第3話 魔導力と才能の使い方
そうは言っても、紫輝は鎧騎に使われている材質や機体の構造、製作方法は熟知しているが傀儡の作り方なんて知らない。
なので、やはりこういう事に詳しい知恵袋の輝に尋ねる。
「傀儡はどうやって作るんですか?」
「傀儡の”器”となるモノは【傀儡術】でそこら辺にある土や石、木の枝でも作れるが、普通の人形でもかまわない。大事なのは傀儡の”核”だ」
「核……もしかして、”魔導石”を使うのですか?」
「そうだ」
魔導石とは魔導力が宿る石で、魔導具や魔動機械の原動力となる大事な部品だ。
魔導石は鉱脈から産出されるが、ヘンゲや魔獣からは高純度の魔導石が取れる。
魔導石の魔導力は消費してもしばらくすれば魔導力が溜まってまた使えるようになる。
「魔導石はどんな物を使えば良いんですか?」
「純度が高ければ高いほど傀儡の性能は良くなる。大きさは傀儡に使う”器”の大きさと重さで変わるな。”核”の作り方は……
「香叔母さんが?」
【式神】の使い手でもある。
【式神】の才能は式神を作り出し、その式神を従える。
式神とは和紙製の札に術を掛け、術者の命令で自在に動く霊的存在のことだ。
「でも、香叔母さんが傀儡を使ってる所なんて見た事がないですよ?」
「傀儡は術者が直接操るか、自分で動きはするが簡単な命令しか受け付けないかのどちらか。それに我々の仕事は霊的存在に対処しなければいけないので傀儡ではあまり有効とはいえない。比べて式神は自分で動いて判断するし、細かな指示も聞く。霊的存在にも対処できる。だから香は【傀儡術】よりも【式神】を多様するんだ。それでも一応、【傀儡術】を会得しているから教えてもらうと良い。あとで核を作るのに使える魔導石をいくつか渡そう」
「はい、わかりました。明日にでも叔母さんに聞いてみます」
――翌日
神薙神社に仕事に来た紫輝は叔母の香を尋ねた。
香は結婚して本家を出たが、神社の仕事は続けているので休日以外は神社にやって来る。
「香叔母さん、母さんから叔母さんは【傀儡術】が使えるって聞きました! 自分も【傀儡術】関連の才能なんで、傀儡の作り方と使い方を教えて下さい!」
「ええ、良いわよ。でも私も神社の仕事があるから手が空いた時で良いかしら?」
「はい、それで構いません!」
「じゃあ、今は特に仕事が無いから早速始めましょうか」
香は紫輝を連れて退魔の技を修行する修練場に行き、そこで紫輝に【傀儡術】について講義を始めた。
修練場は屋内と屋外があり、今回使うのは屋内。
今は神薙神社に所属する神職や巫女、退魔師がいないので貸し切り状態だ。
「紫輝ちゃんは魔導力の使い方は解る?」
「魔導力を使う? 魔導力って才能の能力を使う時に勝手に消費されるものでしょう?」
「う~ん、そこからかぁ……。それじゃあ、【傀儡術】の前にまずは魔導力の使い方を覚えましょうか」
魔導力とは才能の能力や魔導具・魔動機械を使うために必要となる力の源である。
また、生物・植物・ヘンゲ・魔獣などは身体が成長するとそれに比例して魔導力も多く強くなる。
魔導力の量と強さは一級~四級、さらにその上の特級の四段階に別けられる。
特級:測定不能。能力が使い放題。
一級:乙よりも魔導力が極めて高く、能力の連続使用に困らない。
ニ級:一般人よりも魔導力が高く、能力の連続使用もそれなりに可能。
三級:一般人並。能力を多用できない。
四級:一般人以下。能力が数回くらいの使用で魔導力が底をつく。
※才能によっては魔導力を必要としないものや魔導力に関係なく使用制限があるものも存在する。
「紫輝ちゃんの魔導力は確か一級だったわね? その年で凄いわ……」
「叔母さんや叔母さんの子供の
輝と沙夜の二人は共に特級。
沙夜はまだ八歳なのでこれからの成長によっては輝を超えると周囲から期待されている。
ちなみに総一朗はニ級だ。
前世の紫輝はヘンゲに襲われる前は特級だったが、襲われた後は三級にまで落ちた。
「私は子供頃は四級だったわよ。それに紫輝ちゃんはまだ子供だからこれからの成長次第では特級になる可能性だってありえるわ」
「だと良いんですが」
一級だと例え身体が成長しても魔導力は成長し難いと言われているので紫輝はあまり期待していないし、前世の三級に比べれば十分だと思っている。
「あのね、魔導力の使い方と言っても簡単な話し、魔導力を使う時に”増やす”・”抑える”・”留める”。この三つを覚えるだけなの」
才能を使う時、魔導力を必要以上に消費すれば高い効果を得られる。
だが、そうした使い方をしていれば直ぐに魔導力が枯渇したり、場合によっては才能や魔導力の暴走を引き起こして最悪死んでしまう。
なので、魔導力の消費を抑えて必要な分だけ使う事を身につける。
この二つの技術を身につけたら最後に”魔導力を留める”を覚える。
魔導力は普通に生活しているだけでも少量ながら体の外に流れ出てしまう。
そこで魔導力を体内に留め、無な放出を防ぐのだ。
こうして紫輝は魔導力を効率的に運用する修行を開始するのだった。
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