そっと、仕舞う

 「みんな撮るよー!」

菫の掛け声でみんなが集まる。最後まで学級委員長としてクラスまとめる姿はすごくかっこよかった。

菫はずっと、俺にとって憧れの存在だった。

「準備はいいー?」

これがこのクラス最後の集合写真だ。

俺は最後列に並んで透空と珈那の肩に手を回す。

「三」

珈那の頬が少し火照っているように見えたのは気のせいだろうか。

「二」

透空もそれに気づきほんの少し寂しそうな表情を浮かべた後、前を向いて飛びっきりの笑顔を作った。

「一」

俺は菫の笑顔をじっと見届ける。

"カシャッ"

シャッターが切られた。

「見てみようぜー!」

「見たい見たい!」

俺、珈那、菫、透空、他のクラスメイトたち、みんな良い笑顔だ。

「これで良かったんだ。」

俺は菫への想いをそっと仕舞って、笑顔で三人のいる方へ歩を進める。

脳内にはリハーサルでの珈那の伴奏が流れていた。

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