第6話 ダークホースの出現に焦る次期当主候補筆頭


『フハハ! 我らが神──アーク様の祝福を受けし我々は後二回変身を残している!!』


『うわああああああ! 化け物お!! 撤退! 撤退! 撤退!』


「な、なんだこれは!?」


 ブレイ家の数多くいる兄弟の中で次期当主候補筆頭と言われているブレイ家長男──ディアブロ・ブレイは、審問官見習いのレヴィリア・ホープが見せてきた映像に喫驚する。

 そこには剣聖を一撃で倒すアークの姿や、アークの指揮するブレイ隊が圧倒的な武力によって敵軍を撤退させる姿が写っていた。


「にわかには信じられん! こんなことが本当にあり得るのか!?」


「全て本当です。ブレイ家の当主となる人間──次期第一騎士団長となる人間を再び再考してください」


「そ、そうだな! ホープ家の君が言うのなら本当なのだろう! 無論! 考え直してもいいとも! 君の報告は是非とも父に伝えておこう!」


「父君の第一騎士団長──ガード・ブレイ様によろしくお願いします。では私も次期当主としての責務を果たさねばならないので」


「そ、そうなのか。それは残念だ。また会える日を楽しみにしている」


 ディアブロは引き攣った作り笑いをするとレヴィリアを見送る。


「父上に詳細を伝えるわけがなかろうがアホが! あの脳筋ジジイは剣聖を倒したと知ればすぐに当主に据えるに決まってると言うのに!」


 彼女が見えなくなると、ディアブロは完全に当主争いから脱落していたアークが今更ダークホースとして出現したことに苛立ちを隠さずに悪態をつく。


「絶対に認めんぞ! 本来なら長男である俺が独占できるはずの恩恵を末弟に譲るなど!」


 ディアブロはあまり頭の出来の良くない父にどうやればアークの功績を知られず、アークが次期当主として再び浮上してくる目をつぶすか頭を巡らす。


「統括騎士団長閣下にアークの攻撃が魔法の理に沿っていない眉唾ものであることを言えば、大々的に言うことは避けられる。あとはあいつを絶不調の状態に陥らせ、アークが大衆の面前で無様を晒せば、ホープ家のアホどもも騒げなくなるだろう」


 頭に目算を立てると、ディアブロは自分が先の闘技会の実行委員に任命されていることを思い出し、ほくそ笑んだ。

 


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