第13章
ため息のような白い息がお別れを感じさせる頃。
私はさらに藍との距離を縮めていた。
共通点が多いおかげか私たちの会話はとても賑やかだ。
気が合うって楽しい。
あなたはいつも私がほしい言葉をくれる。たとえ誰かに批判されても、藍ならきっと別の言葉をくれただろうと安心する。
きっと私たちは相性ぴったりだ。
「ねぇ藍」
あなたを名前で呼ぶことにも随分慣れた。
「なに?」
勇気をだして、もう一度。
「好きな人できた?」
二回目は私の本能そのものが尋ねていた。
そこには好きになってくれているのではないか、という少しの期待が詰まっていた。
それなのにあなたは考える素振りも見せない。
「いないよ。」
あなたの言葉は変わらない、変えられない。
ただただ悔しかった。
毎日同じ学校に通っているあなたと私の距離はなぜこんなにも遠いのだろう。
あなたとの日々は本当にあっという間だった。
あなたはいつも私のほんの少し前を歩いていたから。自分では気づかなかったけれど、私はいつもあなたの隣に並びたくて急いでいたのだろう。
今日も遠ざかるあなたに追いつけなくてただ空を見上げる。
ずっと分かっていた。あなたに勝てるはずがないことは。
でも、あと少しだけ、夢を見させてほしかった。
あなたに恋できる日々でありたかった。
雪はどんどん溶けてゆく。私には止められそうにない。
あぁ、もう卒業だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます