第6話 二人での監禁
そして翌日雄二が出社した後。
「私ね。友達はいたの」
「え?」
「だから多分その子は私の帰りを待ってると思うし……私の両親はわからないけど、多分もうそろそろだと思う。監禁生活も」
と言いながら手をグネグネと動かす。相変わらず手かせの間の鎖が伸びきって、完全な解放とはならなかったが。
「だからその時に備えよう。もしかしたら知名度上がるかも知れないよ。ニュースに出たりして」
「そしたらみんなに褒められる?」
「ほめられるかどうかはわからないけど、少なくとも学校の中での立場は上になるね」
例えば、この経験を人に話したりして。
「じゃあその時まで待つってこと?」
「そうかな。まあだけど、私ももう腕が動かない生活に疲れてきた。固定されるのってしんどいね。体が思うようには動かないしさ」
「私ももうしんどいです」
「そりゃあね。私たちには助けを待つしかできないよ。たぶんこの壁防音だしさ」
「あと何日?」
「たぶん長くても五日だと思う。誘拐事件なんてよほどうまくやらなければ見つかるしさ」
「うん!」
「だから今のうちにあいつの悪口言ってやらない?」
「うん!」
「せーの! ばかー」
「あほー」
「ぶすー」
「ぼけー」
「くそ野郎!」
「ゴミ!」
そして翌日
「はあ、ひまー」
優香が流石にそんな愚痴を吐いた。流石に三日目となると仕方ないだらう。
「そうだ! ねえ、ちょっと良い?」
と、背中を優香の背中にくっつける。
「何?」
「いいから」
と、手をなんとか優香の手にくっつける。その際に拘束具がガチンと当たったが、なんとか手を握ることができた。
「私たち手、繋いだことないじゃん。だからほら」
「うん」
優香も手を強く握った。
「すぐ帰れるわよ」
「うん!」
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