第5話 お風呂
そして風呂。今日も当然手かせは外されない。しかし、一つだけ違うのは今日は二人だということだ。二人……拘束されたまま裸であいつに洗ってもらう。
優香は初めてなので、腕を頑張って動かして胸を隠そうとする。そんな事しても無駄なのに。
「ねえ、あなたの名前は何なの?」
そう、誘拐犯に名前を聞く。
「俺か……俺は長谷川雄二だ。よろしく」
と、名前を知れた。雄二。普通の名前だ。
「ねえ、服着させて」
と、優香が雄二に聞く。
「だめだ。洗うまで待て」
「……そのあらわれるのが嫌なの。私の手枷を外してくれるのなら私が頑張って洗うから」
「それはだめだ」
やっぱりか。まあ仕方ないだろう。
そして優香は泣きながら雄二に洗われる。雄二は気を付けているようだが、それでもはっきりとしたセクハラだ。そんな中泣くのは仕方ないだろう。
「お前はちょっと待ってな。この子がなかなかいうこときいてくれないんだ。
と、そう言われたので、地べたに座る。三角座りだ。
「落ち着け。俺は別に性的目的で洗ってるわけじゃないから」
女の子を誘拐してる時点で性的目的だろとツッコみたい。もしそうでないなら男でもいいはずだから。そうか、でも女の方が力が弱いという点では成り立つか。
まあとはいえ誘拐自体犯罪だけど。
「さてと……」
洗い終わった雄二が今度は私の体を洗う。シャンプーで体の隅々まで洗われる。当然胸もだ。
そしてお風呂から上がり、服を着るために一時的に拘束具が外される。
「ふぐううう」
優香はがんばって雄二の手から逃れようとするだが、所詮小学生対大人。あえなく、服を着させられ、そのまま優香の手に拘束具の手枷がはめられる。そしてそのままカギによって拘束具は占められ、優香の手は固定された。
「次は足だな」
と、足も拘束具がはめられる。さすがに手が拘束されているので抵抗しようとは考えてはいないようだった。
「次はお前だ」
と、私の拘束具が一時的に外され。服を着せられ、そのまま拘束具を腕にはめられ拘束される。やはり鉄の手枷なので若干冷たい。
「じゃあ寝るか。ついてこい」
と、一人ずつお姫様抱っこをされる。
「二人は一緒に寝ろ」
と、雄二は向こうで私たち二人はダブルベッドで寝る。
てか普通にベッドが変わってる。買い換えたのか……
なぜこういう事はするのに、拘束具は外してくれないのか……。
「ねえ、寝る前に少しだけ話さない?」
「うん」
「かまわないよね?」
と、私は雄二に向かって言う。
「ああ」
「じゃあ話そうか。優香は友達とかいたの?」
「いますけど……そこまで仲は良くない」
「なんで?」
「一人のほうが楽しいし」
「じゃあ今一人にした方がいい?」
「今は暇だもん。話しかけてきていいよ」
良かった。
「勉強とかはできてたの?」
「全然。だって面白くないし」
「そっか。私は面白いとは思うな」
「なんで?」
「新しい発見ができるじゃん」
「どういった?」
「例えば理科とかだったら、私たちが知らない事に気づけるじゃん。それって面白くない?」
「分かんない」
まあ小学生だから仕方ないか。
「そっか。まあ今から気づいたらいいよ」
「うん」
「ところでさあ、文句言ってみない?」
「なんで?」
「暗いから。文句を言ったら元気になるかもしれないし。じゃあいうね。私たちを解放しろー!」
「え? え? え?」
「ほら優香も」
「でも殺されたら」
「大丈夫。たぶんね」
確信は無いけど、よほどのバカじゃなかったら、わざわざ誘拐した人を殺すなんて事はしないだろう。
「たぶん?」
「うん。せーの私たちを解放しろー!」
「か……解放しろー」
「もっと元気よく!」
「あのなあ。お前らもう寝ろ。そんな大声出されては構わん。俺も明日は仕事があるんだ。口にガムテープ張るぞ」
「えーガムテープ張られたら暇じゃん」
「じゃあやめろ」
「はーい。このくそ野郎」
「……本当に張るぞ」
そしてその日は眠りについた。
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