服毒した結果こうなった。

 ステータスが上がりすぎた弊害がここでも出るとは。


『一回戦! 第四騎士団第四隊隊長 アーク・ブレイ VS 第一騎士団第八隊隊長 瞬殺騎士ことスーグ・ヤラレール! 解説は第ニ騎士団団長のこの私──ピエール・クラウンと第一騎士団副団長ディアブロ・ブレイの二人で送らせて頂く!』


「ふん! 第四騎士団の雑魚か! この一刀でケリをつけてやろう! 『飛影剣』!」


 ゴングが鳴ると、スーグが飛ぶ斬撃を放つ剣スキル『飛影剣』を使ってきた。

 絶望的に飛んでくるスピードが遅いところを見るとスキルレベル1は言ったところだろう。

 ここまで酷いと奴に合わせて一芝居を打つ気も起きない。


「今の体の調子を見るのにお前を使わせてもらおう」


 スーグに向けてスキルも何も使わずにただ剣を振るう。

 剣から生じた衝撃波が『飛影剣』を打ち消し、スーグを真っ二つにする。

 確実に即死したが、対戦相手を殺すのは御法度なので蘇生させる。


『スーグ・ヤラレール昏倒! 一方で瞬殺騎士の代名詞とも言える『飛影剣』を放たれたはずのアークは無傷! 勝者アーク・ブレイ! アークが私には何をしたのか全くわからなかったがディアボロ殿どうであろう?』


『は、ハハハ! あ、あれはあれですな! 弟の得意な幻術魔法です!』


『なんとバラドックにしか習得できなかった魔法を?』


『そ、そう、バラドックにしか魔法を』


『一体どうやって?』


『そ、それは──』


 一連のことを解説の二人は一才知覚できておらず、ディアブロが適当なことを言って自滅していた。

 自分のケツは自分で拭かせるべきだろう。

 ささっと控え室に戻ることにする。



────


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