第13章

 ため息のような白い息がお別れを感じさせる頃。

私はさらに藍との距離を縮めていた。

共通点が多いおかげか私たちの会話はとても賑やかだ。

気が合うって楽しい。

あなたはいつも私がほしい言葉をくれる。たとえ誰かに批判されても、藍ならきっと別の言葉をくれただろうと安心する。

きっと私たちは相性ぴったりだ。

「ねぇ藍」

あなたを名前で呼ぶことにも随分慣れた。

「なに?」

勇気をだして、もう一度。

「好きな人できた?」

二回目は私の本能そのものが尋ねていた。

そこには好きになってくれているのではないか、という少しの期待が詰まっていた。

それなのにあなたは考える素振りも見せない。

「いないよ。」

あなたの言葉は変わらない、変えられない。

ただただ悔しかった。

毎日同じ学校に通っているあなたと私の距離はなぜこんなにも遠いのだろう。

あなたとの日々は本当にあっという間だった。

あなたはいつも私のほんの少し前を歩いていたから。自分では気づかなかったけれど、私はいつもあなたの隣に並びたくて急いでいたのだろう。

今日も遠ざかるあなたに追いつけなくてただ空を見上げる。

ずっと分かっていた。あなたに勝てるはずがないことは。

でも、あと少しだけ、夢を見させてほしかった。

あなたに恋できる日々でありたかった。

雪はどんどん溶けてゆく。私には止められそうにない。

あぁ、もう卒業だ。

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