06_2033年3月25日

 もうこの日がきた。諦め、虚しさ。家族は泣き叫び、私をとめてくれた。だが、私はとまれなかった。未来を知ってしまった苦痛。今の事態を知っていたにもかかわらず無力だった私。何のための私なのか。

 いつころかタイムマシンに憧れた時期もあった。恐竜を見に行くとか、ビッグバンを見に行くとか。今、思うにそれは過去の人達(生き物達)に不利益だ。絶滅する未来を知った恐竜は生き方を変え、種の保存につとめることはなくなるだろう。翼竜は火山に飛び込み、肉食恐竜は食欲以外の殺戮を行う。発展性の欠片もない。

 でも、まてよ。線路が引かれる前、ビックバンの前には何があったのか。それは..

 椅子が倒れた。もう音もしない。

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